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2人の独白は、決して相容れないながらも、それぞれ終始一貫した意志を持っていて、読んでいて清々しく、どちらにも共感できました。まさに、心をかき立てる短編。感動をありがとうございます!
文字だけだとやっぱり読みにくいですね。書き方、研究しておきます。 テーマは「自由」でした。男と女の子、どちらも生きているのに生きていない様な。そんな鬱屈とした心情が書けたかな、と思っています。 …最近、天気が荒れてますね。嫌だなぁ。
───大人になれば何をしてもいい
もちろん犯罪以外でだが 大抵の事は何でも出来る それが、子供と違って 自由で良い所だ
大人になればお酒を飲める タバコを吸える、賭け事も出来る エッチなお店にも行ける
免許を取れば 車でどこへでも行けるし 夜中までゲームをしても誰も 咎める人はいない
全てが自由だ
しかし、デメリットもある 全ての責任を自分で 負わなければならない
それでも、学生時代に比べて 圧倒的に気楽である 俺は何でも出来る
誰にもプライベートに文句を 言われる筋合いはない
なぜなら自分でお金を稼いで 自分で生活して ちゃんと社会に貢献している
だから何でもしていい 自分の赴くままに 行動していい
それが、例えばグレーな事でも
たいていの事は神様は 笑って許してくれるはずだ
その日は仕事が終わるのが 早かった
とは言っても、体力仕事の 俺の体はクタクタだった
勉強するのが 面倒くさかったから 高卒で入った会社 今年でもう3年目だった
3年も経つと責任が増えていく 給料に比例してしがらみも 増えるのが鬱陶しい
高3の時もうちょっと考えて 進路決めれば良かったと 思っている
そんな事を考えながら 自転車を漕いでいると 目の前に自転車に 乗ってる女子高生が現れた
風になびくスカートと 清純そうな幼い顔立ちが とても可愛いかった
そう言えば俺は今まで 一度も彼女が出来た事が無かった
だから、女子高生とも 付き合った事がない
なぜか俺は女子高生の後を つけてみようと思った
何でそんな事を思ったのか 分からない ただ、俺はその日は 物凄く疲れていた
それに家に帰っても何も やる事がなかった 社会人は自由な代わりに 道標がない
道標がなければプライベートも 何をしていいか分からない 俺は人生の目的(生きがい) を失っていた
これは、犯罪じゃない なぜなら誰にも迷惑を かけていない
そうだ、これは たまたま帰る方向が同じだった だけの話だ
盗撮みたいに撮影をしてない 痴漢みたいに身体に触れてない 露出狂みたいに下半身を出してない
多少、グレーかも知れないが バレなければ別に良い 全ては自己責任だ
ただ、後をつけたいだけ ただ、この子の家を知りたいだけ ただ、家で独りでいるのが 寂しかっただけ
女の子が不快な思いをする事もない 俺はこの子の家を知りたい お互いにとってwinwinだ
学校では、彼氏はいるのだろうか 部活に入っているのだろうか 家族と仲は良いのだろうか
そんな事を 想像しなから後を付けていると とある家の前で止まった そうか、これがこの子の 家なのか…
そしてその子は家の中に入っていった 俺はしばらくその家を眺めていた
その名前も知らない 女の子の家を知ってるのは その子の家族と親族 地元の仲の良い友達と…
俺しか知らない
その秘匿性にとても ゾクゾクした
高校の仲の良い友達も この子の家は知らないだろう
しばらくその家を眺めて 自宅に帰った その日はその子を想像して 自慰した
その日から俺の退勤後の 楽しみは目についた女性の 後を追う事だった
バレるかバレないかの 距離で後を付けていく ゲームのようでハラハラした こんな感覚久しぶりだ
女性の後をつけるのは いつからか俺の生きがいに なっていた
