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第10話 使用人殺人事件

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第10話 使用人殺人事件

1 - 第10話 使用人殺人事件

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2018年11月23日

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轟は加藤が起きたあと、宿で軽く朝食を摂った。

そして現在、2人は昼頃に来る予定の山田を待つついでに散歩をしていた

轟 健二

やっぱり山奥はひやい(さむい)な。

轟はあまりの寒さに身体をブルっと震わした。

加藤 恭子

雪も積もってますからね。K県は場所にもよりますけど、雪は滅多にふりませんしね。

加藤はそう言うと、轟の左手を握った。

俗に言う、恋人繋ぎと云うやつだ。

轟 健二

温かいな。

加藤 恭子

寒いなら私が温めてあげますよ。

加藤は微笑んだ。

轟 健二

あぁ、助かるよ。

加藤 恭子

それにしても、結構雪が積もってますね。

加藤の言う通り、辺り一面には降り積もった雪が20cmほど積もっている。

轟 健二

雪にはあまりいい思い出は無い。

轟 健二

見るのは好きだがな。

轟は溜め息を一つ吐いた。

加藤 恭子

そうなんですか?

轟 健二

小さい頃に家族でスキーに行ったが、あまりの寒さに足が凍ってな。

轟 健二

あれはキツかった・・・

轟は昔の事を思い出し、苦虫を噛み潰したような顔をした。

加藤 恭子

ぶっ!

そんな轟の顔を見た加藤は思わず、噴き出した。

加藤 恭子

・・・・・・!

加藤は顔を横に向け、轟に見えないようにし、肩を震わせている。

轟 健二

・・・笑い過ぎだ。

加藤 恭子

・・・!だって・・・轟さんの顔・・・!

轟 健二

はぁ。もう好きにしてくれ・・・

暫くの間、その辺を歩いていると、近くに公園が見えた。

2人は公園内のベンチに積もった雪を払い座った。

轟 健二

ッ!

轟がベンチに座ると、背中に鋭い痛みが走った。

轟はその痛みに顔を顰(しか)めた。

そんな轟を加藤は心配した。

加藤 恭子

大丈夫ですか・・・?

加藤は轟の背中を優しく撫でた。

轟 健二

まだ大分(だいぶ)痛いが、最初よりマシだ。

轟 健二

ありがとう。

加藤 恭子

いえいえ。恋人の心配をするのは当然ですよ。

加藤は手を握り、腰に当て、フンスと効果音が出そうな顔をしていた。

轟 健二

はは、頼もしいかぎりだな。

加藤 恭子

えぇ、じゃんじゃん頼ってください。

轟 健二

それじゃあ、頼りついでに飲み物でも買ってきて貰おうかな。

加藤 恭子

構いませんよ。暖かい珈琲で良いですね。

轟 健二

あぁ、頼むよ。

加藤は公園の外にある自動販売機に飲み物を買いに、その場を離れた。

轟 健二

ん〜

ボキボキ

轟は腰を捻ると、腰の骨がボキボキと鳴った。

轟 健二

はぁ。腰の凝りも凄いし、肩凝りも凄いし、首の凝りも凄いし、もう歳か・・・

はぁ・・・歳はとりたくないな・・・

そんな事を三十路の轟が人知れず思っていた。

そして轟は手を首に当て、首を回した。

轟 健二

・・・

いるな。

轟は首を回したながら辺りを見渡していた。

後ろの方の木影に向かって、足跡が続いてる。大方、前に聴いた音の人物だろうな。

と言う事はここに来た時から俺達を尾行しているな。いや、目的は俺か。

と言う事は、今回の事件に関係がある人物で、事件を暴かれるのが不都合な人物。

それは犯人しか居ない。

しかし誰だ・・・

加藤 恭子

轟さん。買ってきましたよ。

その時に丁度、缶珈琲を2つ持った加藤が戻って来た。

轟 健二

あぁ、ありがとう。

轟は加藤から暖かい缶珈琲を受け取った。

カコッ

ゴクッ

轟 健二

ふぅ。暖まる。

加藤 恭子

それじゃあ私も飲みますか。

そう言うと缶珈琲を開けた。

轟 健二

ん?確か加藤は珈琲飲めないんじゃなかったか?

