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【リメイク】いつか、星空の下で僕らは。

第2話 - #01ー新たな勇者

2025年08月14日

#🌃📖🕯

#一次創作

#参加型

#ファンタジー

#バトル

宵月／micro.

壁一面に本がぎっしりと詰められている図書館。その中で、男は1人ため息をついた。

──ヴイル・アマロシ。これでも勇者だ。本人は、この国の……いや、この世界の最新技術であるスマホでソシャゲをしている廃課金者なのだが。

では、そんな男は何を探しているのだろうか？

ヴイル・アマロシ

見つかんねぇ……。

ヴイル・アマロシ

本当に『偽りの星空』なんて存在すんのか？

そう、ヴイルは『偽りの星空』に関する書物を漁っていた。しかし、お目当てのものは未だ見つかっていないらしい。

『偽りの星空』というのは、遥か昔にとある人物が言い始めたことで、『我々が見上げている星空は偽物である』というものだ。

民間では作り話や伝説のような扱いを受けているのだが、現代にその話を本気で信じている者が居るそうで、ヴイルも少しだけ興味を持ったのだ。

彼の場合、その話を信じた訳ではなく、単なる好奇心から来るものなのだが。

ヴイル・アマロシ

現代に、まさかあんなぶっ飛んだ話を信じる奴が居るなんてな……。

ヴイル・アマロシ

……そいつは学者だったか。

ヴイル・アマロシ

やっぱり、学者からすれば未知のものは知的好奇心を刺激されるとかそんなもんか？

ヴイル・アマロシ

……いや、もしかすると“聖なる大樹”が狙いなのか？

聖なる大樹。この世界を支えていると言われている神聖な大樹なのだが、どこに存在しているのかは未だ判明していない。

そもそも、最近は実在するのかどうかすら疑われている。

ヴイル・アマロシ

これ以上探しても何も見つからねぇだろうな。

ヴイル・アマロシ

腹減ったし帰るか。

ヴイル・アマロシ

うっっっわ……人多すぎんだろ……

いつものように……いや、いつもよりも賑わっている街の雑踏の中、ヴイルはため息をついた。

街ゆく人に異常なところはなく、誰もがいつも通りの日々を送っている。……これも、その一部のはずだった。

ガシャンッ！！

少し遠くから聞こえてくる物音。普通に生活していればまず聞こえてこないような音に、ほとんどの人は足を止めて音のした方向を見つめた。

──そこには、道端にあった荷車をひっくり返す魔物・ブルートの姿があった。

住民

いやあぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！

住民

早く逃げろ！

住民

誰か、誰か警備隊を……！

ヴイル・アマロシ

うわ……。

ヴイル・アマロシ

（まずいことになったな。
街にブルートが侵入していたのか……。）

？？？

……もう、見ていないで討伐に協力してください！

？？？

貴方様は勇者なのでしょう！？

ヴイル・アマロシ

うわっ……誰だお前！

ヴイル・アマロシ

……もしかして俺に言ってる？

？？？

ここに貴方様以外の勇者は居ません！

？？？

私の自己紹介は後、今はとにかくブルートを倒すのが最優先なのです！

ヴイル・アマロシ

お、おう……。

突然話しかけてきた少女に困惑しながらも、ヴイルは住民を守るために戦うことにした。

ヴイル・アマロシ

……《爆死》！

？？？

ふぅ……協力ありがとうございました。

ヴイル・アマロシ

……それで？

ヴイル・アマロシ

結局、お前は誰なんだ？

リリィ・ファタール

私はリリィ・ファタール。
魔法使いなのです。

リリィ・ファタール

貴方は……ヴイル・アマロシさんですよね？

ヴイル・アマロシ

あぁ。ヴイル・アマロシだ。

リリィ・ファタール

よかった……。
貴方様にお話があるのです。

ヴイル・アマロシ

何だ？サインなら受け付けてないぞ。

リリィ・ファタール

……。

ヴイル・アマロシ

……。

ヴイル・アマロシ

……いやごめんって

リリィ・ファタール

……何か言い残すことはありますか？