このハラハラが俺を 今の仕事に繋ぎ止めている 言わば、命綱だった
その日のターゲットは 19歳くらいの女だ 化粧っけもなく 服も適当だ
フラフラと自転車を漕いでいる そんな姿でどこへ 行くのだろうか
ある橋の上で止まった 橋の下には昨日降った雨の影響で 濁流が流れている
女の子はじっと川を眺めていた すると突然、身を乗り出して 川に飛び込もうとした
「待て!早まるな!」
俺は咄嗟に声が出て 女の子の元に駆け出していた
川に飛び込もうとしたら 身体を引き寄せられた 地面に思いっきり 叩きつけられる
また、生きてしまった…
…
───薬は「武器」になる
そう気付いたのはつい最近の事だ
ひとつ飲めばどんな言葉を 言われても傷つかない 「盾」が出来る
もうひとつ飲めば 誰にでも自分の意見を言える 「剣」が出来る
そして残りの薬は「ライフ」だ
これが全部無くなったら 私はゲームオーバーになるのだと 漠然と思っていた
私が薬物に依存し始めたのは 高校が始まってからだ
私は昔から人付き合いが うまく行かなかった
人に気を使い過ぎて 簡単に傷つくし、自己主張が 出来ない
その上、自分 から話しかけられないし 会話も上手く出来ない
だんだんとクラスに居づらくなり 2学期にはほとんど学校に 行かなくなっていった
学校に行けない劣等感と 独りでいる孤独感から不安で 心療内科を受診した
心療内科では精神安定剤を 処方された 飲んだら少し気分が和らいだ
しかし、安定剤にも耐性が 出来ていった 今飲んでる薬が効かなくなった
その事を伝えるとすぐに 強めの薬をくれた 飲んだら霧が 晴れるように不安が取れた
そして、効かなくなって また強いのを処方されて まだ、効かなくなって 次は量が増えていって
そうしているうちに 私は薬無しじゃ生きられなく なっていった
不登校ながら親に迷惑を かけていると考えていたので たまに、学校に行っていた
しかし、そこには 「憐憫」の目があった
私は口下手な分 人の「目」には敏感になっていた 人の「目」で 大体の感情は分かる
この人は同情の「目」 この人は見下しの「目」 この人は憐憫の「目」
自分が「下」に見られる事 がとても恥ずかしかった そしてそんな自分を 変えられない事が悔しかった
でも、大丈夫 私にはお守り(薬)がある これが底をつかない限り 私は生きていける
しかしその生活ももう 長くない 最強の薬を何個飲んでも 気分が晴れない
それだったら薬で酔って いるうちに消えてなくなろう 苦しい思いをしなくて済む
私は溜めていた薬を一気に飲んだ そして、川のある方に 自転車を走らせた
川の濁流なら私の モヤモヤごとを飲みコンで くれそうな気がする
これが私の人生ノ幕 薬デ現実逃避してバかリの 自分をやっと終わらせて あげrrrれる
…って思っていたのに
なんでこの男にはこれが救いだと分からないのか
生きる覚悟もなければ 身を投げ出す勇気もない
だから酔ってるうちに 終わらせてしまいたかったのに 酔いが醒めてしまった
私の人生は私の自由 自己責任で生きてるのに… どうして私の 人生の邪魔をするの?
男が何かを言っている どうせ上辺だけの正義感を 振りかざして私を 諭そうとするのだろう
私はそういうのには もう、うんざり
…
…「救い」「生きがい」と 言う言葉が聞こえた
…「だったら俺が幸せにしてやる」 と言う言葉も聞こえた
この人の「目」は本物だった 本心で言っている
こんな私が生きがい?… 本当に幸せにしてくれる?…
…
…じゃあ、分かった…
だったら、あなたに私の命の 手綱を握らせてあげる 私を生かした責任を取って
薬に依存出来ないなら 貴方に依存させて
次からは貴方が私のお守り
貴方が居なくなったら 私、飛び込むからね???
今週のお題 #匂わせ
「匂わせ」を調べたら「それとなく思わせる」「ハッキリと明言しない」と言う意味だったので
それとなく自殺を匂わせてみました