トウヤ
……ぁ
トウヤ
っ…!
トウヤ
おでこを派手に打ってしまった…
トウヤ
ここは…どこだ?…
トウヤ
…教室?
トウヤ
俺は…なぜこんな所にいるんだ?
トウヤ
夢…か?
トウヤ
いや…だがおでこを打ったのは痛かっ
たしな…
「思い出そうとした。」
ということは、結局は無理だったんだがな…
トウヤ
っ?!
突然、 俺の隣にあったロッカーが音
を立てて大きく揺れた。
驚いて振り返った俺の目の前で、ロッカーの扉がゆっくりと開いていくと───
???
うぅぅっ…
見知らぬ2つ結びの女の人。
いや、どこかで見たことがあるような気が…気のせいか
彼女はまだ意識が朦朧としているらし
く、やたら緩慢な動きで顔を上げる
と…
???
きゃぁっ!
驚いたのか、悲鳴をあげながら尻もち
をついてしまった
トウヤ
っ…!!
???
あっ、えっと…!
???
すみません!
どうしましたか?…
トウヤ
す、すまない…
急に大きな声を聞いて…頭に響いてし
まった…
???
えっ?…それ、私が悪いじゃないです
か!
???
すみませんっ…!
???
見た事ない場所にいて、見たことない人が立ってたからっ…混乱しちゃっ
て…!
トウヤ
いいんだ。
トウヤ
俺も混乱しているからな。
???
でも、妙に落ち着いてるように見えますね?…
トウヤ
そうか?
トウヤ
少し、感情を表情に出すのは苦手なんだ。
トウヤ
どちらにしろ、今は落ち着こう。
???
そ、そうですね!
モノカイト
おはっくまー!
???
ひゃあ!な、なに?…
トウヤ
くまの…ヌイグルミ?
トウヤ
喋ってる…よな?
モノレン
オレたちはヌイグルミなんかじゃない!!!
モノリン
モノクマーズだよ〜!☆
???
も、モノクマーズ?…
モノメイコ
知ってるの?
トウヤ
し、知るわけないだろう?…
モノカイト
そうか!
よかった!大成功だよ!
モノメイコ
安心したわね…
???
あ、あの…全く意味がわからないんですけど…
モノカイト
そうか〜
じゃあ、質問があれば聞くよ!
トウヤ
聞きたいことは沢山あるんだが…とりあえずは…
トウヤ
ここはどこだ?
どこかの学校か?
モノカイト
ここは、”才囚学園”だよ。
トウヤ
才囚学園?…
???
全く聞いた事ないよ…
モノメグ
そりゃそうよ〜
だって〜、あなたたち20人の為に作られた学校だもの〜
トウヤ
20人の…為?
モノメグ
そう。
この才囚学園には、20人の”超高校級”がいるのよ〜
モノメイコ
”超高校級”のことは知ってるわよね?
モノメイコ
政府が実施している特別な奨励制度…
”ギフテッド制度”から誕生した称号よ
モノカイト
ちなみに、ギフテッドっていうのは、”天才”とか”英才”を意味する言葉だよ。
モノメグ
将来が有望と見込んだ生徒に、様々な特権を与えてくれる制度、ってことよ〜
モノリン
で、その”ギフテッド制度”に選ばれた生徒が〜☆
モノレン
通称”超高校級”ってよばれてるんだよ!
トウヤ
それは…説明されなくてもわかっている。
トウヤ
俺も…そうだしな。
モノカイト
うん!完璧だね!
トウヤ
完璧…?
モノレン
うるさーい!さっさと始めちゃおうよ!
???
は、始めるって…何を?…
モノメイコ
この”才囚学園”について調べるのよ
モノメグ
他の”超高校級”と自己紹介しておくのも大事よ〜!
モノリン
あとで〜…やっぱり言うのやーめた!☆
モノレン
おいモノリン!意地悪だな!
モノカイト
まぁまぁ。もう言うことは言ったし!では!
モノクマーズ
ばーいくま!
トウヤ
…行ってしまった…
???
……
???
これって…夢じゃない…ですよね?
トウヤ
むしろ…夢ならよかったな…
トウヤ
とにかく、今は出口を探そう
ここには”超高校級”の生徒が20人いると聞いたが…
トウヤ
あ、あなたも”超高校級”の学生なのか?
トウヤ
なら、自己紹介をしておきたい。
???
あ、はっ、はい!
そうですね…!
コハネ
小豆沢こはねです。
一応…”超高校級の探偵”…ってことになってます。
トウヤ
探偵なのか?
すごいな。
コハネ
い、いや…!でも、まだ超高校級を名乗れるくらいの実績なんてないの…!
コハネ
本当にたまたま遭遇した事件を解決しちゃったことがあって…
コハネ
それで…
そう呼ばれるようになっちゃっただけだから…!
トウヤ
たまたまで事件は解決できないと思うのだが…。胸を張っていいと思うぞ。
トウヤ
あぁ、そうだ
トウヤ
俺の名前は青柳冬弥だ。
”超高校級ピアニスト”…だ。
トウヤ
よろしくな。
コハネ
超高校級のピアニスト…
なんだか…かっこいいね!
コハネ
あっ!タメ口…
トウヤ
全然大丈夫だ。むしろ普通に接してくれた方がありがたいかもしれない。
トウヤ
俺も人付き合いには全く慣れていないからな…変なことを言ったらすまない。
コハネ
そうなんだ…わかった!
ありがとう!
コハネ
青柳くんは、ピアノを始めたきっかけとかあるの?
トウヤ
きっかけ…か、
トウヤ
自分のことを話すのはあまり得意ではないのだが…
コハネ
あっ、ご、ごめん…!
嫌だったら言わなくてもいいよ!全然!
トウヤ
………
トウヤ
…親だ
コハネ
え?…
トウヤ
親が…凄く有名なクラシック音楽家なんだ。
トウヤ
そのためか、俺もクラシック音楽を強制されたんだ。
トウヤ
幼少期の頃から、友達との遊びや、体育祭などの学校行事も参加を許されず、ずっとピアノやヴァイオリンの練習をしていたんだ。
トウヤ
だから…人付き合いには慣れていない。
コハネ
そう…なんだね…
コハネ
大変…だったよね…
コハネ
なんか…ごめんね…
空気暗くなっちゃったね…
トウヤ
いや…大丈夫だ。
トウヤ
小豆沢になら言ってもいいだろうと思ってしまったからな。
トウヤ
ここには俺たち2人しかいないのもあるだろう。
トウヤ
あそこの扉から外に出て、他の”超高校級”の学生がいないか見に行こう。
トウヤ
誰か、何か知ってるかもしれないしな。
コハネ
そ、そうだね!
行こう!