相澤桜子
(…結局昨日は帰った後、お母さんに何も言えなかった。)

相澤桜子
(言えないよ、女の子に襲われそうになったなんて…)

相澤桜子
(しかもずっと友達だと思ってた翡翠ちゃんに…)

相澤桜子
うっ…うぅ…ヒッ…!

昨日のことを思い出せば、恐怖やショックで涙がこみ上げてく
相澤桜子
…今日は、お母さんに嘘ついてズル休みしちゃったけど

相澤桜子
明日からはちゃんと行かなきゃ…

相澤桜子
お母さん…?帰ってきたの?

相澤桜子
(でもお母さんが仕事から帰ってくるのには早すぎる…)

相澤桜子
(……まさか)

相澤桜子
翡翠ちゃん…?

相澤桜子
…ッ!

相澤桜子
あ…っ、どうしよ…

相澤桜子
(今は学校が終わるぐらいの時間…)

相澤桜子
(だとしたら翡翠ちゃんが来ている可能性は十分にある)

相澤桜子
(私に会うために…)

相澤桜子
…嫌だッ!来ないでッ!

成瀬蒼
桜子ー!大丈夫ー?

成瀬蒼
学校のプリント届けに来たけどー?

成瀬蒼
いないのかー?

相澤桜子
この声…蒼くんッ!

成瀬蒼
わっ?!

成瀬蒼
桜子ッ?どうした?そんなにあわてて出てきて…

相澤桜子
うぅッ…!蒼くんっ!グスッ!

相澤桜子
怖がッだよ~!ヒック…!

成瀬蒼
えぇっ!?

成瀬蒼
何で泣いてんのっ?!

しばらくして落ち着いた私は、昨日あったことを彼に話した。
相澤桜子
…ってことがあったの…

成瀬蒼
…アイツ!ふざっけんなッ!

相澤桜子
(蒼くん、凄く怒っている…)

成瀬蒼
そんなことしといて転校して逃げるとか!最低だ…ッ!

相澤桜子
えっ…転校…?

成瀬蒼
…桜子、まさか知らなかったの?

成瀬蒼
アイツ、今日から韓国のばーちゃんちに引っ越すって…

成瀬蒼
俺らも今日知ったんだけど…

相澤桜子
…聞いてない

成瀬蒼
じゃあ…もしかして、あの事も一条から聞いてないままなのか?

相澤桜子
あの事って?

成瀬蒼
あっ…いや、何でもない…

相澤桜子
(…蒼くん、どうしたんだろ)

相澤桜子
(それより、転校したんだ、翡翠ちゃん…)

…突然のことで驚いたし、小さい時からの幼馴染みだったから悲しい気持ちもあったけど、
正直、もう会わなくていいんだとホッとする気持ちの方が強かった。
成瀬蒼
…なぁ、桜子

成瀬蒼
辛かっただろ…

成瀬蒼
ごめん…ッ!何もしてやれなくて…!

相澤桜子
そんな、蒼くん…

相澤桜子
私ね、蒼くんがいてくれて本当によかった

相澤桜子
蒼くんがいなかったら、私、きっと一人で抱えて、今より苦しい気持ちでいたと思う…

相澤桜子
だから話せて少し楽になったよ。本当にありがとう…!

成瀬蒼
…ッ!

成瀬蒼
蒼…

相澤桜子
えっ?

成瀬蒼
これからは蒼って呼んで…

成瀬蒼
それに、ずっと桜子の側にいて、守れるよう強くなるから…ッ!

相澤桜子
蒼…

相澤桜子
…ありがとう!
