🛍️『春の準備と、新しい服』
病院の廊下に、光が差し込む時間が増えてきた。 冬の終わりが、ゆっくり近づいている。
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えとさんが、朝の回診のあとにこっそり言ってきた。
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彼女はちょっと顔を赤くしながら、視線を落とした。
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売店の横の談話室に並べられた段ボール。 中には春物の服が、看護師さんたちの支援で用意されていた。 いわば、“新しい日々”への支度。
えとさんは白いワンピースと、桜色のカーディガンを手に取った。 軽く羽織って、くるっと回って、こっちをみる。
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照れながら笑う彼女を見て、僕もなんだか心がふわっと浮いた。
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結局、僕は白シャツとベージュの薄手コートをえとさんに選ばれた。 それを試着して、えとさんの前にたつ。
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笑い合いながら、ふたりで鏡の前に並んで ーー僕はふと、思った。 これが、ずっと遠いと思っていた未来だった。
🚶『仮退院と、街のにおい』
その週末。僕とえとさんは、短時間だけの仮退院許可をもらった。
病院の玄関を出た瞬間、風の匂いが違った。 ちょっと冷たいけど、ちゃんと「春のにおい」がした。
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ふたりで歩く街は、なんでもない景色だった。 信号を待つ時間も、車の音も、スーパーのチラシも ーーぜんぶ特別に感じる
えとさんは何気なく手を差し出してきて、僕の手を握った。
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その言い方がなんだかおかしくて、僕らは笑った。 なんでもない日常が、こんなにも愛おしい。
🍦『「あーんして?」の逆襲アイス』
仮退院の日、街のコンビニで買ったアイスをふたりで半分こにして、 小さな公園のベンチに並んで座った。まだ寒いけど、 外の空気ってだけで、全部が特別な味になる。
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アイスのスプーンを、わざとゆっくり、でもしっかりと口元にちかづけていくと、 なおきりさんが、ちょっと目をそらして照れてるのが、可愛すぎた。
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私がニヤッと笑ってスプーンを彼の口に運ぶと、なおきりさんは しぶしぶ顔を戻して、ぱくっと食べた。
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なおきりさんが、いつもの落ち着いた声でつぶやく。
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ふたりして笑って、肩を軽く寄せた。 いつもと違う立場、ちょっとだけいたずらな私ーー でも、なおきりさんの顔が見られるなら、もっとやってもいいかも。
🍓『その味、僕にも分けてよ』
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そう返して、えとさんが得意げに笑ったときだった。 僕はスプーンを受け取って、アイスを一口……食べるふりをして、ふと思いついた。
これは、いけるなって。
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僕がそう言って、スプーンを彼女の方へ差し出すとーー
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えとさんが口を開けかけた、その瞬間だった。
「……いや、僕が直接もらうよ」
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彼女の戸惑う声を聞きながら、僕は少し身体を近づけた。 アイスをほんのり特に残した彼女の唇に、自分の唇を重ねて……軽く、奪った。
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唇が離れた後、えとさんは顔を真っ赤にして目を見開いてる。 さっきまで“からかい返し成功!”って表情だったのに、今は完全に逆転。
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えとさんが真っ赤な顔で僕の肩を軽く叩く。 それすら可愛くて、また少しだけ、からかいたくなる。 でも今日はーー
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その言葉は、冗談じゃない。からかいでもない。 いままでの“からかい”のぜんぶを詰め込んだ、僕の本気だった。
💘『新しい日々のはじまり。制服選びと、僕のとっておきのからかい』
試着室のカーテンが、そっと開いた。
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えとさんが着たのは、退院後に通うことになる学校の制服。 新しいブレザーに、ふわりと揺れるプリーツカート。どこかまだ見慣れないその姿に、 僕は……つい、言葉を失ってしまった。
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僕は一歩近づいて、えとさんの耳元に顔を寄せた。
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顔を真っ赤にして口をパクパクさせてるえとさんを見て、僕はにやりと笑う。 ふふ、これが僕の“最強のからかい”。えとさんが手を顔に当てて、照れながら反撃の チャンスを狙らってるのがもうバレバレだ。
でも、ここで止まらないのが僕らしいところ。
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僕はえとさんの手をそっと取って、指を絡めながら言った。
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そんなやりとりを交わしながら、指をつないで街を歩く ーー初めての仮退院。少しまぶしい太陽と、背中を押すような風。
その全部が、やたしくて、愛おしかった。
コメント
7件
いいねが止まりません!! ポピ🌷さんの投稿が毎日の楽しみです笑 続きめっちゃ楽しみにしてます!
ポトちゃん可愛いっ ! !笑 なんかまじのデ ー トだわ、(( 続き楽しみにしてます !