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テラーノベル(Teller Novel)

恭平となんて事ない話をしながら帰る 毎日通る道なのに、1人じゃないってだけで 新鮮な感じがする

2人とも学校から徒歩圏内に住んでいて 最近この辺りに引っ越してきたという恭平の家は 学校と僕の家の間にあった 普段朝から晩まで部活の練習で忙しい恭平とは 学校へ行く時間も帰る時間も違くて 今まで一緒にこの道を歩いたことはなかった

恭平

あ、あれ俺の家

と恭平がグレーの外壁の家を指差す その家の前に誰かが立っていた

恭平

あれ?大吾くんやん、
今日来るん早ない?

大吾

大学から直で来たから
いつもより早く着いてん

大吾くんと呼ばれたその人は 無地のトレーナーに黒のパンツ姿で シンプルで無駄のない格好をしていた

透けるような色白の肌に艶のある黒髪、 長めの前髪でよく見えないがきょろっとした瞳が どこか小型犬みたいな雰囲気を感じさせる 会釈しようとした時、ザァっと大きな風が吹いた

恭平

うわっ、風つよっ、

前髪が風に揺れて隠れていた 黒目がちな瞳と目が合った瞬間 世界から音が消えて 全てがゆっくりとスローモーションになった

まるで金縛りにあったように動けなくなって 隣で恭平が何かを話している気がするのに 何を言っているのか理解できない ただその瞳に吸い込まれて その場に立っていることしかできなくて

なにこれ、と初めての感覚に戸惑っていると

恭平

りゅちぇ、この人大吾くん

恭平にりゅちぇ、と呼ばれて 止まっていた思考がフル回転し始める

恭平

俺の家庭教師やねん
で、こっちがりゅちぇ
俺の友達

何か話さないと、と慌てて挨拶をする

流星

...初めまして、
恭平の友達の大西流星です

大吾

初めまして、
恭平の家庭教師の
西畑大吾です

ぺこりと頭を下げてから顔を上げると またニシハタさんと目が合った 一度目が合うとその瞳に吸い込まれるように 逸らせたくなる

恭平

...?大吾くん、行くで?
ほなりゅちぇまた明日〜

流星

あ、うん、それじゃあ

なんかその視線を断ち切るように バイバイと恭平に手を振りその場を離れる 二人に背を向けて歩き出したものの、 どうしてもニシハタさんのあの瞳が忘れられなくて そっと振り返った

っ!

するとニシハタさんもこっちを見ていて また目が合ってしまった

...3度目や

急に顔が熱くなる感覚がして あの黒々とした瞳から逃れるように 僕は走って家に帰った

こんな気持ちは知らなくて

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