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川島

ゆいちゃん

ゆい

川島さん…?

今更なんだというのだろう。

川島

暗いから送ってくよ

ゆっくり私に近づく。 誘拐されたときの感触を思い出した。

川島

俺が怖い?

私の手を握る。

そんなんじゃない。

ここに来てから、怖いものなんてなくなった。

川島

乗って

助手席に乗せてもらい暗い夜道を走る。

何も起こらない静かな車内が不自然に思えるほど、色々なことが起こりすぎた。

川島

タバコの匂いとか、気にならない子?

沈黙を破る川島さん。

ゆい

へ…?

訳が分からず固まる私。

川島

そう言われて、自分の制服に染み付いたタバコの匂いに気がつく。

川島

大悟でしょ?

ゆい

あ…えっと…

川島

着いてすぐやられた?

何を答えたら良いか分からなかった。

川島

ごめんね

ハンドルを握りながら、川島さんは呟いた。

川島

俺らが汚しちゃったね、ごめんね

嘘じゃない。この人は、本当に謝ってる すぐに分かった。

ゆい

謝らないでください。汚れたがったのは私なんです。汚いからです。汚いんです。だから…

川島

信号が赤になって、車が止まる。 川島さんが私の唇に人差し指を当てる。

川島

もうそれ以上は喋らないで?

川島さんと見つめ合う。 信号が青になった。

車が再び走り出す。

川島

ゆいちゃんは汚くなんかないから

心が溶けてきた、気がする。

ゆい

川島さんは、いい人です…

川島

え?笑 
それはどういうことよ

微笑むその横顔はとても優しかった。

ゆい

え…と、唯一私に乱暴しなかったし

ゆい

こうして謝ってくださったし…、

川島

ゆいちゃんはすぐ騙される癖やめないとね笑

ふふ、と笑いかけてくる。

怖がればいいのに、逃げ出せばいいのに 何故か顔が綻んでしまう。

絶望でおかしくなってしまったのだろう

川島

でもまぁ俺は

川島

大悟たちとは違うんで安心してくれ

ゆい

え…?

私の住むマンションの前に着いた。 車が止まる。

川島

5分だけちょうだい

川島さんが私の目をまっすぐ見て話す。

川島

もう会いたく無い?

ゆい

え…っと、うーん…

川島

傷つけないから、そばにいてほしい

ゆい

あの…川島さん?

川島

約束するから。だからまた来てよ。

川島

ゆいちゃんの笑顔が好き…見たいから

ゆい

沈黙が流れる。

ゆい

…あ。5分経ったので、失礼します

車を降りようとしたそのとき、 手首を掴まれた。

川島

待ってるね

それだけ言うと、川島さんは私の手を離してそのまま車を走らせてしまった。

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