テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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LINE１３８５

第1話 - あ

2023年12月05日

#スカッと

タナカトシキ

サトミ

サヤカさん

サトミ

私、この前言ったわよね？

サトミ

お子さんの声がちょっと大きすぎるんじゃないの？って

サヤカ

すみませんでした

サヤカ

うちの子には、注意しているつもりなんですけど...

サヤカ

まだ育ち盛りの子供なので、ある程度は許容してあげて欲しいんです

サトミ

何言ってるの

サトミ

私、これでも十分許容しているんだけど？

サトミ

かなり、子供に優しい方でしょ？

サヤカ

それは、ありがとうございます

サヤカ

ただ、これ以上静かにしなさい、っていうとあんまり良くない気がして...

サヤカ

そこまで大声をだしているわけでもないと思うんですが...

サトミ

あなた、それ本気で言ってるの？

サトミ

あんな声のボリュームで迷惑じゃないと思ってるなんて...

サトミ

サヤカさん、あなた一体どんな家庭環境で育ってきたわけ？

サヤカ

どんな、って...

サヤカ

兄が２人いましたが...

サトミ

ほ～ら、やっぱり！

サトミ

男子に挟まれて暮らしてる人は、結局はわがままに育っていくのよ

サトミ

それで、その子供もろくな子に育って行かないんだから

サヤカ

そんな言い方しなくても...

サヤカ

私は、割と子供には礼儀とか常識とか教えていますよ

サヤカ

保育園でも、そこまで注意なんてされたことないですし

サトミ

保育園なんて、子供を甘やかすのが得意な人が多いでしょ

サトミ

そんな保育士たちに頼ったいたら、ろくな子に育たないわよ

サヤカ

そんなことないです

サヤカ

うちの子は、譲れるものは譲れますし、人に優しく接することができる子ですよ

サヤカ

電車やバスでお年寄りに席だって譲れますし、

サヤカ

困っている人がいたら荷物だってもって上げれる優しい子なんですから

サトミ

そんなの、親が当たり前に教えていくことでしょ

サトミ

ちょっと人助けできたくらいで、褒めているんじゃないでしょうね？

サヤカ

褒めるに決まってるじゃないですが

サヤカ

どんな些細なことでも、自分から動いて行動できたら、私は褒めてあげたいです

サトミ

そんなこと言ってるから、調子に乗るんでしょ

サトミ

もう少し、周りのことを考えられるようになってほしいわ

サヤカ

今でも十分、ご近所には配慮してるつもりですが、

サヤカ

もう少し、時間を考えて声の大きさに気を付けるように言ってみます

サトミ

言ってみる、じゃなくて確実に私に迷惑かけないようにしてちょうだい

サトミ

こっちだってね、仕事してんのよ

サトミ

夜勤で疲れて帰ってくる日もあるのに、一番ゆっくりしたい場所でゆっくりできないじゃない

サトミ

そんなの、苦痛で仕方ない、ったらありゃしないんだから

サヤカ

すみませんでした

サヤカ

十分に気を付けるように、うちの子には言っておきますので

サトミ

ほんと、しっかりしてよ

サトミ

私、今度の土曜日が夜勤明けなの

サトミ

ただでさえ連勤で疲れてると思うから、

サトミ

そんな日にうるさくされたら...たまったもんじゃないんだからね

サトミ

しっかり、あなたの子に言っておいてよ

サヤカ

はい、分かりました

~土曜日の夜～

サトミ

ちょっと！サヤカさん！

サヤカ

はい？

サトミ

私、この前言ったわよね？

サトミ

土曜日は夜勤明けで疲れてるんだから、静かにしておいて、って

サヤカ

はい...

サヤカ

今日は、私も家にいましたが、静かにしていましたよ？

サヤカ

別の家とかじゃないんですか？

サトミ

違うわよ！

サトミ

今日の町内清掃で、あなたの家の子がはしゃいでたじゃない

サヤカ

黙って掃除しなさいなんて、言う必要ないですし、

サヤカ

静かに掃除しなくてもいいですよね？

サヤカ

今日、うちの子は会長さんにも、他の子より人一倍お手伝いしてて偉い、

サヤカ

って言ってたんですから

サトミ

それは、会長の意見でしょ

サトミ

私には、私なりの意見があるの

サヤカ

そんなこと言われても...

サヤカ

っていうか、サトミさんは今日、清掃があるってこと知ってましたよね？

サトミ

知ってたけど？それがどうかしたの？

サヤカ

どうかしたの、って...

