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第1話 - あ

2023年04月04日

#恋愛

結城真矢

ミサエ

ヒロシさん！！

ミサエ

ヒロシさんってば！！

ミサエ

早く返信してよ！！

ミサエ

私のこと騙すなんてなんて人なの！？

ミサエ

私と結婚する気なんて、そもそもなかったんでしょうね！！

ミサエ

早く連絡よこせってば！！

ミサエ

おい！！

ヒロシ

ミサエさん…？

ヒロシ

突然どうしたんですか？

ヒロシ

騙すとか結婚する気がなかったとか…

ヒロシ

全然言っていることが分からないのですが…

ヒロシ

ちゃんと言葉で説明してもらえます？

ヒロシ

もし僕が悪いことをしてしまったなら謝りますので…

ミサエ

はぁ！？

ミサエ

しらばっくれてるんじゃないわよ！！

ミサエ

婚活パーティーで言ってたことと違うじゃないの！！

ヒロシ

本当に心当たりがないんですってば…

ヒロシ

僕、何かしましたか？

ミサエ

はぁ…いい加減にしてよ！！

ミサエ

婚活パーティーで言ってた職業と実際の職業違うじゃないの！！

ミサエ

どっかの社長って言ってたから、付き合ったのに！！

ミサエ

嘘つくなんてありえないわ！！

ヒロシ

え？

ヒロシ

社長であることは間違いないのですが…

ヒロシ

なぜ嘘だと思ったんですか？

ミサエ

あんたがボロくさい服着て掃除してるところ見ちゃったのよ！！

ミサエ

清掃員が見栄張ってんじゃないわ！

ミサエ

社長だなんて、笑わせないでちょうだい！

ヒロシ

ボロくさい服ですか…？

ヒロシ

全く心当たりがないのですが…

ヒロシ

それに清掃員を見下すような発言をするなんて…

ヒロシ

立派な仕事ではありませんか?

ミサエ

はぁ？w

ミサエ

清掃員が立派な仕事ですって〜？w

ミサエ

そんなわけないでしょw

ミサエ

清掃員なんて底辺の仕事じゃないの！

ヒロシ

そんな酷い言い方しなくても良いんじゃないでしょうか。

ミサエ

あんたは清掃員だから言われたら嫌なだけでしょw

ミサエ

清掃員が底辺の仕事だというのは、

ミサエ

世の中の常識なのよw

ミサエ

底辺は見下されてることにすら気付いていないのね〜w

ミサエ

１周回って可哀想になってくるわw

ヒロシ

そうですか…

ヒロシ

婚活パーティーで出会った時は相性も良いと思ったのですが…

ヒロシ

まさかこんな風に清掃員という職業をバカにする人だったとは…

ヒロシ

申し訳ありませんが、今後の付き合いは控えさせて頂きたい。

ミサエ

私も男を見る目が鈍ったみたいだわ〜w

ミサエ

まさか清掃員と深く関わろうとして居たなんて…

ミサエ

考えただけでもおぞましいわw

ミサエ

それに、今後の付き合いを控えたいって言いたいのはこっちだから〜w

ミサエ

せいぜい、清掃員ではした金稼いで、

ミサエ

貧乏な女捕まえて満足してなw

ミサエ

2度と私に近づくんじゃないよ！

ミサエ

あ、婚活パーティーの運営にあんたが嘘ついてたってバラしてやるw

ミサエ

もう2度と参加出来ないでしょうね〜w

ヒロシ

その行動になんの意味があるんでしょうか？

ヒロシ

僕がパーティーに参加出来なくなるのはあなたには関係ないですよね？

ミサエ

関係大アリに決まってるでしょ！

ミサエ

私が参加する婚活パーティーに目障りなあんたがいたら嫌だもの！！

ミサエ

私の前に2度と姿を見せられないようにしてあげようと思ってw

ヒロシ

それはどうも。

ヒロシ

僕もなるべくミサエさんに会わない方向で考えていますよ。

ヒロシ

まぁ偶然には逆らえませんが…

ミサエ

うっさいわよ底辺w

ミサエ

とにかく！2度と私の前に姿を見せるんじゃないわよ！

ヒロシ

はぁ…

ヒロシ

分かりましたよ。

〜ヒロシとナナコのやりとり〜

ナナコ

ヒロシ今聞きたいことあるんだけど、大丈夫かな？

ナナコ

どう切り出したら良いかって感じなんだけれど…

ヒロシ

姉さん？

ヒロシ

久しぶりだね。

ヒロシ

僕に聞きたいことってなにかな？

ナナコ

久しぶり…

ナナコ

実は、婚活パーティー常連のミサエっていう女性から、

ナナコ

ヒロシに対しての苦情が入っていたのよ…

ヒロシ

ミサエさんから苦情！？

ヒロシ

しかも僕を名指しで？

ヒロシ

あ、まさか…清掃員がなんとかって言ってなかったかな?

