7月の私

5月最後の日

蒸し暑いこの季節に

私と玲愛は海辺で

ほてったからだを休ませていた

1年前:7月

うげーとクラス中がそれぞれ訴えた

7月，やっと届いた夏服でも

汗が滴るほど暑い

そんな中，校庭で体育の授業を受けている2年生の集団の中に"大津先輩"

を見ている玲愛が見える。

大津先輩は玲愛の2人目の好きな人だ

一回目の失恋を慰めてくれたので好きになったらしい

カツカツカツカツ

セミの声

黒板を滑るチョーク

ｶﾁｶﾁといつもより遅く進む時計針

下敷きをパタパタさせる音だけが響く教室で

ダラダラと授業は続いた

ミーンミンミーン

放課後，一緒に下校していた玲愛が

夏の疲れを隠すように無理に明るくそういった

ボフッ

暑さのせいか

私は吸い込まれるように制服のまま

荷物も置かずベッドにダイブした

ガシャーン

足元にあったコードに気づかず，

玲愛は転んだ

えへへ，と玲愛は笑って見せた

お茶に濡らされてTシャツに透けた肌がとても白くて綺麗だ

そう言って玲愛は

水滴を飾る長い髪を耳にかけながら

笑って後片付けをした

ボフッ

私はまた

荷物を置くことも着替えることもせず

ベッドにダイブした

"玲愛，やっぱり優しいな"

"玲愛の部屋いい匂いした"

"玲愛の肌めっちゃ白かったな"

"慌てた玲愛可愛かった"

"玲愛の隣が私なら"

なんて，今日の放課後数時間だけで

こんなにも想いが溢れて

やっぱり好きなんだって思う

7月

暑くてセミがなく季節

私は初めての恋をし，失恋もした。

それでも私は，溢れて

涙が零れて

また枕に新しいシミを作った。