テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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文學学園物語

第55話 - 物語5章壱話　友達の誘拐

2025年02月03日

#文スト

#学パロ

#オリキャラ注意

#シリアスだったりギャグだったり

#既存伽羅設定追加注意

#文學学園

葉曖麗奈　不定期

あの後俺は、皆に俺が「異能殺戮兵器」として生まれてきた事を話した

反応はそれぞれ、驚いていたり、同情してくれたり、納得していたりと違っていたが

皆受け入れてくれた

俺はそれがとてつもなく嬉しくて

嬉しさのあまり泣いてしまった

泣いて泣いて…泣き疲れたのか寝てしまって……

いつの間にか、自分の部屋の中で朝を迎えていた

叶夢

………(なんか……すっげぇスッキリした気持ちで起きたかもな)

コンコン

叶夢、起きてるか？

叶夢

(中也の声……)

叶夢

……起きてるぞ

ガチャッ

中原　中也

よぉ叶夢、よく眠れたか？

叶夢

まぁ……そうだな、よく眠れた

中原　中也

まぁあれだけ泣いてりゃそりゃそうだよなー？

叶夢

い、言わないでくれよ……正直恥ずいから………

中原　中也

ははっ、わぁってるよ(笑顔)

中原　中也

飯出来たから、早く降りて来いよ〜？

中原　中也

学校遅れちまうぞー

叶夢

元から結構遅れてる気はするが……

叶夢

…準備出来次第行くわ

中原　中也

分かった、んじゃ待っとくな〔叶夢の部屋を出て〕

叶夢

………普段通り…

叶夢

(日常が、どれだけ平和で…)

叶夢

(どれだけ救いなのか、よく分かる日だな…今日は)

叶夢

よーっす、おはよ〜

太宰　治

叶夢君おはよう

太宰　治

君が遅れるって早々無いから、毎回驚いちゃうよ

叶夢

まぁ俺は5時半起きするからな！

叶夢

お前と違って朝寝坊する事ねぇんだわ

太宰　治

私が寝坊する様な事言ってるけどそこまでしてないからね！？

叶夢

そこまでって事はしてんじゃねぇか……

中原　中也

毎回巻き添えくらってる此方の身にもなれ

太宰　治

別に先に行ってても良いのに

太宰　治

飼い主の事を待てるなんて良い子だねぇ〜？〔ニヤニヤしながら〕

中原　中也

手前ェに飼われた覚えなんてねぇわ此方はァ！

太宰　治

でも私が寝坊していたとしても律儀に待ってるじゃん

太宰　治

正しく忠犬だね

中原　中也

犬じゃねえわ！

叶夢

あーはいはきデイリー回収……

叶夢

そろそろ辞めてくださーい

朝の日常毎日こうやって中也と太宰が喧嘩するのを止める煩く面倒臭い時もあるが、2人の掛け合いを見ているのは面白い

太宰　治

では、気を付けてね

叶夢

おう、お前らもな

お互いの身を按じる言葉来た時からしていた習慣言葉だけで此処まで安心出来るのは凄いと思う

叶夢

…………〔ドアの隅々を確認する〕

叶夢

(…罠らしきものは無し……っと)

虐めが無い教室仕掛けの無いドア俺にとって安心出来る事濡れ鼠になる事も、黒板消しの粉でむせる事もない

そして…………

ガラガラ

中野

あ！咲華蛇さん！おはようございます！

田中

おはようございます、咲華蛇さん

叶夢

ん、おはよ

少し距離を感じるが友達が居る前は友人なんて居なかった為、とても嬉しい

だがこの嬉しさも、平和を喜ぶ時間も

この疑問を伝えるまでしか長く続かなかった

叶夢

……あれ、伊藤は？

田中

あ〜…それが………

田中

実は、行方不明なんです………

叶夢

行方不明？

田中

はい…確認出来たのは昨日の夕方までで……

田中

寮にも戻ってなくて…………

叶夢

………(俺と話した後直ぐに帰ったかと思ったが……違ったのか…？)

