夢叶
昨日人を56したんだ…
君はそう言っていた
梅雨時ずぶ濡れのまんま
陽菜
(部屋の前で泣いていた)
陽菜
(夏が始まったばかり)
陽菜
(だと言うのに)
君は酷く震えていた
陽菜
(そんな話で始まる)
あの夏の日の記憶だ…
夢叶
56したのは隣の席の
夢叶
いつも虐めてくる彼奴
夢叶
もう嫌になって肩を突き飛ばして
夢叶
打ちどころが悪かったんだ
夢叶
もう此処には居られないと思うし、どっか遠い所でタヒんでくるよ
そんな君に僕は言った
陽菜
それじゃ僕も連れいてって
財布を持って
ナイフを持って
携帯、ゲームも
カバンに詰めて
陽菜
要らないものは全部壊していこ!
あの写真も
あの日記も
陽菜
(今となっちゃもう要らないさ!)
人56しとダメ人間の
君と僕の
旅だ!!
そして、僕らは逃げ出した!
この狭い狭いこの世界から!
家族もクラスの奴も
何もかも全部捨てて
君と二人で
陽菜
遠い遠い誰も居ない場所で
陽菜
二人でタヒのうよ
夢叶
でもッ
陽菜
もうこの世界に価値なんて無いよ
陽菜
人56しなんて
陽菜
そこら中湧いてるじゃんか
夢叶
だけど!
陽菜
君は何も悪くないよ
陽菜
君は何も悪くないよ
夢叶
ッ…
陽菜
(結局僕ら誰にも愛された事等無かったんだ)
そんな嫌な共通点で
僕らは
陽菜
(簡単に信じ合ってきた)
陽菜
ギュッ
夢叶
ギュッ
陽菜
!
君の手を握った時
微かな震えも
既に無くなっていて
陽菜
(誰にも縛られないで二人)
線路の上を歩いた
金を盗んで
警官
待て〜!
夢叶
やば!
陽菜
見つかった!
二人で逃げて
何処にも行ける気がしたんだ
陽菜
(今更怖いものは)
僕らには無かったんだ!
陽菜
(額の汗も)
陽菜
(落ちたメガネも)
夢叶
陽菜!メガネ
陽菜
いまとなちゃどうでも良いさ!
溢れ者の
小さな
逃避行の
旅だ!
夢叶
いつか夢見た
夢叶
優しくて、誰にも
夢叶
好かれる主人公なら
夢叶
汚くなった僕達も見捨てずに
夢叶
ちゃんと救ってくれるのかな?…
陽菜
そんな夢なら捨てたよ
陽菜
だって現実をみろよ
陽菜
幸せの
夢叶
四文字なんて無かった
夢叶
今までの人生で思い知った
夢叶
じゃないか
陽菜
(自分は悪くねぇと)
陽菜
(誰もがきっと)
思ってる
宛もなく彷徨う蝉の群れに
水も無くなり揺れ出す視界に
陽菜
(追り狂う鬼の怒号に)
陽菜
www
夢叶
www
夢叶
…………
馬鹿みたいにはしゃぎあい
ふと君はナイフを取った
陽菜
夢叶?
陽菜
なにしてるの?
夢叶
君が今までそばに居たから
夢叶
此処まで来れたんだ
夢叶
だからもういいよ
夢叶
もういいよ!
夢叶
タヒぬのは私1人でいいよ!
陽菜
夢叶ッ!!
そして、君は首を切った
まるで何かの映画のワンシーンだ
陽菜
(白昼夢を見てる気がした)
警官
早く、車に乗りなさい!
陽菜
……
気づけば僕は捕まって
君だけが何処にも見つからなくって
陽菜
(君だけが何処にも居なくって)
そして時は過ぎていった
ただ暑い暑い日が過ぎていった
家族も
クラスの奴らも
居るのに
何故か
陽菜
(君だけは何処にも居ない)
陽菜
(あの夏を思い出す)
僕は今の今でも
陽菜
(歌ってる)
陽菜
君をずっと探しているんだ
陽菜
君に言いたいことがあるんだ!
9月の終わりにクシャミして
6月の匂いを繰り返す
君の笑顔は!
君の無邪気さは!
陽菜
頭の中を飽和している!
陽菜
誰も何も悪くないよ
陽菜
君は何も悪くないから
陽菜
もういいよ
陽菜
投げ出してしまおう!
そう言って欲しかったのだろう?
なぁ?