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9月1日、金曜日

41日間の夏休みが終わり、将風達は幼稚園へと登園する

Ep.22 すうあ先生の日常

古寺 将風

おはよう…

四宮 祐希

しょうくん!おはようっす!

鏡狂 花

しょうくんだ〜おはよう〜

古寺 将風

ゆうきくん、はなちゃん、おはよう

園児達が各々挨拶していると、先生であるすうあが入ってくる

吹雨希 すうあ

みなさん〜おはようございます〜

四宮 祐希

せんせーおはようございますっすー!

清本 來

せんせーおはよー!

知花 凜音

おはようございまーす!

吹雨希 すうあ

…あら?絋くんがいませんね

すうあが教室を見渡し、絋を探していると、勢いよく扉が開く

バーン!

松澤 絋

せーーふ!!!

松澤 美結

アウトだよアウト!!

松澤 美結

ごめんねすうちゃん、紘が寝坊しちゃって…

松澤 絋

いーっぱいねたよ!

松澤 美結

だから遅くなったんでしょ!

吹雨希 すうあ

あら、大変でしたね

松澤 美結

それじゃあすうちゃん、紘のこと頼んだよ!

吹雨希 すうあ

はい!

美結は忙しそうに幼稚園から去っていく

四宮 祐希

こうくんのおかーさんいそがしーね

松澤 絋

だよねー

清本 來

こうくんがねぼうしたからいそがしいんじゃ…

園児達がザワザワ話していると、パンパンと手を鳴らす音が聞こえる

吹雨希 すうあ

はい皆さん、朝の会を始めましょうね〜

すうあの呼びかけに子供たちは元気よく返事をする

は〜い!

吹雨希 すうあ

それでは皆さん、休み時間ですよ〜

吹雨希 すうあ

好きなことをして遊んでください〜

すうあの掛け声と同時に子供達は元気に校庭へ行く

知花 凜音

わー!

知花 凜叶

りんね!ブランコしよ!

知花 凜音

うん!

松澤 絋

わー!おれおすなあそびするー!

王城 姫恋

よ、よつばちゃん…おえかきしよ…

守森 四葉

うん…!

各々が自由に遊ぶ中、将風はすうあに近付く

古寺 将風

せんせー

吹雨希 すうあ

あら?将風くんどうしたんですか?

古寺 将風

ぼくね、なつやすみのまえにね

古寺 将風

ゆうきくんとか、はなちゃんとかとあそんだの

吹雨希 すうあ

はい

古寺 将風

それでね、こうえんであそんだんだけどね

古寺 将風

おとこのこがいたの

吹雨希 すうあ

男の子ですか…知らない子だったんですか?

古寺 将風

うん、さとるくんっていうの

吹雨希 すうあ

そうでしたか、一緒に遊んだんですか?

古寺 将風

うん

古寺 将風

すべりだいとか、いっぱいあそんだの

吹雨希 すうあ

そうですか、良かったですね〜

古寺 将風

うん、またあえるかな

吹雨希 すうあ

きっとまた会えますよ

将風とすうあが話していると、校庭から声が聞こえる

四宮 祐希

しょうくーん!

四宮 祐希

こっちであそぼっすー!

古寺 将風

うん、いまいく

すうあは、祐希の元へ向かう将風の背中を見ながら考えていた

吹雨希 すうあ

『さとる』くん…ですか…

吹雨希 すうあ

そういえば悠穂くんの友達の子供にそんな名前の男の子がいたような…

吹雨希 すうあ

まあ、悠穂くんの友達も私達の近くの高校出身でしたし…

吹雨希 すうあ

きっと今も近くに住んでいるんでしょうね

せんせーさよーなら!

みなさんさよーなら!

またあした!

王城父

今日も娘をありがとうございました

吹雨希 すうあ

いえいえこちらこそ!

吹雨希 すうあ

姫恋ちゃんはいつもお利口で助かってますよ

王城父

それはよかったです

王城父

それでは、月曜日からもまたお願いします

吹雨希 すうあ

はい!こちらこそよろしくお願いします!

王城父

姫恋、先生にご挨拶をして

王城 姫恋

は、はい…!

王城 姫恋

せんせい…さようなら…ですわ

吹雨希 すうあ

はい!さようなら!

ガラガラガラ

姫恋親子を見送ると、教室の扉が開く

松澤 美結

やっほーすうちゃん!

四宮 アスカ

うちの子達迎えに来たよ〜!

吹雨希 すうあ

ゆーちゃん!アスカ!

吹雨希 すうあ

祐希君〜絋君〜

吹雨希 すうあ

お母さんが迎えに来ましたよ〜

四宮 祐希

あー!ママっすー!

松澤 絋

ママだー!

2人はそれぞれの母親に駆け寄る

松澤 美結

久々の幼稚園だったけど、ちゃんといい子にできた?

松澤 絋

うん!!

四宮 祐希

ママあのね!

四宮 祐希

きょうこうくん、ねぼうしたんだって!

四宮 アスカ

ありゃ!

四宮 アスカ

ゆーそうなの?

