今日も仕事でスタジオに来ているわけだけど。
なんか、つけられてる…??
家を出たあとから、なんか…気配が、こう…
ゆうと
怖いお兄さん
気の所為だと言い聞かせた直後。
怖いお兄さんに話しかけられた。
ミルクティー色の少し長めの髪の毛をハーフアップにして
ピンがたくさん刺さってる。
ピアスがっつり、
色つきサングラス
細身だけど身長が高い
そして何より
ちらっと見えてるんだなあタトゥーが。
怖いよぉこのお兄さん怖いよぉ。
怖いお兄さん
怖いお兄さん
ゆうと
なんで知って…
怖いお兄さん
怖いお兄さん
怖いお兄さん
怖いお兄さん
怖いお兄さん
怖いお兄さん
怖いお兄さん
怖いお兄さん
かさり。茶封筒を胸ポケットから出した
薄そうだからお金ではなさそうだけど
やばい情報だとか、かな
こんな怖いお兄さん怒らせるとか、
だいちは何をやったんだ…
匿ってて、大丈夫なやつ?
……
いや、警察沙汰にはなりにくいだろう
この人は見るからに裏の方の人だ。
犯罪には触れない、多分。
悪くて怖い人たちを敵に回すことになるんだろうけど
だいちが、守ってくれるんだよね…?
ゆうと
怖いお兄さん
ゆうと
ゆうと
ゆうと
怖いお兄さん
怖いお兄さん
怖いお兄さん
怖いお兄さん
最後になるかもしれないんだ
だいちといられるのも
情報量が多すぎて
数年一緒にいたように感じるけど
実際は数日しか一緒に居てない。
最後。
最後にもう一度可愛いって…
ゆうと
いつも歩いて帰っていた道が
冷たく感じる。
全てどうでもいい、都会にいる。
雑踏の中で1人になっている
関係の無い人たちの声がよく聞こえた
女子高生
サラリーマン
男子高校生
女子高生
可愛くない、可愛くない
聞きたくない言葉だけやけにはっきり聞こえる
自分に向けられた言葉じゃないのに
自分を否定されるような錯覚。
可愛いと、愛される
……可愛くないと、愛されない
あーもう、鍵どこ
開いた
ここじゃない
いない
ここでもない
ちがう
いない
だいち
だいち
だいち
ゆうと
だいち
だいち
ゆうと
ゆうと
ゆうと
ゆうと
ゆうと
ゆうと
だいち