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家族バトルロワイヤル

家族バトルロワイヤル

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家族バトルロワイヤル

♥

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2021年10月27日

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未来

ねぇねぇ この番組めっちゃ流行ってるんだよ。
お兄ちゃん一緒に観ようよ!

蒼太

へぇ 面白そうじゃん

あら、なにこれ面白そう

未来

家族で、脱出ゲームする番組なんだよ

父さんも一緒に観ようかな

私の家族は複雑だ。

私と兄は養子として、今の父と母に引き取られている。

まだ赤ちゃんの時、私たち双子の兄弟は、

コインロッカーの中に捨てられていたのである。

奇跡的に発見された私たちは、施設に預けられ、

そして小学3年生の時に、今の父母に引き取られた。

蒼太

ははっ

蒼太

これうちの家族だったらクリアできるのかな?

できるに決まってるだろ

こんなに仲の良い家族なんだから

ニュースキャスター

突然ですが、ここで緊急ニュースをお伝えします

ニュースキャスター

たった今、世帯人数削減法が可決されました

ニュースキャスター

この法案に基づき

ニュースキャスター

今週日曜日に選定会が行われます

ニュースキャスター

選定会は各家庭の自宅で行われ、外に出る事はできません

ニュースキャスター

24時間以内に、代表者1名以外の全員の死亡が確認できなかった場合

ニュースキャスター

世帯家族全員が、処刑されるとの事です

未来

処刑?

蒼太

何言ってんだこいつ?

ニュースキャスター

これはフェイク番組ではありません

ニュースキャスター

落ち着いて、行動するようにして下さい

ニュースキャスター

なお、政府の方針として、自殺での家族人数の削減は認められないとの事です

じ、自殺はだめって

未来

殺し合えってこと……?

あれからあっという間に日曜日がやってきた

その法案のルールはシンプルだった

① 24時間以内に家族の1人だけが生存している状況にする

② 自殺は認められない

③ 家の外には出れない

④ルールを破れば家族全員が処刑される

あのニュースが流れてから、国の対応はこれまでにないほど迅速だった。

家の全ての部屋に監視カメラが設置された。

不正を犯す事は絶対にできなくなった。

私たちは今、リビングのダイニングテーブルに座っている。

これからどうするか話し合っているのだ。

やっぱりダメだ

決められないよ

誰が死ぬのか、誰を生かすのか。当然決められるはずはなかった。

お父さん

お茶入れたから飲んで

ああ、ありがとう

お願いがあるんだけど

私の分も入れてくれないかしら?

お父さんがカップにお茶を入れて、お母さんに渡す

二人がお互いに、入れ交わしたお茶を同時に飲んだ

うぐっ

がぁっ

二人は急に苦しみ出した

未来

お父さん!お母さん!

蒼太

父さん!母さん!

蒼太

まさか…

…毒をね、交換して飲んだのよ

…これなら、自殺ではない

…俺は母さんに殺されたし

…私はお父さんに殺された

…二人とも…愛してる

…私もよ

二人はピクリとも動かなくなってしまった

未来

いやっ

未来

いやぁぁぁぁぁ!!

蒼太

父さん…母さん…

あれから何時間たっただろう

私とお兄ちゃんは、リビングでひたすら黙りこくっていた。

お兄ちゃんの視線の先には、ポッドがあった。

何かを考えているようだ。

未来

お兄ちゃん

未来

何考えてるの?

兄はすっと立ち上がり、ポッドのお茶をカップに入れた

そしてそれを私に差し出す

未来

まさか、それをお兄ちゃんに飲ませろって言うんじゃないよね?

蒼太

違う

蒼太

お前が

蒼太

飲め

未来

え?

蒼太

だから

蒼太

お前が飲め

未来

な、なんで

蒼太

いいから飲めって言ってんだろ!

お兄ちゃんは大声でわめく。

その声量に震わされたかのように、カップからお茶が少しこぼれる。

未来

い、いやだ

蒼太

大体いつも、お前はそうなんだよ!