中野

伊藤……何処行ったんだろ………

中野

彼奴が居ないと少し寂しいぞ……

田中

先生達も一生懸命探してくれてるから、何時か見つかるよ……

叶夢

………

叶夢

……よし、昼に生徒会や風紀委員の奴らに聞いてみるわ

叶夢

その時に情報があれば良いんだが……

中野

た、頼みます！伊藤は大事な友達っすから！

叶夢

あぁ、俺も彼奴の友人だしな

叶夢

昨日の礼もまともに出来てねぇし……

田中

礼？

叶夢

あ、いや…此方の話………

叶夢

兎に角、聞いてみて、収穫あったら教えるわ

田中

…はい、お願いします

授業中

叶夢

……………(行方不明…)

叶夢

(新たな事件？)

叶夢

(誘拐……前みてぇなやつなのか？)

叶夢

(…いやでも、伊藤…田中もだが……)

叶夢

(人体実験に向いてる様な異能じゃない……)

叶夢

(自分で「しょうもない」って言うぐらいしょうもなくはあるからな………)

叶夢

(……なら、一体なんで伊藤は行方不明に…？)

昼休み　屋上

太宰　治

えっ！伊藤君が行方不明！？

中原　中也

マジか……昨日までちょくちょく見かけてたんだが…

中島　敦

おふたりは面識があったんですね……僕名前ぐらいしか分かりませんけど……

中島　敦

叶夢君の友達なんだよね？

叶夢

そうだ、俺の大切な友達第2号だ

谷崎　潤一郎

え、第1号は…？

叶夢

？天駆だけど？

中原　中也

ま、マジか…………

太宰　治

よく自身を裏切ってテロ未遂を起こした者を友人と思えるね……

太宰　治

尊敬通り越してもはや恐怖だよ……

叶夢

………確かに、彼奴は罪を犯し、俺を裏切った……

叶夢

だが、俺にとってはまだ友人だ(微笑)

他

(心広すぎる……)

叶夢

……それで、行方不明の情報って出てんのか気になって聞いたんだが………

国木田　独歩

ふむ…………

国木田　独歩

……その様な報告はこれと言って無いな

国木田　独歩

確かに先生方が何時もより俊敏に動いているなとは思っていたが……

中原　中也

最初の反応で分かると思うが、此方もなんも報告無かったぞ

叶夢

生徒会、風紀委員が知らねぇなら……何も情報が…………

あるよ

全員

！？〔声のした方を向く〕

江戸川　乱歩

よっと！(塔屋の上から降りて来て)

江戸川　乱歩

やっとあの汗臭い人達から抜け出せてこの上に居たら、君達が何か話してたからね

江戸川　乱歩

一寸聞き耳立てさせてもらったよ

太宰　治

ら、乱歩さん……情報があるって……？

江戸川　乱歩

言った通りだよ

江戸川　乱歩

「伊藤暖汰」の行方不明についての情報は、ある

叶夢

……あ、そっか……

叶夢

田中達が「先生達も探してる」って言ってたから…

叶夢

乱歩さんも探す羽目になったのか…

江戸川　乱歩

その通り！

江戸川　乱歩

全く……この頃僕の出番多すぎる気がするんだけど！お菓子を食べる暇が無い！〔不機嫌そうに〕

叶夢

それは、まぁ………しょうが無いんじゃ…(大体こう言うやつの原因って俺なんだよなぁ……すまん乱歩さん)

