Ωを拾いまして

研究にカタをつけて帰路を歩いていると道路の隅でうずくまっている女性がいた

駆け寄ってしゃがんで顔を覗いた

銀髪に少しピンク掛かった瞳 端正な顔立ちをしていた女性につい見惚れていると女性は私をキッと睨んだ

恐らくこの人はΩだ 今この人はヒートの症状を起こしている

なのに、フェロモンを感じない

彼女はよろよろと立ち上がると壁伝いにどこかへ向かおうとする

こんなに美しい女性がそんな事を言うなんて、そんな事を言わせるなんて

無理矢理抱き抱えるとじたばたと暴れる彼女

抵抗しても無駄だと悟ったのかしゅんと静かになった彼女を大事に抱き抱えて家へと向かった

あの小さな籠から抜け出して、やっと外に出たのにヒートが来るなんて本当についてない

おまけに変なやつに捕まるし、本当に私の人生ってつくづくゴミ

まるでさっきまで走っていたかのように身体が熱くて呼吸もしずらい

予定としてはとっくに死んでいるはずだったのに、なんで私は知らない人に抱き抱えられているんだろう

私を抱き抱える手に力が入るのを感じてパッと顔を上げた

街灯に照らされて初めて顔を見た

女性にしては身長も高くガッシリとしているからどんな屈強な女性かと思ったら意外にも優しそうな顔立ちをしている むしろ私の好みだ

家に着いて寝室のドアがｳｨｰﾝと開いたら直ぐにベッドに彼女を寝かせた

ベッドの横にある引き出しを引っ張ってΩ専用の抑制剤を探していると服の袖をグイッと引っ張られた

苦しみながらも私に命令する彼女に私は動揺を隠せなかった

そもそも番ったΩは他のαの事を拒絶する 番った相手じゃなければヒートは抑えられない

だから、捨てられたり、相手が先に亡くなってしまった場合は1人虚しくヒートに耐える事しか出来ない

だから、私は今αとΩの番関係が消える薬を開発しているんだ

正直、無いとは言いきれない 放っておけないのもあったけれど顔が好みだし、何より熱が集まってズボンが膨らんでるんだから説得力なんかない

ベッドに上がり彼女に覆いかぶさった

自分を否定する言葉を言い続けていると、私の頬にポタポタと水が落ちてきた

ボロボロと泣きながら服を脱いでいく様子をじっと眺めていた

ゴムを取り出して近くの机に置いたのを確認する

番の相手は一切ゴムを付けたことが無かった。私はΩの癖に子が出来にくい体質らしく、何回中に出されても出来なかった

服を脱がせるとあらゆる所に痣があって中には赤黒くなっているものもあった

力なく笑う彼女の痣をそっと撫でる

チュッと軽く痣にキスをしていき頬を撫でる