ナナコ

あー！言ってたかもしれない！

ナナコ

電話越しの声が金切り声過ぎて全然聞き取れなかったんだけど、

ナナコ

清掃員のくせに〜とか騙された〜とか、出禁にしろ〜とも言ってた笑

ナナコ

まぁ勘違いしてクレーム入れてくる人は過去にも居たから、

ナナコ

なんとも思ってないんだけどね笑

ナナコ

でも名指しでヒロシを指名するなんて…何があったの?

ヒロシ

そうだったんだね…

ヒロシ

実は、どこかで僕を見かけたらしいんだ。

ヒロシ

ボロくさい服を着てたから社長なんて嘘だろとか、

ヒロシ

清掃員なんて底辺だとか、色々言われるようになってね…

ヒロシ

どう対処したら…と思っていたところだったんだよ。

ナナコ

なにそれ！？

ナナコ

ボロくさい服ってもしかして作業着のこと？

ヒロシ

きっとそうだと思う。

ナナコ

そっかぁ…

ナナコ

ヒロシが社長なのは事実だし、嘘ついていないのも分かりきってるから、

ナナコ

出禁を要求されても困るんだけどなぁ…

ナナコ

実はミサエって人、前にもこういうことあったんだよね。

ヒロシ

え、そうなの？

ナナコ

前回は私じゃない人が担当だったから知らなかったんだけど、

ナナコ

年齢詐称してるやつがいるとか、職業を偽ってるとか言って、

ナナコ

出禁にさせようとしてきたって。

ナナコ

今回も同じような感じのやり口よね。

ヒロシ

そうなんだ…

ヒロシ

対処法を考えないと、要求がエスカレートしていきそうだよね。

ヒロシ

どうするべきか…

ナナコ

私、興信所雇ってミサエって女のこと調べてみるよ！

ナナコ

個人的に色々気になる部分があるし…

ナナコ

調査報告が出来たら報告するけど、

ナナコ

ヒロシはもう関わらない方が良いと思うよ?

ナナコ

清掃員だって分かった瞬間、手のひら返すような女なんだし！

ヒロシ

うーん。そのつもりだったよ。

ヒロシ

しばらく婚活は控えておこうかな。

ナナコ

そうだね！

ナナコ

きっとそのうち良い人が現れるから、焦らないようにね。

ヒロシ

そうするよ。

ヒロシ

姉さんありがとう。

〜2週間後〜

ミサエ

ねぇ！ちょっと！

ミサエ

婚活パーティーの主催者から出禁を言い渡されたんだけど！

ミサエ

あんた何かしたんでしょ！？

ミサエ

私から出会いの場を奪うなんて、許せない！

ミサエ

もう私に関わるなって言ったじゃないの！！

ミサエ

なんとか言えよ！！

ヒロシ

ミサエさん？

ヒロシ

お久しぶりです…

ミサエ

挨拶なんていらないから！

ミサエ

婚活パーティーの主催者に私の出禁を取り消すように言ってよ！！

ミサエ

早くしないとハイスペ男が他の女に取られちゃうでしょ！！

ミサエ

あんた私が良縁を逃したらどうなるか分かってるんでしょうね！？

ヒロシ

どうして私がそこまでしなければいけないのでしょうか？

ヒロシ

僕はもうミサエさんに関わる気はなかったのに…

ミサエ

はぁ！？

ミサエ

あんたから吹っかけてきたくせに何言ってんの！？

ミサエ

おちょくるのもいい加減にしなさいよ！

ヒロシ

そんな…一度落ち着いてくださいよ。

ヒロシ

そもそも、婚活パーティーの主催者に何か言ったのは僕ではないですよ?

ミサエ

嘘つくなよ！！

ミサエ

ここ最近で私に恥をかかせたのはあんただけなんだよ！

ミサエ

あんたがやったとしか考えられないからw

ヒロシ

恥をかかせた？

ヒロシ

何かをした覚えがないのですが…

ミサエ

私、あんたがどっかの社長だと思ったから付き合うつもりだったのよ！

ミサエ

友達にも社長と付き合えるかもって自慢してたのに！

ミサエ

実は底辺の清掃員だったなんて！

ミサエ

友達にも話したら笑われたし…大恥かいたわよ！！

ヒロシ

え…

ヒロシ

それは僕の責任なんですか？

ヒロシ

冤罪にも程がある気がするのですが…

ミサエ

うるさい！！

ミサエ

あんたが全部悪いの！！

ミサエ

とにかく！婚活パーティーの主催者に出禁を取り消すように言って！

ヒロシ

あの…1ついいですか？

ミサエ

なによ！！

ヒロシ

僕、ミサエさんが婚活パーティーの規約違反をしたって聞いたんですが…

ヒロシ

それが原因で出禁になったんじゃないんですか?

ミサエ

へ…？

ミサエ

私が規約違反をした？

ミサエ

なにそれ…

ミサエ

全然意味わかんないんだけど！！

ヒロシ

本当にわかっていないんでしょうか?

ミサエ

なによ…

ヒロシ

ミサエさん、あなた年齢詐称と職業詐称していますよね?

