空閑
レプリカのことなんだけどさ
修
…………!
空閑
しおりちゃんたちが言うには
空閑
もしレプリカが死んでたら、このちびレプリカも消えるはずなんだと
フェル
…!
フェル
それじゃあ…!
空閑
つまりこれが残ってるかぎり
空閑
あいつは死んでないってことだ
修
………!
空閑
今日まで何日もかけて調べてもらったから、たぶんまちがいない
空閑
レプリカは生きてる
空閑
アフトクラトルに行けばきっとまた会える
フェル
…じゃあ、絶対A級ならないとだね
修
………!
修
…………空閑…
修
済まない………
修
ぼくが……
修
ぼくの力が足りないせいで……!
修
レプリカが……!
フェル
ちがう、
フェル
それなら私だってそう…
フェル
私は特別な黒トリガーなのに、普通の黒トリガー2人に時間をかけすぎた…
フェル
私がもっと早く…
フェル
人型ネイバーを倒しておけば…こんなことにはならなかった……
フェル
オサムのせいじゃない…
修
フェル…
空閑
そうだよ
空閑
おれがレプリカに言ったんだ
空閑
「みんなを守れ」って
空閑
あいつはその頼みに100%応えた
空閑
さすがおれの相棒だ
空閑
オサムがあやまることじゃない
フェル
…レプリカ、頑張ったよね……
空閑
あいつ半分になってもやりとげたからな
修
…………………
修
………………………ポロポロ
修
ぐっ……く……
空閑
泣くなよ
フェル
キーーーン
空閑たちが仲間で良かった
フェル
!
修
………傷が痛むんだよ……
フェル
クス
フェル
(………私もだよ、オサム)
ヒョコヒョコ
修
ゴロロ
フェル
……!
修
……!?
唐沢
やあおかえり
唐沢
三雲くん
修
あなたは……
フェル
キーーーン
ボーダー幹部の……
フェル
(…幹部……)
唐沢
外務営業担当の唐沢だ
唐沢
久しぶり
唐沢
……今からちょっと外に付き合ってもらえるかな?
唐沢
病院の許可は取ってある
修
え……!?
オサム母
修…?
千佳
遊真くん、フェルちゃん!
修
!
空閑
お?
フェル
チカ…
オサム母
何をしてるの?外に出る気?
修
いやそれが……
唐沢
ご家族の方ですか
唐沢
ボーダーの唐沢という者です
唐沢
三雲くんを少しお借りします
オサム母
この子はケガ人です
オサム母
まだ外出は……
唐沢
一応医師の許可はもらっています
唐沢
もしご心配なら車を用意しますので、お姉さんもご一緒に……
修
母です
フェル
…………!?(声にならない)
唐沢
……………………………は………?
唐沢
お母…さん……?
オサム母
母です
修
記者会見……?
唐沢
今回の防衛戦の結果報告だよ
唐沢
C級が25人攫われたから、そこはかなり突かれるだろうね
千佳
………!
修
C級が25人も……!
フェル
…これでもおさめたほう…
空閑
…?
フェル
迅の予知ではもっと酷かった…
唐沢
行こう
唐沢
裏から入れる
フェル
…………………
空閑
オサム一人のせいってことにするわけか
修
ズキズキ
千佳
修くん…大丈夫?
修
……………
修
唐沢さん…
修
……これを見せるためにぼくを連れて来たんですか?
唐沢
そうだ
唐沢
事前の会議でこうなることは決まっていた
唐沢
何も知らないのはかわいそうだと思ってね
空閑
どうする?オサム
フェル
…………………
空閑
あのおっさんの尻蹴り飛ばしてやるか?
修
……どうもできないよ
修
今の話が本当なら
修
……悪いのはぼくだ
フェル
………………
オサム母
……
空閑
オサムおまえ
空閑
つまんない嘘つくね
空閑
病院で頑固な性格まで治してもらったのか?
フェル
………!
修
………!
修
……空閑、悪い
修
ちょっと行ってくる
空閑
おう
空閑
行って来い
唐沢
……いいコンビだな
フェル
……そうでしょう…?ニコッ
空閑
…カラサワさんはなんで
空閑
オサムの味方してくれてんの?
唐沢
……別に味方ってほどのことはないよ
唐沢
……ただ…
フェル
?
