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キミは絶対に騙される

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キミは絶対に騙される

3 - 第3話 赤い扉の透子さん

2024年11月28日

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彼女こそが、「赤い扉の透子さん」に間違いない

透子

ふーん……ほうほう

彼女は後ろ手で扉を閉めると、私の全身をくまなく見定める

その表情は、ニヤニヤとした笑みに覆われている

透子

傷か、なるほどな

透子

貴様、それが嫌でここに来たってわけだ

え、え?

透子

――背中に三つ、腹部に五つ、前髪に隠れた額に四つ、鎖骨の下に六つ、おっと踵には無数の……画鋲痕か――これでようやく折り返しというところだが、続きに聞くかね?

彼女は、私が負った傷をその数まで正確に把握していた

あの僅かな時間で、しかも服の上からだ

ど――どうして、それを

透子

愚問だな

透子

この世界は――透明人間の世界は、わたしのテリトリーなんだよ

透子

即ち、"この空間ではわたしこそ神なのだ"

透子

証拠の一つでも見せてやろうか?

透子さんが指をパチン、と鳴らした瞬間、体が軽くなった――それまで全身を苛んでいた苦痛が、嘘のように消えてしまったのだ

背中の鋭い痛みも、腹部の鈍い痛みも、鎖骨のじんじんする痛みも、踵のずきずきする痛みも、すべてなくなってしまった

もはや体の一部となっていた「痛み」が消えてしまったことに困惑し、私は言葉を失った

(でも……ああ、「どこも痛くない」って、こういう感じなんだ……)

唐突に訪れた解放感を、どう受け止めていいのか分からなかった

ただただ楽になったのが嬉しくて、涙が勝手に零れてきた

透子

泣くな泣くな、みっともない

透子

女が泣いていいのはな、男を私利私欲に使うときだけだぞ

ど、どうして……

嬉しさと同時に懐疑心も湧き上がってきた

どうして彼女が私の傷を治してくれるのか

その行為に一体どんなメリットがあるというのだろう

透子さんは質問に答えない

代わりに、尊大な口調で言う

透子

さ、気は済んだかね?

透子

"じゃあそろそろ帰ってもらおうか"

……え?

予想もしなかった一言に、私はますます混乱してしまうのだった

そもそも私が透子さんのもとを訪れたのは、傷だらけの現実に耐えられなかったからだ

どうにもならない現実から逃れたくて、透子さんと自分を入れ替えてもらおうと思った

確かに透子さんの不思議な力で全身の傷が消え去り、それだけでだいぶ生きずらさは払拭された

だが、根本的な問題が解決したわけではない――現実の世界に戻ればクラスメイトがいるし、家に帰れば親がいる

傷が消えても、その原因までは消えない

透子

ふん

透子

このわたしが、十三怪談の透子さんが、どうしてそこまでしてやらなくちゃいけない?

透子

さっきのは、貴様の無謀に敬意を表しただけだ

け……敬意?

透子

そうだ

透子

あそこまで露骨に警告してやったのに。そのことごとくを無視した貴様の無謀に対する、ささやかな敬意だ

透子

それ以上でもなければそれ以下でもない

はーい

一旦ここで切るー

NEXT→♡10

バイバーイ!

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