青年が只一人、そこに座っていた。
投稿主
何処かも解らない冷たく閉ざされた場所。 僕は現在進行形で拉致と言うか、 なんとも言い難いが連れてこられている。
眼の前には細い体つきをした露西亜人。 何かを用意するように別室に移動し、暫くして戻ってきた状態だ。
拘束は何時の間にか解かれているようだったが、僕には動く力すら残っていなかった。 眼の前の露西亜人は手に何かを持ち、僕に問う。
D
桂
あぁ、そう云えば今日を迎えてから何も口にしていなかったな…
空腹感から仕方なく差し出されたスープを 半信半疑で恐る恐る口に含む。
毒は入っていないか。
どうなってしまうのか。
どんな味なのか。
そんな僕の恐怖を跳ね飛ばすような味が広がっていくようだった。
具体的に言うとコクがあり舌に纏わりつき、シナモンのような甘い香りが旨味を演出している。
何とも不思議な味が僕に満ちていく。
僕が差し出されたソレを堪能していると、眼の前の露西亜人は僕の向かい側の椅子に座り、僕に話を振る。
D
桂
急過ぎる展開に呆気に取られている僕を差し置き、話を続けている。
D
桂
桂
桂
D
桂
僕はそう言って話を切り上げる。 もう話は終わりかと思ったが、未だ続く。
妖しげな笑みを浮かべながらその露西亜人は僕に云った。
D
…何処まで性格が悪いんだ此奴。
率直に考えれば話の流れからしてウミガメであろう。
否、この男の事だ。何かあるのでは?
話の中では男は拒んでいた仲間の肉を食べ自殺した、とあるが…その通りにこの時が進んでいるとするならば。
桂
僕は駄目元で聞く。
D
僕が、1番理解っている? そんな訳が無い。
突然見知らぬ男に連れてこられ、今手料理かも怪しいものを振る舞われているのだから。
桂
僕はキッパリと云った。
D
なんだその言い回し。
まるで僕が最初から全て知っていたみたいじゃないか。
確かに、何が入っているのかは気になる。
僕は記憶を遡った。
連れてこられた時にした話。
共通の知人。
桂
僕はスープの水面を見つめる。
そうだ、僕は最初から知っていたんだ。
このスープの味も、中に入っているものも、全て。
桂
込み上げてくる吐き気に僕は耐えきれず、気づけば僕はソレを吐き出していた。
吐瀉物が床に滴る音とスプーンが滑り落ちる音が部屋中に響き渡る。煩い。
僕は吐き出されたソレを只見つめる事しか出来ない。
気分が悪い。
頭が割れそうな程に痛い。
ぺたん、とへたり込んでしまった僕の顎を彼奴は掴み無理やり顔を向けるようにされる。
彼奴はようやく自分の事を見てくれた…という顔をして手を離す。
D
D
END
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コメント
1件
めっちゃマイナーcpなので作品あって嬉しいですーー😭😭ありがとうございます