1パーセントの奇跡を抱きしめて

シュンッ

あれ…

私、

何しようとしてたんだっけ

心配したように此方を覗き込むトワの手には、青い花が握られていた。

ああ、そうか。

病に効く薬草を手当り次第に試していたところだった。

もう片手では数え切れない程試して…

家も何日も空けて…

月を浴びたような、怪し気なオーラを纏う薬草。

確か…月快晴草という名前だったか。

ガラガラガラ

おかえり

トワが月快晴草を見せると、2人は目を丸くして驚いた顔をした。

水雲君は、今にも泣きそうな顔で笑った。

おずおずと私の袖を引っ張るセレーノ

お兄ちゃん、お姉ちゃん、ごめんなさい

ありがとう

ガチャ

今にも泣きそうな顔で、弱々しく言った。

相当心配をかけてしまったようだ。

俺と姉貴が、死ぬ気で取った月快晴草。

俺と姉貴の、勇気の証。

それをもう一度力強く握る。

カラカラカラ

カラカラカラ

手早く花を調合していく

透けた青色の液体。周りは月明かりを受けたように怪しく輝いている。

ああ、今にも涙が出てしまいそう

出来た液体を、一方はグラスに、一方は瓶に入れて蓋をする。

そして、グラスを手に取る

ゴクッ

片っ端から本を開き、月快晴草を見つけた時、

探しに行こうと、必ずあると、自信たっぷりに言った記憶が蘇ってくる。

ガラガラガラ

これで、治るの？

恐る恐る、口に近づけていく。

ゴクッ

急に黙ったセレーノの顔を覗き込む。

耳を疑った。

今、

今＿＿＿＿＿

水雲君はいよいよ耐えきれなくなったのか、大泣きでセレーノに抱きついた。

初めて聞いた、セレーノの声。

セレーノは、こんなにも愛おしく、優しい声をしていたのだ。

そうやって笑うセレーノは、本当に優しそうで、

本当に、言葉で表せない程、

綺麗だと思った。

今でも思い出す。

達成感と、感動と

耳に残る優しい声

きっと、忘れることはないだろう。

＿＿＿＿＿＿＿＿

＿＿＿＿＿＿＿＿

＿＿＿＿＿＿＿＿

1パーセントの奇跡

たった1パーセントの幸福

それを掴み取って、抱きしめた。

これはきっと、神様が味方してくれたのかな

なんて＿＿＿＿

ポタポタ…

99パーセントの必然

99パーセントもの不幸

それを掴み取ってしまった。

1パーセントの奇跡を抱きしめて、

次は＿＿＿＿＿

written by＿NecoYuurei

Fin.