今なら遺言を残すチャンスを──

ヴイル・アマロシ

いや怖いって！ごめんって！

リリィ・ファタール

はぁ……。

リリィ・ファタール

これは真面目な話なのです。

ヴイル・アマロシ

……それで、どうしたんだ？

リリィ・ファタール

……魔王が目を覚ましました。
そのせいでブルートが活発化しているのです。

ヴイル・アマロシ

なるほど……。

ヴイル・アマロシ

だから、最近は街でブルートが出たっていう騒ぎが多かったのか。

リリィ・ファタール

魔王が目覚めた影響は、それだけではありません。

リリィ・ファタール

聖なる大樹が汚染され、神聖さが失われかけている……と。

リリィ・ファタール

これは単なる噂なので、真相がどうなのかは分かりませんが。

ヴイル・アマロシ

それで、俺に魔王を退治してほしいと？

リリィ・ファタール

はい。お願いします。

ヴイル・アマロシ

……でも、先代勇者みたいな剣術の腕も無ければ勇者パーティも無いぞ？

リリィ・ファタール

仲間はこれから集めるのです！
もちろん、私もお供します！

ヴイル・アマロシ

……分かった。

ヴイル・アマロシ

でも、勇者パーティに入るような仲間なんてどこで集めるんだ……？

リリィ・ファタール

え、えーっと……。

リリィ・ファタール

……。

ヴイル・アマロシ

……。

ヴイル・アマロシ

……え、どうするんだ？

リリィ・ファタール

……先代勇者様の元を訪れる、とか？

ヴイル・アマロシ

何も思いつかなかったんだな。
……確かに、それもそうか。

ヴイル・アマロシ

ってか腹減ったな……。
飯食ってからでいいか？

リリィ・ファタール

分かりました。私はここで待っているのです！

ヴイル・アマロシ

……え

ヴイル・アマロシ

お前、もう昼飯食ったのか？
それともまだ腹減ってないとか？

リリィ・ファタール

お昼ご飯は先程食べましたが……。

ヴイル・アマロシ

……何食ったんだ？

リリィ・ファタール

ええっと……

リリィ・ファタール

スコーンと紅茶を……。

ヴイル・アマロシ

スコーンと紅茶！？！？

ヴイル・アマロシ

貴族のおやつかよ！？！？

リリィ・ファタール

……？

ヴイル・アマロシ

……で？

ヴイル・アマロシ

そもそも、魔王はどうして眠ってたんだ？

食事をしながらヴイルがそう尋ねる。一応、とヴイルに言われて着いてきたリリィは答えた。

リリィ・ファタール

魔王が先代勇者様方の手により一度倒されたというのはご存知ですよね？

ヴイル・アマロシ

あれ、そうだったっけ

ヴイル・アマロシ

……それもそうか。

リリィ・ファタール

少なくとも中等学校で習う内容なのです……。

ヴイル・アマロシ

授業真面目に受けてた覚えねぇな。

リリィ・ファタール

それで勇者様が務まるのか不思議なのです。

ヴイル・アマロシ

すまんすまん。

リリィ・ファタール

一度討伐され封印された魔王は、一度眠りにつきました。

リリィ・ファタール

その魔王が、今になって復活したのです。

ヴイル・アマロシ

なるほどなぁ〜……。

リリィ・ファタール

先代の勇者パーティは解散し、5人の内のとある方が失踪しました。

ヴイル・アマロシ

先代勇者も大変そうだな。

リリィ・ファタール

ですから、貴方様が新たな勇者に選ばれたのです。

リリィ・ファタール

そして、私達は今から先代勇者様……ウルピス・アレキサンドさんの元を訪ねます。

リリィ・ファタール

彼は、現在森の奥で暮らしているそうです。

ヴイル・アマロシ

は〜。森暮らしだったのか。

リリィ・ファタール

……食事は済みましたか？

ヴイル・アマロシ

準備万端だ。

リリィ・ファタール

それでは、先代勇者様の元へ向かいましょう。

リリィ・ファタール

何か出かける用事が入っていたりしなければいいのですが……。

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宵月／micro.

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