陸
母
帰ると母はキッチンに立っていた。
まだ夕飯時ではない。お菓子でも作っているのではないだろうか。
そして玄関に大きい靴もあった。
珍しく父も家にいるようだ。
母
母
陸
理由を伝えたかった。
しかし、"血を吸った"という行為は簡単に伝えてて良いことなのだろうか?
母
陸
遠回しに聞いてみることが最善であると判断した。
陸
母
陸
母
顎に手を当てて悩む姿からは、吸ったことがあると暗示していた。
母
父
陸
父
母
母
父
母
陸
母
父
陸
プルルルルル……
母
母
父
陸
父
陸
父
陸
父
陸
父
母
陸
父
母
叫んだ後、母はうっすらと涙を浮かべていた。
なにか危ないことが起こっていることは薄々と感じていた。
父
父
父
陸
父
陸
父
父
気が付いたら走り出していた。
彼女の血は美味しかったのだ。黙っていられる訳が無い。
彼女を、彼女の命を助けなければならない。
今助けられるのは自分だけなのだ。
母
母
呼ばれ、不意に振り返ると母は怒り、驚き、悲しみと沢山の感情に溢れていた。
ただ、確実にわかるのは母が今までにない表情をしているということだ。
陸
母
焦っている自分のことは気にせず、母は淡々と話し始めた。
母
母
母
父
母
母
陸
父
駄目だった。
助けられなかった。
彼女が生きているとき、唯一血を吸ったのに。
何故吸血師のことを幼い頃から伝えてくれないのだろうか。
陸
色々な考えが自分をキツく、苦しく締め付ける。
ただ……
好きな子一人守れず、何が沢山の人を救うだ。
こんなの……失格じゃないか。
陸
コメント
2件
血を美味しいと思うのは「好きだから」ではないんですね!! もう少し早く気づけていれば😭 お話、面白かったです!!