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だいふく
だいふく
夜――静まり返った家の空間に、他の3人の気配はなかった
蓮も零斗も龍牙も、用事か何かで外に出ているらしい
誰にも何も言われてないのに、自然と分かってしまう
なんで……俺だけ、置いてかれたんだよ
不安が膨らんだまま部屋を出た麗央は、リビングの隅に座る朔矢の姿を見つけ、思わず立ち止まった
朔矢
朔矢はいつものようにチャラついた笑顔で、足を組みながらこちらを見る
その軽さが逆に怖い。気が抜けない。逃げられない
麗央
か細くても、精一杯だった
逃げ腰でも、言い返さずにはいられなかった
朔矢
朔矢
朔矢がわざとらしく身を乗り出してくる
麗央はすぐ一歩引いた。けれど、背中には壁。逃げ道はない
麗央
唇が震える。言葉は掠れていたけれど、それでも、意思はあった
目を合わせるのが怖い。それでも、見下ろされるだけじゃ終われなかった
朔矢は、一瞬だけ目を細めた
それが、笑っているのか、見定めているのか、分からなかった
朔矢
にやりと口角を上げながら、朔矢は立ち上がった
そのまま麗央にゆっくり近づく
麗央の肩がびくっと震えるのを、彼は見逃さない
朔矢
朔矢
朔矢はあくまで軽く、柔らかい声で言う。けれど、その目だけが笑っていなかった
朔矢
目の前まで来て、顔を近づける
朔矢
麗央の喉がひゅっと鳴る
怖い。だけど――また同じ目には、戻りたくなかった
麗央
声は震えていた。でも確かに、出せた
朔矢はその言葉に、しばらく黙ったまま麗央を見つめた
そして次の瞬間、ふっと小さく笑う
朔矢
朔矢
それが、どういう意味なのか
麗央には、まだ分からなかった
けれど確かに、朔矢の目は――以前より、ずっと深く、危うい光を宿していた
コメント
6件
やばい最高🥹💓
最高すぎる!
めちゃくちゃドキドキしました…!!最高です💧