唐沢
ヒーローにも
唐沢
反撃のチャンスが与えられるべきだろう?
ザワザワ
修
………………
フェル
…頑張って………ボソ
修
三雲修です
修
今の話に出てきた、先月学校でトリガーを使った訓練生はぼくです
修
質問があれば、ぼくが直接答えます
ザワザワ
記者
…きみが先月学校で
記者
訓練生でありながらトリガーを使ったのはボーダーの規則違反だという話がある
記者
それは知っていたかな?
修
はい
記者
きみのその行動によって、訓練生のトリガーの情報が漏れた疑いがあるんだが
記者
それについてはどう思うかな?
修
…………
修
今にして思えば…
修
その可能性はあると思います
フェル
……!
記者
事の重大さをわかってないのか!?
記者
25人が犠牲になったんだぞ!?
記者
「今にして思えば」!?
記者
そんな言い訳が通用するか!
空閑
……………
フェル
(…今すぐ心臓の動きを止めてやりたい……)
修
言い訳する気はありません
修
情報が漏れると知っていたとしても
修
やっぱりトリガーを使ったと思います
修
それくらい切迫した状況でした
記者
そのせいでその先さらに犠牲者が出るとしてもかね!?
修
はい
修
将来的に被害が広がる可能性があったとしても
修
それが目の前にいる人間を見捨てていい理由にはならないと思います
記者
言ってることは立派だけど
記者
問題なのはあなたが訓練生だったことでしょ?
記者
あなたがはじめから正隊員だったら
記者
学校のお友達も守れて
記者
トリガーの情報も漏れなかった
記者
ヒーローになりたいなら、順序を守ってまず正隊員になるべきだったんじゃないの?
修
運命の分かれ目は、こちらの都合とは関係なくやってきます
修
準備が整うまで待っていたら、ぼくはきっと一生何もできません
修
ぼくはヒーローじゃない
修
誰もが納得するような結果は出せない
修
ただその時やるべきことを
修
後悔しないようにやるだけです
ザワザワ
オサム母
あの記者たち、棒か何かでぶん殴ってやりたいわ
フェル
私も手伝う(チャキッ)
唐沢
君のは冗談に聞こえないから!しまってしまって!
記者
きみがどう責任を取るのかということだよ
修
取り返します
フェル
あ……
修
ネイバーに攫われた皆さんの家族も
修
友人も、取り返しに行きます
修
「責任」とか言われるまでもない
修
当たり前のことです
記者
…………!?
ザワザワ
空閑
ん?こいつら
空閑
遠征のことは知らないのか?
唐沢
そうだな
唐沢
ネイバーフッド遠征は機密事項だ
唐沢
だが……
フェル
(流れが変わった……)
空閑
ああなるほど、「これから行く」ってことにするのか
修
ふー……
千佳
おかえり修くん
フェル
お疲れ様…
唐沢
いい演説だったよ
修
演説……?
オサム母
……一度死にかけたのに
オサム母
まだ続けるつもりなのね
修
……!
修
母さん……
オサム母
…半年前、あなたが入隊希望の書類を持ってきたとき
オサム母
私が大反対したのを覚えてる?
オサム母
あなたが大ケガしたって聞いたときは、「だから言ったじゃないの」って思ったわ
修
……………
フェル
…………
オサム母
…でも不思議ね……
オサム母
……大ケガして意識もないあなたを見ても、お見舞いに来た人たちは誰一人
オサム母
「もうボーダーはやめさせたほうがいい」って言わなかったの
修
え……?
フェル
(言われてみれば確かに…)
オサム母
どうしてなんだろうと思ってたけど、今日のあなたを見て少し分かった
オサム母
ボーダーに入ってからのあなたは、「自分のやることを見つけた」って顔してる
オサム母
……好きにやりなさい
オサム母
あなたの人生だもの
オサム母
……でも本当に嫌になった時は私に言いなさい
オサム母
首に縄かけてでも引き戻してあげるわ
修
……ありがとう、母さん
空閑
でかいこと言った分がんばんなきゃな、オサム
修
最初からそのつもりだ
修
まずは全速でA級まで上がる
修
やるぞ、相棒
空閑
!
フェル
……!
空閑
おう、まかせろ
フェル
………
フェル
(…良かった)
2月1日
三雲隊(玉狛第二)
ボーダーBランク戦開始