寒さの厳しい部屋の中で、 布団にくるまって震えているのはこの家の主人
その傍らには、彼を見守る友人が1人
if
アニキ…
if
薬、飲んだ?
悠佑
のん…だ
悠佑
っげほ、、
肩を震わせ、 重い咳を苦しそうに吐き出す
空気を求めて必死に上下するその胸は ifの知るよりも随分と薄かった
悠佑
けほっ、ゲホッゲホッ…ぅ、けほ
乾燥しているからか、 寒さのせいか
持病である喘息は日が暮れるのと共に酷くなっている
激しく咳き込むたびに 肋骨が軋む音が聞こえる
悠佑
っ、、
if
アニキ…
if
最近こんなに酷いの?
if
(記憶ではもっと軽く短い発作で済んでいたはずなのに)
if
(症状が悪化してる?)
if
医者には見せた?
悠佑
…
if
行ってへんの?!
悠佑
…
悠佑
ゲホッゲホッゲホッ、、
if
アニキ…
顔を背けて再び咳き込み始めた悠佑の背中に手を伸ばす
指を触れると、体を硬らせたものの、 すぐにされるがままになる
if
(わかってる…)
if
(地方から出てきた学生の俺たちに…身寄りのない俺たちに、そんなお金工面できないってこと)
if
(でも、、)
if
(こんなに苦しそうなアニキ見てられない)
if
(俺は、アニキに助けてもらっんやから)
if
今度は俺の番、やでアニキ。
苦しげに止まらない咳と闘う悠佑には その言葉は届かない
if
まっててな…
アニキ…
アニキ…
悲痛な面持ちで何事か決心したifは、 悠佑の咳がおさまるまで背中をさすり続けた