加藤 恭子

物は試しです!

加藤は珈琲を1口、口に含み飲んだ。

加藤 恭子

うぉぇ

加藤 恭子

苦い・・・

加藤は顔を顰め、舌を出した。

轟 健二

無理して飲むだからだ。

轟は苦笑しながら言った。

加藤 恭子

だって・・・

轟 健二

ちゃんと全部飲めよ。

加藤 恭子

はい・・・

そして、10分後。

加藤 恭子

ほら、どうですか!ちゃんと飲みましたよ!

加藤はドヤ顔で空になった珈琲の缶を向けた。

轟 健二

10分も掛かったがな。

加藤 恭子

ふん!飲めたら良いんですよ!

そう言うと加藤はそっぽを向いてしまった。

轟 健二

それじゃあ、もう少し歩くか。

轟はベンチからゆっくりと立ち上がった。

加藤 恭子

大丈夫ですか?

轟 健二

普通に歩く分には問題ない。

轟はそう言ってはいるが、時折、背中に手を当てていた。

加藤 恭子

はぁ。本当に大丈夫ですかねぇ?

加藤は心配を含めた溜め息を吐きながら、立ち上がった。

轟 健二

さて、行く・・・ッ!

轟が歩きだそうとすると、先程より強い痛みが、背中を走った。

すると、突然の痛みに体勢を崩し、その場に倒れそうになった。

が、轟は咄嗟にベンチに手を付き、転倒を免れた。

加藤 恭子

轟さん!

突然、倒れかけた轟に加藤は心配の声を掛けた。

轟 健二

あ、あぁ、大丈夫だ。

そう言うが、今、轟の背中はズキンズキンと持続的な痛みが走っている。

くっ!

この寒さのせいで余計痛み堪えるな・・・

加藤 恭子

何が大丈夫ですか!?そんなに痛そうにしてるじゃないですか!

そんな轟を加藤は叱った!

加藤 恭子

まだベンチに座っててください!

加藤は轟をベンチへと座らした。

加藤 恭子

ほら!無理するからこうなるんですよ!

轟 健二

あぁ、すまない・・・

轟 健二

ッ!はぁ・・・はぁ・・・!

轟は持続的に襲ってくる痛みに顔を顰めた。

ッ!

そう言えば昔、寒い日は筋肉が硬直して余計に痛みを感じるって聞いた事があるな・・・ッ!

轟 健二

加藤・・・手を握ってくれないか・・・

加藤 恭子

はい。これでいいですか?

轟 健二

あぁ、すまない・・・ッ!

轟は痛みが来ると同時に加藤の握った手を強く握った。

轟 健二

・・・!

轟は奥歯を噛み締めながら、痛みに耐えている。

加藤 恭子

轟さん・・・

加藤はそんな轟の横顔を見て、不安そうな顔をしている。

よく見れば、握っていない左手で自分の左太腿(ふともも)を握り締めている。

その力が、轟に襲い掛かる痛みを物語っている。

さらに、痛みに耐える轟の額には、汗が滲んでいる。

轟 健二

はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・

轟 健二

・・・もう・・・大丈夫だ・・・ありがとうな・・・加藤・・・

だが、そう言う轟の息は荒い。

加藤はそんな轟を見て抱き締めた。

轟 健二

きょ、恭子!?

加藤 恭子

・・・駄目です!こんな辛そうじゃないですか!

そう言う加藤の声は震えていた。

加藤 恭子

私くらいには我慢しないでください!

加藤の目頭から1滴の涙が零れた。

轟 健二

・・・すまない・・・

轟は少し強く抱き締めた。

轟 健二

本当にすまない・・・

加藤 恭子

謝るだけじゃダメです!キチンと行動に移してください!

加藤は両目から出る涙で轟の肩を濡らした・・・

轟 健二

あぁ、判った・・・

加藤 恭子

絶対ですよ!

轟 健二

判ってるよ・・・

轟 健二

本当に・・・

第11話に続く

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