誰とも話さなくなってからしばらく経って
月末評価を何回も受けたある日
私は社長に呼ばれた
私が練習に没頭しているうちに
何人か退所していった
だから今度は自分の番かと覚悟して社長室の扉をたたいた
真っ赤な太陽が部屋全体を照らしていたとき
社長が口を開いた
社長
社長
私はこの回答次第で
私のこれからの人生が決まると悟った
○○
逆光だからか社長の顔がよく見えない
社長が口を開くまでの間が
たった2,3秒のはずなのに
20分、30分のように感じられた
自分は誰よりも練習してきた
だから大丈夫
何度も何度もそう自分に言い聞かせた
でも社長の口から出てきた言葉は
そんな言葉ではなかった
社長
社長
社長
頭が真っ白になった
これまで寝る間も惜しんで練習してきた自分が
ばかばかしく思えた
なぜかさっきより社長の顔が見づらくなった
太陽が沈むんだなと思ったとき
生ぬるい何かが頬をつたった
社長が何かを嬉しそうに話している
そんなに私を追い出したかったのかなと
余計に自分がみじめに思えた
社長
退所するのまで催促されるのかと思い
なんだかどうでもよくなった
○○
そういうと社長が少し悩んでいることが
少し冷えてきた空気をつたって伝わった
社長
社長
社長の言葉をよく聞いていたら
なにか引っかかる言葉があった
「~から」ってなんだ
退所は今すぐじゃないの?
○○
○○
○○
デビューするためにがむしゃらに練習してきた約一年が
無駄になったような気分だった
重い足取りで部屋から出ていこうとすると
焦ったように社長に呼び止められた
社長
社長
社長
○○
そういうと社長は少し戸惑いながらも微笑んで
社長
社長
社長
社長
体のどこかでとまった歯車が
もう一度動き出した気がした
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