松澤 美結

あー、うん…

松澤 美結

お恥ずかしい限りだよ

松澤 絋

ママがおこしてくれなかったの!

松澤 美結

起こしたよ!!

松澤 美結

人のせいにしないの!

四宮 祐希

こうくんおかーさんにおこされなかったの?

松澤 絋

ううん、おこされた

四宮 アスカ

さっきのはなんの嘘だったのwww

松澤 絋

でもねむかったからねたの

松澤 美結

幼稚園の時は頑張って起きようね〜

松澤 美結

それじゃあ帰ろっか

松澤 美結

すうちゃん今日もありがとね!

四宮 アスカ

ありがとー!

吹雨希 すうあ

いえいえ!

吹雨希 すうあ

また月曜日!です!

松澤 美結

うん!

四宮 アスカ

バイバイ!

松澤 絋

せんせーバイバーイ!

四宮 祐希

バイバイっすー!

吹雨希 すうあ

はいさようなら〜!

そうしてすうあは全ての園児を見送ると、机に向かい、書類を作成し始める

吹雨希 すうあ

…来月は運動会なので、そのための書類を色々作らなければなりませんね…

吹雨希 すうあ

まずはプログラムを考えないと…

吹雨希 すうあ

……

吹雨希 すうあ

行事と言えば、私は高3になるまで行事を楽しめなかったですね…

すうあは過去の記憶を遡った

幼稚園

この頃の私は、運動会含め行事とは、ただやらなきゃいけない事として捉えていました

そして、卒園前のお遊戯会で言われたんです

すうあちゃんはたのしくないの?

苗穂 すうあ(過去)

……え?

たしかに〜いつもむすっとしたかおしてるよね〜

苗穂 すうあ(過去)

むすっと…してない…ですよ?

うっそだぁ〜

いまもむすっとしてるよ〜

苗穂 すうあ(過去)

……え…?

自覚はありませんでした

でも、この頃から、表情には気をつけるようになったんです

小学生低学年

幼稚園の頃の指摘から、常に笑顔でいるよう気をつけていました

ただ、やはりこれもダメだったようなのです

すうあちゃんはわたしが転校するの、さびしくないの?

苗穂 すうあ(過去)

…え?

苗穂 すうあ(過去)

えと、さびしい…ですよ?

この切り出され方はこう返すべきだ、とだんだん学んでいきました

でも、本当は、さびしいというのがどういう感情かは、よくわかっていませんでした

うそだよ

だって、先生が、わたしが転校するって言ったとき、すうあちゃんにこにこしてたもん

苗穂 すうあ(過去)

え……

常にニコニコしているのはダメなんだ、と

この時学びました

小学生高学年

ある日、たまたま聞いてしまったんです

苗穂すうあってさ、何考えてるかわかんないよね

わかる〜

あとはさ、言葉に気持ちがこもってないよね

あはははっ!確かに〜

苗穂 すうあ(過去)

っ……

この時は一瞬、頭がクラっとしました

ただ、これがなんという感情を示しているのかは、わかりませんでした

苗穂 すうあ(過去)

(言葉に気持ちって、どうやって込めるんでしょう…)

私は、気持ちの込め方を学ぶために、小中高一貫だった学園を変えて、演劇部がある学校に行きました

中学生

調べたり、本を読んだりしながら、気持ちごとの演技を学んでいました

学年が上がり、舞台に出させてもらう機会も増えてきた頃、また、それは起きました

あの子ってさ、演技自体は悪くないけど、なんかこう…違うよね

あの子?

あーあの子だよ、2年の苗穂すうあ

あーあの子ね

確かに下手ってほどじゃないけど、キャラの性格とか感情を反映しきれてないよね

1年生の時は初心者だからかなって思ってたんだけど、なかなか上達しないからなー…

感情とか欠如してんじゃない?

あはは!それ言い方酷いよ〜

苗穂 すうあ(過去)

……

その時、私は何もかもを諦めました

もう、私に人の気持ちを理解することなんてできないんだ

一生、誰かに陰口を叩かれたりしながら生きるんだ、と

それから、部活はもう辞め、高校は家から近かったため、小学校と同じ学園に通うことにしました

高校生

入学してから、突然会ったんです

吹闇 菜乃羽(過去)

あれ?すうあ?

苗穂 すうあ(過去)

え……?

突然呼びかけられ、振り返りました

苗穂 すうあ(過去)

あ…菜乃羽…

そこに居たのは、小学生の時話していた菜乃羽でした

吹闇 菜乃羽(過去)

久しぶりじゃん、戻ってきたんだね

吹闇 菜乃羽(過去)

中学の時いなかったから引っ越したのかと思ってた

苗穂 すうあ(過去)

あ…はい…色々ありまして…

その日から、私は菜乃羽と一緒に行動するようになりました

そんなある日、菜乃羽が酷く落ち込んだ様子で登校してきたんです

吹闇 菜乃羽(過去)

おはよー菜乃羽〜

あれ?菜乃羽元気ないじゃん

どうしたの?

吹闇 菜乃羽(過去)

ちょっと…ね……

あ!もしかして生理来た?