蒼太

施設でもわがままばっかり!

蒼太

俺がどんなに苦労したか!

蒼太

俺は、お前の事をずっと憎んでるんだよ!

未来

そんな…どうそてそんな事言うの

お兄ちゃんは、カップを投げ捨てると、近くに置いてあったゴルフクラブを手に取った。

蒼太

ごめんな未来

お兄ちゃんはゴルフクラブを、私めがけて振り上げた

蒼太

死ね!

私はギリギリの間合いで避ける

殺される。

私は、キッチンにあった包丁を手に取った。

未来

来ないでっ!

蒼太

お前がいなくなれば、俺は自由になるんだ

ジリジリとお兄ちゃんは間合いを詰めてくる

蒼太

お前さえいなくなれば

後ろはもう壁だ。もう後がない。

未来

やめて

蒼太

さよなら!未来!!!

未来

やめてぇぇぇぇぇぇ!

グサリ

蒼太

うぐっ

私の手の中の包丁は、今、お兄ちゃんの胸の中に入り込んでいた

未来

いやぁぁぁぁぁ!

私は、包丁を抜き、また刺した。何度も。何度も。

未来

わたしはっ!!

未来

おにいちゃんの事がっ!

未来

大好き!大好きなのに!!

未来

どうしてっ…どうして…!!

蒼太

み…ら…い…

蒼太

よく…やった…

蒼太

このくらい…演技しないと…

蒼太

お前は…俺を…殺せないと思ったからさ…

蒼太

俺…来世は…役者になれるかな

未来

そ、そんな

未来

全部嘘だったの?

未来

いやだ

未来

いやだ……

未来

お兄ちゃん!

蒼太

未来

蒼太

だ…いす

蒼太

未来

お兄ちゃん!あああああああ!

私は泣いた。もう動かなくなったお兄ちゃんの横で。

誰かの動く気配が聞こえてくる。政府の人間が来たのだろうか?

???

ダメだよ。僕の大事な趣味の道具なんだから

聞き覚えのある声に振り返るとそこには、

やぁ未来

未来ちゃん

お父さんとお母さんが立っていた

未来

ど、どうして?

はい、お疲れ様

ガスンッ

脳天に電撃が走る。

殴られた。ゴルフクラブで。

ごめんね。未来

グサリ

刺された。包丁で。

未来

ど、どうして、生きてるの?

ははは。当たり前だ

毒なんか入ってない、ただのお茶なんだから

演技したらころっと騙されて

ああ言う時は、一応脈ぐらい確認した方がいいよ

父親からのアドバイスな

本当は、武力行使にでてもよかったんだけど

蒼太は力があるからな

上手いこと消えて欲しかったんだ

お兄ちゃんの性格考えたら

自分から未来にけしかけるのは目に見えてるしね

母親の勘よ

未来

なんで、こんな酷い事を子どもにできるの?

未来

本当のお父さんとお母さんじゃないから?

本当のお母さんよ

ああそうだ

父さんだって本当のお父さんだ

あなた達を捨てたのはS駅のコインロッカーだったわね

あの日は寒かったなぁ

金がないのに双子が出てきて、どんなに焦ったか

育てるのに困ったから捨てた

で、何だか寂しいから呼び戻した。施設からな

そして、今、またいらなくなったから捨てるのよ

私の目の前が暗くなっていく。

家族なんかなくなってしまえばいいのに。

力なく床に倒れる。

あら、おやすみなさい

それじゃあ母さん

今度は残った俺たちだけで、真剣勝負といこうか

そうね。女だからってなめないで

二人は、殺し合いを始める。

私は目を閉じる。

最悪な家族を呪いながら。

蒼太

未来。大好きだよ

はっ

未来

お…にい…ちゃん

兄との思い出がフラッシュバックする。

私の家族は腐っていた。

でも、兄だけは私の宝物だった。

未来

ま…け…な…

未来

負けない

私はキッチンのフライパンを手に取り、戦場へ向かう。

兄の死を無駄にしないために、

クソ親達を潰しに。

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