サヤカ

参加は義務ですよ？

サヤカ

なんで休んでたんですか？

サトミ

だから、今日は夜勤明けなの

サトミ

疲れてる体で、また重労働の掃除をしろ、っていうの？

サヤカ

疲れているなら、別に休んでもいいと思います

サヤカ

でも、自分がそんな理由で休むなら、私にも同じ理由で休ませてくれてもいいじゃないですか

サヤカ

それに、一言周りに言うのが礼儀なんじゃないですか？

サトミ

あなた、夜勤なんてないでしょ

サトミ

私は介護の仕事で、朝方まで高齢者の面倒を見ないといけなくて大変なのよ

サヤカ

私は昼間のパートタイムの仕事で夜勤なんてないですけど...

サヤカ

前回の町内清掃で、風邪で病み上がりだから休みます、って言ったら...

サヤカ

それくらいで休むんじゃないわよ、って言ってきたじゃないですか

サトミ

あら？そんなこと、言ったかしら？

サヤカ

言いましたよ...

サヤカ

覚えてないんですか？

サトミ

覚えてないわね～そんなこと

サトミ

っていうか、病み上がりなんてそんな大したことないでしょ？

サトミ

まだ若いんだし、どうにかなるじゃない

サヤカ

若いとか、年齢の問題じゃないですよね？

サヤカ

体力的にきつかったのもありますけど、

サヤカ

周りに移したらどうしよう、っていう心配もあったんです

サヤカ

今は、風邪とかはやりやすい冬の時期なので

サトミ

そんなこと、大したことじゃないわ

サヤカ

私や、子供には厳しく当たるのに、自分には甘いって...

サヤカ

それこそ、人としてどうなんだろう、って思いますけど...

サトミ

あなたにそんな偉そうなこと、言われたくないわね

サヤカ

私、真面目に常識的なことを言っているだけですよ

サトミ

非常識な子に育てた子あなたが、真面目に育てたなんて、何言ってるの

サトミ

結果が、あなたの子育てがいかにダメだったか、物語ってるわよ

サヤカ

私は、うちの子が人に優しくできるところは自慢だと思っています

サヤカ

サトミさんがどう思うかは自由ですけど

サトミ

あっそう

サトミ

サヤカさんも、ずいぶん頑固なのね

サヤカ

頑固なんじゃなくて、うちの子がそんな悪いように言われるのが嫌なだけです

サトミ

あっそう

サトミ

まあ、これ以上迷惑をかけるようなことがもしあったら...

サトミ

会長のアイコさんにも相談するからね

サヤカ

勝手にしてください

サトミ

そんな強気になっちゃっていいの？

サトミ

これ以上ひどくなれば、退去も考えてもらうけど

サヤカ

構わないです

サトミ

あっそう

サトミ

まあ、それだけ覚悟があるのね

サトミ

じゃあ、今度私が迷惑だ、って思った時は覚えておいてね

～４日後～

サトミ

サトミさん

サトミ

今度こそ、退去する覚悟はできているのよね？

サヤカ

は？

サヤカ

何ですか？いきなり...

サトミ

いきなり、って...あなた今、家にいるんじゃないの？

サヤカ

いえ、今はスーパーに買い物に来ているんですけど...

サトミ

なんですって！？

サトミ

５歳の子供に１人で家に留守番させてるの！？

サヤカ

はい？

サトミ

あのね！今、あなたの部屋からあなたの子の、戦隊もののセリフをマネする声が聞こえてきたの！

サトミ

さっきから、ずっと繰り返してて、うるさいのよ

サヤカ

えっと、すいませんけど...

サヤカ

私、子供と一緒に買い物に来ているんですよ？

サトミ

え？

サトミ

どういうこと？

サヤカ

えっと、多分...

サヤカ

サトミさんが聞いたのは、アイコさんが勝っているインコの鳴き声だと思います

サヤカ

アイコさんが、私が仕事で家にいない間に、うちの子を家で預かっていることがよくあって...

サヤカ

うちの子が戦隊もののアニメのセリフを言っているうちに、覚えちゃったみたいなんですよね

サトミ

そんな...

サトミ

じゃあ、今あなたの家にいるのは...

サヤカ

アイコさんと、アイコさんのペットのインコだと思います

サヤカ

スーパーの営業日の関係で

サヤカ

どうしても、この時間帯にしか今週は買い物に行けずで、

サヤカ

でも、荷物の代引きの受け取りがこの時間帯に来る、って連絡が来たんです

サヤカ

頃割るのも申し訳ないので、アイコさんに受け取りをお願いしたんですよ

サトミ

そんな...どうしよう

サヤカ

何がですか？

サトミ

あなたに直接言っても聞かないと思って、警察を呼んじゃったのよ

サヤカ

え、警察なんて...