吹闇 菜乃羽(過去)

んー…まあ…そんなところ

生理キツイよね〜

あ!先生に呼ばれてるんだった!

じゃ!

吹闇 菜乃羽(過去)

うん…

菜乃羽と話していた人が離れてから、私も菜乃羽に近付いて挨拶をしました

苗穂 すうあ(過去)

菜乃羽、おはようございます

吹闇 菜乃羽(過去)

おはよ…

菜乃羽はいつもの調子ではなかったですが、なんて声をかけるべきなのかがわからず、特に何も言わずにいました

そしてこの日を境に、菜乃羽は元気が無いままになっていました

それからしばらく経ったある日、菜乃羽がポツリと言いました

吹闇 菜乃羽(過去)

すうあは…なんで元気ないのかとか聞かないの?

苗穂 すうあ(過去)

え?

苗穂 すうあ(過去)

…聞いて…欲しかったんですか?

吹闇 菜乃羽(過去)

いや、そういう訳じゃ…

しばらく、沈黙が流れました

そして、菜乃羽が口を開きます

吹闇 菜乃羽(過去)

…実は両親が事故で亡くなってさ

吹闇 菜乃羽(過去)

色々落ち込んでて、でも色んな人に心配されるし、うんざりしてたんだよ

吹闇 菜乃羽(過去)

でも、すうあは何も聞かないでいてくれたから…

吹闇 菜乃羽(過去)

ありがたかった

苗穂 すうあ(過去)

そうでしたか

苗穂 すうあ(過去)

……

菜乃羽が大事なことを言ってくれたから、私も言うべきかなと、何となく思いました

苗穂 すうあ(過去)

実は、私、昔から感じるべき気持ちがわからないみたいなんです

吹闇 菜乃羽(過去)

感じるべき気持ち?

苗穂 すうあ(過去)

はい

苗穂 すうあ(過去)

昔から、他の人に指摘されないように、頑張っていたつもりなんですけど、全部から回っていたみたいで…

苗穂 すうあ(過去)

中学を変えたのも、それを学ぶために演劇部に入りたかったからなんです

苗穂 すうあ(過去)

結局、何も学べませんでしたけど

吹闇 菜乃羽(過去)

……すうあは、人の気持ちを学びたいって思ってるの?

苗穂 すうあ(過去)

…はい、文句を言われたり、泣かせてしまったり、陰口を言われたりしましたから

苗穂 すうあ(過去)

失敗は、繰り返したくありません

吹闇 菜乃羽(過去)

そっか…

菜乃羽はしばらく考えたあと、言いました

吹闇 菜乃羽(過去)

私が教えてあげよっか

苗穂 すうあ(過去)

…え?いいんですか?

吹闇 菜乃羽(過去)

だって今まで頑張っても上手くいかなかったんでしょ?

吹闇 菜乃羽(過去)

すうあのとなりで、支えてあげようか

苗穂 すうあ(過去)

……ふふ

吹闇 菜乃羽(過去)

え、何かおかしなこと言った?

苗穂 すうあ(過去)

いえ…ただ、中学生の時に読んだ台本にそんな感じのプロポーズのセリフがあったなって…

吹闇 菜乃羽(過去)

っ……

吹闇 菜乃羽(過去)

ふ、じゃあ“俺”が、すうあの隣で支えようか?

菜乃羽は跪いて、手を差し出しながら、悪戯っぽい笑顔を浮かべて言った

苗穂 すうあ(過去)

…ふふふ

苗穂 すうあ(過去)

はい、よろしくお願いします

それから、菜乃羽と一緒に小説を読んだり、人を観察したりして、“気持ち”を教えてもらいました

そこからまた1年以上が経って、悠穂くんと付き合うようになってから起きた事故

それをきっかけに私は、自分の気持ちというものを初めて知りました

それからは、毎日がとても楽しくて、のんに教えてもらった気持ちを実感できるのが嬉しくて、幸せでした

そしてさらに1年近く経って

進路を考える時期に差し当たり、私は思ったのです

苗穂 すうあ(過去)

(楽しいという気持ちを、共有したい)

苗穂 すうあ(過去)

(そして、かつての私のように、気持ちがわからない子が居たら、一緒に考えてあげたい)

そんな想いから、私は気持ちがわからないことに気付いたきっかけとなった幼稚園児の世話をしたいと思い、この道に進みました

吹雨希 すうあ

……書類作成はこんな感じですかね

吹雨希 すうあ

うぅん……

すうあは伸びをしながら時計を確認する

吹雨希 すうあ

いけません!!

吹雨希 すうあ

もう8時です!!

吹雨希 すうあ

帰らないと…!

すうあは書類やパソコンを片付け、家へと帰る

吹雨希 すうあ

ただいま帰りました〜

吹雨希 悠穂

おかえり、すうあ

吹雨希 悠穂

夕飯できてるよ

吹雨希 ゆう

ままおかえりー!

吹雨希 すうあ

っ〜〜!

吹雨希 すうあ

はい!

吹雨希 すうあ

(あぁ、私、今ちゃんと幸せに過ごせてるな)

恋を、感情を、教えてください〜第4幕 幼少期〜

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