ミサエ

はぁ！？

ミサエ

何であんたがそれを知ってるの！？

ミサエ

やっぱり私を貶めようとして…！

ミサエ

最低な男ね！！

ヒロシ

いえ、違いますよ。

ヒロシ

実はミサエさんが出禁になった婚活パーティーの主催者は、

ヒロシ

僕の姉なんですよ。

ミサエ

へ！？姉！？

ヒロシ

そうなんです。

ヒロシ

僕のことを出禁にしようと主催者に訴えたそうですね。

ヒロシ

姉はそのことを僕に教えてくれて、何があったのか状況を話したんです。

ヒロシ

そしたら以前も同じようなクレームを入れてきた女がいたそうで、

ヒロシ

嘘の情報を信じてクレームを入れてくるのは困りますから、

ヒロシ

その女の身元を調べたみたいなんですよ。

ヒロシ

興信所を雇って。

ミサエ

興信所…！？

ミサエ

それに嘘の情報って何よ！！

ミサエ

あんたが底辺清掃員なのは正しいでしょ！

ミサエ

他の人だってそうよ！

ミサエ

私を騙して近付いてきたんだから、クレームを入れたって良いでしょ！？

ヒロシ

僕が作業着を着ていたから清掃員と勘違いしたようですが、

ヒロシ

僕、ただの清掃員ではないんですよ。

ミサエ

は？

ミサエ

どういうこと？

ヒロシ

僕、実は清掃会社の社長なんですよ。

ヒロシ

というか、婚活パーティーの時に名刺お渡ししてたと思うのですが？

ミサエ

清掃会社の社長！？

ミサエ

あ…名刺貰ってたかも…

ミサエ

そうだったのねー！

ミサエ

社長なら私に釣り合うじゃないのぉ♡

ミサエ

もっと早く言ってよ〜♡

ヒロシ

急になんですか…？

ヒロシ

物凄い手のひら返しですね…

ヒロシ

今まで嘘だと決めつけて、散々底辺だなんだと言ってたのに。

ミサエ

もう〜勘違いしちゃったんだから仕方ないでしょ〜♡

ミサエ

許してよぉ〜♡

ヒロシ

名刺を渡してたのに勘違いもクソもないですよね?

ヒロシ

話を戻しますが…

ヒロシ

嘘をついていたのはミサエさん、あなたですよね?

ヒロシ

興信所の調査で全て明るみになっているんですよ。

ミサエ

え…なに…

ヒロシ

まず、年齢ですが29歳と登録していたようですが、

ヒロシ

実際は36歳ですよね?

ヒロシ

7歳も詐称するなんて…よくそんなことが出来ますね笑

ヒロシ

女性に年齢のことを言うのは失礼だとよく分かっていますが、

ヒロシ

29歳には見えませんでしたよ笑

ミサエ

はぁ！？

ミサエ

何て失礼なやつなの！？

ヒロシ

それにあなた無職なんですよね?

ヒロシ

登録の情報は看護師となっていたと思うのですが…

ヒロシ

職業まで詐称するなんて、本当に結婚する気あるんでしょうか?

ヒロシ

仮にお相手とマッチングしたとしても、あなたのような嘘つきはちょっとね…

ミサエ

そんなことまで知ってるの！？

ヒロシ

当たり前ですよ。

ヒロシ

こちらは興信所を雇っているのですから。

ヒロシ

今まで散々男性の職業や年齢についてクレームを入れていたようですが、

ヒロシ

こんな形で自分に返ってくるとは思わなかったでしょうね笑

ミサエ

じゃあもういいわ！

ミサエ

婚活パーティーはもう参加しないから！

ミサエ

ヒロシさん、私と結婚してちょうだい！！

ミサエ

私なら社長夫人の座が務まると思うのよ！！

ヒロシ

は？

ヒロシ

嫌ですよ。

ミサエ

え…

ヒロシ

清掃員を底辺だなんだと見下す人と

ヒロシ

結婚したいわけがないじゃないですか。

ヒロシ

もう関わってこないでください。

ミサエ

え、待ってよ！！

ヒロシ

ブロックします。

ミサエ

ちょっとー！！

〜後日談〜

ヒロシ

姉が調べてくれた情報のおかげで、

ヒロシ

迷惑な婚活パーティー荒らしを成敗することができました。

ヒロシ

と思ったら、僕の会社の前で大声を張り上げるミサエさんを発見しました。

ミサエ

私と結婚しろ！中に入れろ！

ヒロシ

と会社だけではなく、自宅への押しかけられるようになったため、

ヒロシ

警察に相談し、パトロールを強化してもらいました。

ヒロシ

ある日、パトロール中の警察とミサエさんが鉢合わせ。

ヒロシ

何を思ったのか、警察官に殴りかかり公務執行妨害で逮捕されました。

ヒロシ

今はど田舎の実家に戻され、厳しく監視される毎日だそうです。

ヒロシ

ミサエさんから解放された僕はしばらく婚活は諦めていましたが、

ヒロシ

姉の紹介で知り合った女性とお付き合いすることになりました。

ヒロシ

結婚まではまだ程遠いですが、幸せになれれば良いなと願っています！

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結城真矢

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