糸師家の落ちこぼれ

それから私は、さっきあったコトを全て御影くん？に話した。

御影くんはうんうんと相槌を打ちながら、ゆっくりと話を聞いてくれた。

そう言って微笑む彼女の笑顔は、どこか寂しそうな、諦めたような、切ない笑顔を浮かべていた

しかし、瞳だけは笑い切っておらず、涙を溜めて、必死に泣くのを我慢したような、辛そうな瞳をしていて、

少し、声が霞み、震えていた。

出来損ない

落ちこぼれ

失敗作

この言葉は、まるで鎧のように私にまとわりついて私を離してくれない。

嬉しい＿

ハズなのに私の口はいつも、思ってるコトとは違うコトを言ってしまう

優しい言葉をかけてくれるような人も冷たく突き放すようなコトを言ってしまう。

"糸師結"だろ

そう言って微笑む彼は、今まで見たコトもないような、優しくて暖かい笑顔だった。

何時間経ったのだろう

一体私は何時間泣き続けたのだろう

私が泣き続ける間、彼はずっと私を抱きしめてくれた。

プルルルル、プルルルル

凛兄もこんな声、出すんだ…

お前が心配なんだ！

心配、か…

嬉しいな、お兄ちゃんが私の為に。

嬉しいハズ、なんだけどなぁ…

ちがう。

こんなコトが言いたい訳じゃないのに…

私の口はいつだって、私の思ってるコトを伝えてくれない。

いや、思ってるコトとは違うコトを言ってしまう、と言うのが正解かな

心配してくれてありがとう

私は大丈夫だよ

ちょっと積もり積もった物が溢れちゃっただけ

そう、伝えたいのに

違う

違う

違う