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土曜日。
待ち合わせ場所の駅前に集まったのは、私と緑、橙、そしてクラスメイトの数人だった。
緑 。
緑 。
緑が手を振って私を呼ぶ。
その隣には、橙が自然に立っていて、ふたりの距離は、"仲のいい友達"よりほんの少しだけ近く見えた
桃 。
無理やり笑って、私は輪の中に入る。
誰も気づかれないようなふりで、緑の隣じゃなく、少し離れた場所にた立った。
みんなで映画を観て、カフェでお喋りして、ゲームセンターではしゃいで_。
楽しそうな時間のはずなのに、私はずっと、心の中で自分を責めていた。
なんで来たんだろう。
緑と橙が並んで笑う度、胸がざわつく。
小さく肩が触れる度、心が引き裂かれる。
_いっそ、嫌われた方が楽なのに。
緑が私を無視して、冷たくされて、もう話しかけられなくなった方が、きっと気持ちは整理できる。
でも、緑はいつも通り優しくて、無邪気で、鈍感で。
それが、一番苦しい。
緑 。
帰り道、後ろから声をかけられた。
振り返ると、少しだけ心配そうな緑が立っていた。
桃 。
桃 。
緑 。
緑 。
言えないよ。
"好きな人が、別の誰かを好きになってく過程"を見せつけられる気持ちなんて。
桃 。
それが限界だった。
沈黙の中並んで歩く二人。
あと何回、こうして歩けるんだろう。
夕日が二人の影を伸ばす。
けれどその影は、どこまでも交わらないように見えた。