輝かせるもの

ライブの幕があがる アドレナリン全開のメンバーを 横目に見ながら 今ここに立てていることを 噛み締めていた

円陣を組む

あぁーこの感じ 最高だわ マジで

大歓声の舞台へ 9人 俺の心強い仲間だ

ライブも　残すところ 後アンコールのみだ 一旦舞台袖にはけると何やら 騒がしい

あいつら何の話してんだ？

おくれて涼太が舞台裏に降りてきた

どの辺りかもわからず 準備の整わない舞台に 上がってしまった‥

足早に舞台へ戻る

結局見つけられるはずもなく ライブを終え控え室へ 戻る

それにしても何であんなに 緊張してんだ？

気づいた時には体が 動いていた その辺にいたスタッフの 帽子を剥ぎ取り

控え室を飛び出す

自分でもバカな事をしてる ・・・・ それくらいの自覚はある

人混みをかきわけ 自分の記憶だけを頼りに 会いたい人の姿を 探す

何度か似たよう な後ろ姿を見ては 声をかける

あまりに途方もない作業に 笑えてくる

ふと路地を曲がる 女性に目を向ける

間違いない！

見覚えのある横顔に いっそうスピードを上げる

新調したであろう ブルーの洋服を着た その女性が

背後からかけられた 声に戸惑っているようで その場に立ち止まっている

翔太は祈るように 愛する人の

名前を呼ぶ

一カ月ぶりに見た 翠は随分と痩せて見えた

居てもたってもいられず

あまりの愛おしさに

翠をキツく抱きしめる

翠は　今起きていることが 整理できないでいた

ここじゃ目立つから‥と 翠のアパートまできた

ドームから 歩いて１０分ほどで アパートについた

そう言うと翔太に 中へ入るように促す

たまらず後ろから 翠に勢いよく抱きつく

翠に促され悲しみいっぱいの

不貞腐れ顔で

力なく腕を下げた

そんな翔太を 愛おしいと 感じてしまう私は

どうしようもなく この人のことを

愛しているのだと 思い知らされる

翔太は居心地の 悪さを感じていた ｷｮﾛｷｮﾛと家の中を見回す

翠は少し恥ずかしそうに している////

やべぇ動揺して変な声出ちゃった

思いがけない人の名前に 若干驚いた

棚には最新のアルバムが並び たくさんのグッズが飾られている

翠は手作りのうちわを 恥ずかしそうに 翔太に見せた

その姿にこちらまで 恥ずかしく そして愛おしい 気持ちでいっぱいだ

そう言って手慣れた様子で 2人分のマグカップをもって 翔太の隣に腰掛けた

部屋に充満する コーヒーの匂いが とても懐かしく 思えた

このひと月 義務のように 味のしない物を無理やり 口に入れては喉の奥に 流し込む

そんな作業を繰り返していた

翠も 同じことを感じたのか 二人いつの間にか 涙を流していた

お互いを慰め合うように 抱きしめた‥

手を添えて 頬を伝う涙を

拭う

優しくキスを落とし 翠の体を床に静かに押し倒す

ぼっ(//∇//)

壁に貼られた 渡辺翔太と目が合う‥

メンバーから見られてるようで 落ち着かなかった