瑞希
早く、早く探さなきゃっ───
(ガタガタガタッ!!!
瑞希
えっ____?
校舎が……崩れた……?
校舎が……崩れた……?
もうこのセカイは崩壊寸前だった
瑞希達が来た頃にはもう、崩壊が始まっていた____
瑞希
ぃ、いや……助けて……このままじゃ、巻き込まれるっ…!!
スマホ……スマホは…?「bug」を再生しなきゃ…ッ!!
スマホ……スマホは…?「bug」を再生しなきゃ…ッ!!
瑞希
(手が、動かない…っ!!震えが止まらない...
助けて、助けて───類っ!!!!)
助けて、助けて───類っ!!!!)
シャララララ!!
類
瑞希!!!!
瑞希
え……類───?
どうしてここにっ……!
どうしてここにっ……!
類
そんなの、助けに来たに決まってるじゃないか!!
「bug」が、自動的に再生されて……、来たら瑞希が見えたから……
「bug」が、自動的に再生されて……、来たら瑞希が見えたから……
類
逃げよう、瑞希!!走って!!
行こう……!
行こう……!
瑞希
待って…待って!!まだ、大切な物、治してないっ!
このまま倒壊したら、もう戻らなくなっちゃう!!
このまま倒壊したら、もう戻らなくなっちゃう!!
類
瑞希……でも、もう時間が……
このままじゃ僕達もッ...
このままじゃ僕達もッ...
瑞希
ボクは本気だよ。誰かの大切な物、諦めたくない。
誰かにとってのかけがえのない存在を、
ボク達が諦めて終わりにするなんておかしいでしょ?
誰かにとってのかけがえのない存在を、
ボク達が諦めて終わりにするなんておかしいでしょ?
瑞希
お願い、類。ボク達で想いを取り戻そう!!
ボク達なら出来るよ!!
ボク達なら出来るよ!!
類
〜ッ、分かった!!瑞希は本気なんだね。
いいよ、僕も行こう。誰かの想いを取り戻そう。
いいよ、僕も行こう。誰かの想いを取り戻そう。
瑞希
うんっ……!!
ほら、早く行くよ!!急がなきゃ崩壊しちゃうんだから……!
ほら、早く行くよ!!急がなきゃ崩壊しちゃうんだから……!
類
できるだけ効率的に探そう!瑞希、
濡れていた教室はどこか覚えてるかい?
濡れていた教室はどこか覚えてるかい?
瑞希
それが、覚えてないんだ……ごめん、類
類
いや、大丈夫だ!こうなったら手当り次第探そう!!
全ての教室に入れば、どこか分かるはずだ!
全ての教室に入れば、どこか分かるはずだ!
瑞希
えぇ!?……まあ、それしかないか!
よし、じゃあボクはこっちに行く!
よし、じゃあボクはこっちに行く!
類
じゃあ僕は向こうに行くよ。見つかったら叫んでくれ!!
瑞希
了解!!
よしっ、やるぞ!!
よしっ、やるぞ!!
瑞希
(最後まで、諦める訳にはいかない。
誰かにとっての大切 を取り戻すんだ。)
誰かにとっての大切 を取り戻すんだ。)
ガララッ
瑞希
(ここだ、ここの教室だ…!)
瑞希
はぁっ、はあっ……!!
やっと、やっと見つけた……!!
やっと、やっと見つけた……!!
瑞希
スウッ……
類──────っ!!!!!
瑞希
えっと、傘…傘…
でも、傘ってどうやって直すの??
でも、傘ってどうやって直すの??
瑞希
(今までの大切な物は、ちょっとパーツを合わせたり、元の状態に
戻すことが意外と簡単だった)
戻すことが意外と簡単だった)
瑞希
(でも傘は……布とか使うのかな……?
いや、でもそれじゃあ____
まさか____。)
いや、でもそれじゃあ____
まさか____。)
類
瑞希!!良かった、見つけたんだね!!
瑞希
類、多分この傘、直す必要ないよ。
類
____えっ?どういうことだい?
直せば想いが元に戻るって言っていたじゃないか!
直せば想いが元に戻るって言っていたじゃないか!
瑞希
だって、直せないもん。わざわざ直せないものがあるってことは、
直す必要なんてないってことじゃないの?
直す必要なんてないってことじゃないの?
類
確かに……じゃあ、もうこれでいいのか____?
瑞希
(雨も、傘も、大切な想い出なんだよね。誰かさん)
瑞希
(これは、そのままでいいんだよね───?)
類
じゃあ、そろそろ帰ろうか。
元に戻したことだし。
元に戻したことだし。
瑞希
うん、そうだね。
瑞希
(ボク達がやった事が正しいかどうかは分からない。
だけど、少しでも誰かの想いの助けになったらいいな____)
だけど、少しでも誰かの想いの助けになったらいいな____)
類
じゃあ、「bug」を再生するよ。
類
クルッ(後ろ向く)
瑞希
類?どうしたの?なんかあった?
類
いや?なんでもないよ。ふふっ…
瑞希
もう、どうしちゃったの、類〜?
類
(彼女は、このセカイにも居たんだね)
ミクくん。
類
(どうやら心配はいらなさそうだ)
瑞希
類、早く帰ろ!!
類
うん、分かったよ
類
(さようなら、ミクくん
君がいてくれて、本当に良かった)
君がいてくれて、本当に良かった)
???
……こっちに気がついたみたい
???
まあいいか。どうせあの人たちはもう来ないし
???
ふふっ、ありがとう。《きみたち》。
あとはぼくに任せて欲しいな
あとはぼくに任せて欲しいな
瑞希
えっ、今誰か───
シャララララ!!
瑞希
あっ、待って───!!
ミクらしき誰かは、瑞希に向けて手を振っていた
瑞希
……!!
瑞希
ありがとうー!!本当にありがとうー!!
あとは任せたよー!!
あとは任せたよー!!
シャララララ____
???
はいはい、分かったってば。全く、ああいうとこは変わんないよね、君と。
言い方は違くても、考えてる事は同じでしょ?
言い方は違くても、考えてる事は同じでしょ?
???
誰かを助けたい、救いたいという信念はさ。
君とあのこって、意外と似てるよね
君とあのこって、意外と似てるよね
____
そんなことは無い。俺とあいつは全く似てないと思うが
???
ふーん、そっかぁ。まあそれはどうでもいいんだけど!
____
どうでもいいのかよ……
???
まあ、ぼくと《あ の こ》達には感謝しなよ。
君の想いを取り戻してくれたんだからさ
君の想いを取り戻してくれたんだからさ
____
……
???
ま、いいけど
ありがとう、《だ れ か》。
窓に写る空は、すっかり晴れていた。
数日後
瑞希の部屋
瑞希
(あれっ、bugが再生出来なくなってる)
瑞希
(……もう、想いを取り戻しているのかな)
瑞希
それなら良かった____
これは一体誰の想いだったのか。
知ることは後にも先にもないだろうけど。
ただ、ひとつだけ。
誰かがボクらのおかげで救われたのなら
良かったって思うよ
大切な物は、守れたよ。
あとはよろしくね、ミク。
???
……わかった。
誰かがしゃぼん玉を吹いてた。
???
また、来るといいな
???
あのこ。
END