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校庭に響く運動部の声もない
誰もいない放課後の教室
かなめ
かなめ
左に目線を移し、窓を覗く
かなめ
かなめ
かなめ
かなめ
黒板にはチョークの色が残っている
赤味の強いオレンジの光で 何色かわからない
かなめ
かなめ
かなめ
かなめ
私は
吃音症である
かなめ
かなめ
かなめ
かなめ
吃音症は日本に100人に 一人と言われている
今までは円滑に喋れていても 突然発症することもある
先生
かなめ
かなめ
先生
先生
かなめ
先生
先生
かなめ
桜井、まだ残ってたのか。
かなめ
それにしてもお前は偉いな
かなめ
まぁ取り敢えず早く帰るんだぞ
かなめ
そう言うつもりだったのに
かなめ
こんな小さな日常会話ですら まともにできない
それが頭の中でぐるぐる渦巻く
みんなの当たり前が私にはできない
後悔と嫌悪感の渦が深くなって 過去のこともずるずる引っこ抜かれる
かなめ
自分の惨めさと 言葉を無視された相手の気持ちを想像して
どうしようもない今に涙が滲む
かなめ
タッタッタッ…
ガラッ
かなめ
かなめ
神崎
しゃくり上げながらも なんとか力を振り絞った
質問の答えに 首を横に振って、ハンカチで涙を拭き取った
かなめ
神崎
神崎
神崎
神崎
緊張のあまり体が動かなくなって
何か話した方がいいのか、 机を片付けていいのか分からず
神崎
神崎
神崎
神崎
夕陽に反射する透明な茶色の瞳を 見つめてしまっていた
かなめ
かなめ
名前を呼ばれて反射的に目を逸らす
神崎
神崎
神崎
神崎
神崎
無視し続ける私を怒っていると勘違いして 神崎さんは謝った
声色から悲しい顔をしてることが 容易に想像できた
なんとかして誤解を晴らしたい……
神崎
神崎
なにか…!話さず伝える方法…!
神崎
かなめ
神崎
神崎
神崎
神崎
かなめ
かなめ
そういって乱雑に書かれた文字を突きだす
神崎
神崎
神崎
神崎
神崎
もしかしたら汚くて読めないのかも…
書き直さなきゃ…
神崎
かなめ
気が付くと右にすぐ神崎さんが居る
見なくても爽やかな匂いして…
神崎
かなめ
咄嗟に出た言葉が恥ずかしかったけど 急いでペンを走らせた
神崎
神崎
うん、の代わりに頷いた
ノートに向かって
神崎
神崎
かなめ
神崎
神崎
神崎
神崎
かなめ
くすっと笑いながら 少ない5文字を書いた
神崎
神崎
かなめ
神崎
神崎
かなめ
かなめ
かなめ
神崎
気付けば神崎さんと 会話してるような気分だった
はじめて、人と繋がれた…
嬉しくって ニヤニヤしちゃう
神崎
かなめ
バレてた
体の内側がじわじわ熱くなる
あつい
顔が赤くなってるかも
でも逆光と 今の教室はオレンジ色だから バレないはず
先生
先生
神崎
神崎
かなめ
何がどうなってるの?
気がつけば
真っ暗で
神崎
神崎
かなめ
神崎さん呼吸音が
耳元で聞こえる
たぶん今私達は
ロッカーの中にいる
…………
"同じ"
ロッカーに