はぁ、と青年の溜め息が漏れた。
???
彼が悩んでいるのは進学。 普段からの度重なる校則違反、オマケに授業態度。
勿論単位など取れたワケもなく、恐らくクラス…いや学年で最下位に近いだろう。
青年がうんうんと夕暮れの光が差し込む廊下でひとり唸っていると、 聞き覚えがある女子にしては低い声がした。
???
???
リツと呼ばれた青年は黙ってその女性に通知表を突きつけるように渡した。
???
???
彼女が見たのは見るからにボロボロな通知表。 「月ノ宮リツ」としっかり名前が黒インクで刻まれていた。 2や1しか無く、流石に自業自得とはいえ同情の言葉が出た。
月ノ宮 リツ
???
リツが見たのは自分とは正反対のもの。 4か5、たまに3があるそれは優等生のものと言って刺し違えないものだった。
リツは嘘だろ、と思いつつ名前の欄を見た。
紛れもなく、黒インクで印刷された名前は、「月ノ宮イツ」と書かれていた。
月ノ宮 イツ
月ノ宮 リツ
月ノ宮 リツ
リツは感情の起伏がない声で適当に感想らしきものを述べた。
内心、「幸福自慢マジクソだな地球諸共滅べ」と思いながら。
月ノ宮 イツ
月ノ宮 リツ
月ノ宮 イツ
月ノ宮 リツ
リツの最大限の皮肉を無視し、イツは話を続けた。
月ノ宮 イツ
月ノ宮 イツ
月ノ宮 リツ
月ノ宮 リツ
イツはいたずらっぽく笑い、こう言った。
月ノ宮 イツ
月ノ宮 イツ
月ノ宮 イツ
ごくり、と唾を飲み込みリツは告げた。
月ノ宮 リツ
おいおい、とヘラヘラした笑みをイツは浮かべると、リツに続いてこう言った。
月ノ宮 イツ
月ノ宮 イツ
金一色に染め上げた肩まである髪を揺らし、イツは告げた。
月ノ宮 イツ
月ノ宮 イツ
月ノ宮 リツ
月ノ宮 リツ
月ノ宮 イツ
月ノ宮 イツ
いや違ぇよ、とリツは制止を告げるが、 「暴走列車」ことイツのスイッチが入ってしまった様で完璧に無視されていた。
月ノ宮 リツ
月ノ宮 リツ
月ノ宮 リツ
夕暮れ時の廊下に、リツという青年の怒号が響き渡った。
暗く、少しだけ飾りっけのあるベットに少女が一人、スマホの液晶を見ながら笑った。
???
???
???
???
ヒスイ、そう呼ばれた人物は少女のスマホの液晶の中で静かに瞬きをしていた。
そして、大人げで、まだ幼さが残る舌を回し、少女に告げて見せた。
ヒスイ
ひどく無感情な機械音声が少女の耳に届くと、少女は口角を歪ませた。
next time…
コメント
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なんか…なんかすごいです!!(語彙力皆無) 全部の話が続きが楽しみなところで終わるからすごい…