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朝の教室。まだ生徒はまばらで、窓から差し込む光が机の上に広がっている。 颯真はいつも通り、早めに登校して席に座っていた。 昨日の帰り道 「明日も一緒に帰ろな」 その言葉が、なぜかずっと耳に残っている。
大翔
教室のドアが勢いよく開いて、大翔が入ってくる 颯真は少しだけ顔を上げた。
颯真
大翔
颯真
大翔
颯真は言葉を返さず、教科書に目を落とした でも、心の中では少しだけ、嬉しかった。
大翔
颯真
大翔
大翔は笑って、席に座った その笑顔が、颯真の朝を少しだけ明るくした。
授業中、何も話していないのに、気づけば大翔の椅子が少しずつ 颯真の方に寄ってきてる 颯真は何も言わないけど、机の端にペンを置いて、さりげなく“これ以上来るな”の境界線を作る 大翔はそれを見て、ペンの向こうに消しゴムを置く。
ペンの向こうに置かれた消しゴム。 颯真はそれをちらっと見て、ため息をつく。 (…こいつ、ほんと懲りない) でも、ペンをどけることはしない。 そのまま、境界線の上に定規を追加する。
大翔はそれを見て、口元をゆるめる。 今度は、定規の上に小さく折った紙を乗せてくる その紙には、走り書きの文字
大翔
颯真は一瞬だけ目を伏せて、無言で紙を裏返す そこに、シャープペンで一言
颯真
大翔は満足げに頷いて、椅子をほんの少しだけ戻す 机の端にはまだ消しゴムが残っている 颯真はそれを見て、何も言わずにノートを開く
チャイムが鳴って、教室がざわつき始める 颯真はゆっくりと荷物をまとめながら、ちらりと隣を見る。 大翔はすでに立ち上がって、颯真の机の横で待っていた 何も言わずに、ただ目で「行く?」と問いかけてくる。 颯真はため息をひとつ
颯真
大翔
大翔は嬉しそうに笑って、颯真の後ろをついて歩く。
本屋の中は、放課後の喧騒とは違って静かだった。 ページをめくる音と、遠くのレジの機械音だけが響いている。 颯真は文庫コーナーで立ち止まり、気になっていた新刊を手に取る 大翔は隣で、漫画の棚を眺めながら、時々颯真の方をちらちら見ている 二人は並んで立ったまま、それぞれの本を手に取る 颯真の指先がふと、大翔の持っていた漫画に触れる。
颯真
大翔
大翔はその漫画を手に持ち、レジへ向かう 颯真も静かに自分の本を抱えて、後ろを歩く。
帰り道、夕焼けが街を染めていた。
大翔
颯真
大翔
颯真は何も言わずに歩き続ける。 街路樹の影が長く伸びて、二人の足音が静かに並ぶ。
大翔
颯真
大翔
颯真
大翔
颯真は少しだけ歩調を緩める その言葉が、思ったよりも胸に残った。
颯真
大翔
颯真
大翔
大翔
颯真
大翔
颯真は顔をそむける 夕焼けの光が頬を赤く染めているのは、夕日のせいだけじゃなかった。
颯真
大翔
颯真は何も言わず、前を向いたまま歩き続ける。
颯真
大翔
颯真
大翔
二人の影が並んで、夕暮れの道をゆっくりと伸びていく 風が吹いて、春の匂いが少しだけ残っていた。