中島　敦

そ、それで…その情報って…？

江戸川　乱歩

誰が攫ったか、だね…

江戸川　乱歩

正確に言えば、「なんの組織が」かな

叶夢

…組織が関わってるにしても、彼奴異能はしょぼいって話だぞ？

叶夢

利用価値は無いと思うんだが……

太宰　治

………もし、もしの話だけれど……

太宰　治

……その組織が、「異能を更にパワーアップさせる実験」とかしてたら……

太宰　治

……伊藤君や田中君は適任なんじゃ無いかな？

叶夢

…………は？

太宰　治

温度調節系って、強化してしまったら広範囲を制圧出来る可能性があるんだよ

太宰　治

暖かさに関するものなら、熱中症より酷い…直ぐに干からびてしまう様な暑さに出来るかもしれない

太宰　治

涼しさに関するものなら、風邪よりも酷い、直ぐに凍ってしまいそうな寒さに出来るかもしれない……

叶夢

けどじゃぁなんで伊藤だけ…っ！

江戸川　乱歩

あのさ〜、そこで盛り上がってるけど、僕の話聞かなくて良いのー？

叶夢

あ、す、すまん………聞かせてくれ…

江戸川　乱歩

……組織の名前は、「サリエル」

江戸川　乱歩

裏の組織だよ

太宰　治

……死を司る天使の名前…そんなものを付けるなんて、その組織イカれてるねぇ？

中原　中也

人攫ってる時点で頭可笑しい連中だろ…

中原　中也

……ま、裏組織ならお構い無しだと思うが…

叶夢

場所までは分かんねぇのか？

江戸川　乱歩

それを今捜索中なんだよ

江戸川　乱歩

流石の僕でも市内でそこを割り出すのは時間がかかる

叶夢

そうか………

江戸川　乱歩

……言っとくけど、一応これ他言無用の事だから

江戸川　乱歩

生徒会・風紀委員会以外の物にバラしちゃ駄目だからね

江戸川　乱歩

例え、その誘拐された者の友人でも…

叶夢

！(マジか、そんなヤツなのかよ…っ！)

叶夢

(クソ……収穫あれば報告するって約束しちまったぞ……？どうはぐらかせば…………)

………く…

叶夢

(………嘘を吐く……)

叶夢

(これしか方法は無い…が……友人に対して使いたくない………)

叶……ん

叶夢

(そんな事をすれば、天駆とやった事はほぼ同じだ！)

叶夢

(だけど…………)

太宰　治

叶夢君！

叶夢

っ！

太宰　治

…そんな険しい顔して、どうしたんだい？

太宰　治

ずっと呼び掛けていたのに反応もしないし……

叶夢

あ、あぁ……すまん………

叶夢

…あれ、乱歩さんは…？

中島　敦

さっき学園長に放送をかけられて学園長室に行ったよ……

叶夢

そ、そうなのか………

中原　中也

……んで、なんでそんな浮かばねぇ顔してんだよ

叶夢

…それは………

叶夢、田中達との約束説明中

谷崎　潤一郎

なるほど、それで今悩んで……

叶夢

………同じ様な事をして、彼奴らを悲しませたく、ねぇ……

叶夢

それにそれは……後に自分の首を絞める行為だ………

太宰　治

…別にそれぐらいの嘘、自分の首を絞める力なんて無いと思うよ？

叶夢

……え？

太宰　治

だって、悪い方向にさえ転ばなければ良い話じゃないか

太宰　治

もし良い方に転がって、伊藤君を保護出来たら…

太宰　治

「先生方のお陰だ」と言えば良い

太宰　治

私達が攫っていた組織の事を知っていたとて、何も言われていない以上、関わる事は無いし…

太宰　治

やるのは全て先生方だ

太宰　治

……それに元から、「嘘を吐く」しか選択肢は無いよ

太宰　治

他言無用、だからね

叶夢

…っ………分かってる……上手くやるよ……

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叶夢くんのことを皆が受入れて、普段と変わりなく接してくれることは、叶夢くんからしたらきっとすごく嬉しいことなんだろうな、伊藤くん、この前の音夢さんの時でしたね、無事に見つかるといいですが、というか叶夢くんやはり心広すぎる、でも私も、たとえ裏切られたりとかしても、私は、その人をずっと友達って思い続けるかもね、大切な友達に嘘をつくのは辛い。きっと私もできないと思う

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