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誠に誠にすみません
1週間に2回と言いましたね
私気づいたら1ヶ月ぐらい経ってました
すいません
とゆうことで
前回の続きからです
注意は1まで
のあ
るな
えと
母
どぬく
そんな私の暗闇に
眩しい光を放つ蛍が
とびはじめたのは
2006年の冬のことでした
るな
るな
るな
教壇に立つ少女の姿に、
教室は一瞬、
静まり返りました
あまりにも整った顔立ちの
少女でした。
背中には羽が生えているのでは
ないかと疑うほどに
異次元級に白い肌に、
サラサラの髪は
胸元まで伸ばされ
黒目がちの大きな瞳には
冗談みたいに
長いまつ毛が生えていました
陰気臭い教室で、
その美しさは
浮いているようにも
感じました
るな
るな
るな
るな
るな
るな
とぼけたように言って
少女
るなは微笑ました
美しさに加えて
目を引くのは
名前のごとく
蛍の光を集めたような
ほんの少し
黄緑がかった
金髪の髪です
完全に校則違反の髪色ですが
暗い色に染め直せ
と注意するのは
過ちであると
断言出来るぐらいに
るなに似合ってました
しかし
髪色に着いての
心配は杞憂だと知っています
教室を支配する
120センチのルーズソックス
を履いたギャルの集団には
るなには及ばないものの
相当明るく染めている子もいて
この偏差値が低い
私立校では
もはや髪色や
服装の乱れについて
先生も注意するのを
諦めているのです。
先生
先生
るな
自己紹介のあと
席を指定され
私の机の横を
通りすぎる
そこ姿を目で追いかけながら
ふと、誰かに似てるな
と感じました。
けれど
その圧倒的な透明感に
全ての思考はかき消されてしまい、
その時はわかりませんでした
るなが席に着くと
授業が始まりましたが
私は今まで味わったことの無い
高揚感の中で
ぼんやりと
この教室のメンバーで
バトル・ロワイヤル
が始まってもるなだけは
死なないんだろうなと
妙な妄想に耽りました
なぜなら最後まで生き残るのは
いつだって"特別可愛い子"
と決まっているのですから
どぬく
どぬく
どぬく
どぬく
どぬく
放課後
本体をスライドさせると
キーボードが引き出せる
最新型のケータイで
五十嵐どぬくが
おそらくいつものように
二次元サイトを徘徊しながら
少しソワソワした口調で
るなについて
切り出していました
五十嵐は私とは対照的に
入学当時から
ぽっちゃりとしていましたが
失礼ながら近頃は
もはや
肥満という言葉が
似合う体型になってきている
ように思います
えと
えと
えと
ここ生物部の部室に1台だけ
置かれてるデスクトップパソコン
を占領し
流行りのオンライゲーム
『魔法世界』(マジカルワールド)
をプレイしながら
大川えとがやや
歪んだ赤フレームのメガネ
を時折直ししながら
言い放ちます。
ハマっている
アニメの影響なのか、
一人称がボクに
変わりました
えと
えと
えと
えと
えと
どぬく
どぬく
どぬく
どぬく
えと
えと
えと
どぬく
もうおわかりかもしれませんが
ここは生物部という名は
名ばかりの
オタクの巣窟です
全員が当たり前のように
眼鏡をかけていて
たとえ流行りのアイテムを
身につけていたとしてもダサくて
いわゆる
スクールカースト
最底辺
でした。
けれど底辺であることは
それほど不幸なことではなかったとかも
しれません
もしかしたら、
平和ですらあったのかもしれません
放課後、
ここやって来さえすれば
私たちは誰の目気にすることなく
空気の泡を飲み込むみたいに
静かに息ができたのです
えと
何か面白いことが起きたのでしょうか
大川が漏らす独特な笑い声を背に
わたしは生物部が代々面倒を見てる
アロワナのアロたん
(勝手に名ずけた)
が泳ぐ横幅150センチの
大きな水槽の前に立ち
餌をつかんで水面に散らしました
アロたんはしゃくれた顎を
パクパクと口を動かして
粒状の餌を無表情に体内に取り込んでいきます
この春で4歳になり
体長は90センチほど
シルバーアロワナという種類で
固い鱗は光に反射すると
宝石のように輝きます
一億五千年前からその姿は変わらず
先生
先生
と
年度初めに一度だけ
様子を見に来た顧問の
仲吉先生がおしえてくれました
わたしはアロたんを眺めながら
いつも思うんです
そんな長い間
ずっとこの姿で生き続けることを
この魚は望んでいるのだろうかと
だってもし
何度生まれ変わっても
永遠に自分の姿のままだと思うと
なんかゾッとするではありませんか
どぬく
どぬく
どぬく
どぬく
そしてケータイを持つ手を
わざと震わせ
興奮してることを示しながら
五十嵐が呟いた後でした
えと
えと
大川の鋭い突っ込みとともち
ギィと扉が空く
鈍い音が
部室に響きました
生物部に人が訪ねてくることは
ほとんどありません
誰もこの暗闇に用事などないからです
戸惑いながら振り返ると
視線の先にたっていたのは
るなでした。
風も吹いていないのに
その光そのもののような
眩い髪は
小さく揺れているように
見えました
るな
それは
本当の意味で
私たちの黒歴史が
はじまる合図だったのかもしれません
るなは私たちを見下ろしながら
不自然なほど優しく
女神のように微笑んでいました