サヤカ

そんな大事にしたら、アイコさん困るんじゃないですか？

サトミ

警察が来た時には、私から説明しておくわ！

サヤカ

あっそうですか...

サヤカ

それじゃ、失礼しますね

～10分後～

サトミ

ねえ、今警察のパトカーがうちのマンションの前に来ているんだけど...

サトミ

警察の人、来てるのかしら？

サヤカ

あ、私たちも、今ちょうどマンションの前に着いたところです

サトミ

え？そうなの？

サヤカ

はい、それで...

サヤカ

なんか、アイコさんが警察の方と話したみたいですよ

サトミ

え？何を？

サヤカ

え～と...まだ話の途中みたいですけど、

サヤカ

聞こえてくる感じ、読んだのは私の部屋の上に住んでる人、って言ってましたよ

サトミ

え！？

サヤカ

それって、私のところに話しに来るかもしれない、ってことじゃないの！？

サトミ

どうすんのよ...

サトミ

私、営業妨害とかで訴えられた李するのかしら...？

サヤカ

いえ、アイコさんが私が注意しておくので、今回は見逃してください、

サヤカ

って頼んでいますよ

サトミ

あっ、そうなのね...

サトミ

良かったわ

サトミ

わざわざ連絡して悪かったわね

サヤカ

いえ、大丈夫ですよ

～15分後～

アイコ

サトミさん

アイコ

ちょっと、話したいことがあるんだけど

サトミ

はい、何でしょうか？

アイコ

あなた、サヤカさんのお子さんに、日中大声で話していてうるさい、

アイコ

って頻繁に注意するみたいね

サトミ

それは...

サトミ

私が仕事で疲れている時に、タイミング悪く大きな声が聞こえてくるんです

サトミ

なので、タイミングが悪いというか...なんていうか...

アイコ

あのね、言っておくけど...

アイコ

あなたの叫び声の方が、よっぽどうるさいわよ

サトミ

え？

サトミ

というと？

アイコ

まさか、自分で気づいてないのかしら？

アイコ

好きなアイドルのDVDを見ている時、部屋の外まで感性がだだ漏れなのよ

サトミ

え...聞こえていたんですか...

アイコ

当たり前でしょ！

アイコ

真下の部屋に住んでいると、良く響いてくるわ

アイコ

隣に住んでいるサヤカさんも、知っていると思うけど？

サトミ

でも、今までそんなこと言われなかったですし...

アイコ

それは、サヤカさんが優しいからじゃない？

アイコ

お子さんだって大人に優しくできるし...

アイコ

立派なお母さんじゃない

アイコ

それに比べて、あなたは自分のことしか考えられないわね

アイコ

今回だって、警察なんて呼んで...大事にして...

サトミ

それは、本当にすみませんでした！

サトミ

本当に、気をつけますので...

アイコ

分かったなら、いいけどね

アイコ

まあ、あなたがいかに子供に対して厳しいか、近所の人に知られちゃったけど

サトミ

え？どういう、ことですか...？

アイコ

あなたが夜にアイドルのDVDを見ながら歓声あげててうるさい、って...

アイコ

警察の人に軽く言っておいたわ

サトミ

え！？

アイコ

まあ、目的はあなたに罰金を払ってほしいとかじゃなくて、

アイコ

近所の人にその事実を知ってもらうことだったから

サトミ

周りに聞こえるように、大きな声で話して言いふらしておいたわ

アイコ

え...そんな

アイコ

サヤカさんのお家は、お子さんに対して教えるべきことは十分に教えてるわ

アイコ

だから、これ以上余計なこと言わないでよね

アイコ

何か言ったら、サトミさんに退去を命じるからね

サトミ

それだけは...勘弁してください...

アイコ

じゃあ、サヤカさんのお子さんにも優しくね

サトミ

はい、すみませんでした...

～後日談～

サヤカ

それから、サトミさんがうちの子に関して何か言ってくることは一切なくなりました

サヤカ

マンション中に、サトミさんがアイドルのファン、だということは

サヤカ

マンション外のご近所にも知られたらしく、いい年してアイドルが好き、ということがばれ、

サヤカ

サトミさんはすごく赤面しており、なんだかスッキリしました

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タナカトシキ

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