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小倉くんシリーズのあげ直し

12 - 番外編 第一話 小倉葵の過去(前編)

♥

52

2024年10月19日

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番外編 第一話  小倉葵の過去(前編)

母)小倉 茜音

それじゃあ葵、お母さん出かけてくるからいつもみたいにいい子にしててね

小倉葵

うん、分かったよ
お母さん

母)小倉 茜音

えらいわねぇ…

母)小倉 茜音

やっぱり貴女だけは私の味方よね…じゃあね、

小倉葵

…よし!

タッタッタッタッタッ

父とは死別し、 母は夜の街に遊びに出、 朝方まで帰らない

首から下げた小さなカバンには 昼、夜のご飯代といい 一枚千円札が入っている

これが当たり前だった

小倉葵

はっ、はぁっ…!

小倉葵

(あともう少し…!)

小倉葵

あ‼︎その前にっ

小倉葵

店長さん、このおにぎりとお茶ください!

店員

ねぇ僕?いつも言ってるけど店長さんじゃないよ?

店員

今日も唐揚げサービスしとくね

小倉葵

ありがとぉ!

ゴソゴソ

小倉葵

はい!1000円で

店員

はーい

ピッ

店員

はい、おつり

小倉葵

じゃあこれ買うよ!

店員

またか、ヤスリなんて何に使うの?

小倉葵

内緒!

店員

怪我すんなよー?

小倉葵

うん!

タッタッタッタッ

小倉葵

ばいばい!

けど、辛くは無かった 母を恨んでもいなかった

小倉葵

ついたぁ…!あはっ…!

だって、そんな事も忘れられるくらいの楽しみがあったから

小倉葵

んーー……

小倉葵

!、あった!

ザッザッ ジャプジャプッ

小倉葵

わぁ…っ綺麗…

小倉葵

〜♪

スッ サリ…サリ…サリ…サリ…

海辺や街中に落ちている、色鮮やかなビンの破片

僅かなお金で買い揃えた道具を使い、少しずつ時間をかけ

丁寧に丁寧に磨いていく

そうすると、宝石にも劣らぬ輝きを見せてくれるから

小倉葵

お母さん、また喜んでくれるかな〜っ♪

サリ…サリ…サリ…

この時間が、俺にとっての唯一の幸せと呼べた

日が暮れても 叱ってくれる大人もおらず

手を繋いで歩いてくれる 大人も居ない

小倉葵

その時間が一番孤独を強く感じた

小倉葵

ただいま、

ガサガサ……ザアーー

小倉葵

1、2、3…

小倉葵

19、20個!やった、新記録!

小倉葵

お母さん!

小倉葵

ギュ

小倉葵

(もう、お風呂入って寝よ…)

放置子…っていうのか

最後に母と笑ったのはいつだろう

最後に母に抱きしめられたのは いつだろう

最後に母と食卓をかこったのは いつだろう

もう考えるのも嫌になった…

そんな生活が7年程続き 中学に上がった頃には

そんな感情も消えていた…

俺が中学になった頃 気づいた事がある

女子生徒

ちょっと何あの格好っ笑

女子生徒

ねぇ~恥ずかしく無いのかな

女子生徒

ちょっと可哀想笑

男子生徒

気持ち悪りぃ奴だよなぁ

男子生徒

しっ!聞こえちまうだろ?笑

男子生徒

どうでもよくねそんなの笑

男子生徒

確かに笑

小倉葵

(変…気持ち悪い…)

小倉葵

(あっ、そっか)

小倉葵

(普通の子はこんな格好しないのか)

男子生徒用の黒いズボンに 女子生徒用のスカーフにセーター

三つ編みにした、肩まで伸びた髪

小倉葵

(生まれてくる性別間違えたかな)

この格好

別に俺が好きでしているんじゃない

全ては母の望みだ

数年前のこと

母)小倉 茜音

葵ぃ…可愛いわねぇ

母)小倉 茜音

さすが私の『娘』

小倉葵

おかぁさん…ぼく、

母)小倉 茜音

『僕』じゃないでしょ?

母)小倉 茜音

『私』よねぇ?

小倉葵

ぁ…うん

母)小倉 茜音

うふふ…いい子ねぇ

母は一度流産を経験している

その子は、本来俺の 姉になるはずだった

この名前…葵というのも、生まれてこなかった姉につくはずだった

念願の娘

それを失った母は現実を受け止めきれず、俺にこんな真似をさせた

一時期、学校を休んでいた事があった

理由は、疲れたから

一年の頃の思い出なんて、殆どない

小倉葵

(皆見てる……やだな…)

2年からまた登校してみた

でも結局、周りからの対応は変わらないまま

男子生徒

また来てるよアイツ笑

男子生徒

よく来れるよなぁ笑

女子生徒

ねぇチラチラみてくる、キモ

女子生徒

本当やだね~

ガヤガヤ

小倉葵

(くだらね…)

相手にしたって時間の無駄

そう分かっていたから、こちらからは感傷せず、出来るだけ離れて行動した

不良の生徒

不良の生徒

だが厄介事というのは、いくらこちらが避けようが

無視しようが、粘着質に付き纏ってくるのだと知らされる

小倉葵

何…急に呼び出して

不良の生徒

え?逆になんで分かんねえんだよ?笑

小倉葵

不良の生徒

おい無視してんじゃねえよ

不良の生徒

気持ち悪りぃ奴だな、“女男”は1人居たら充分なのに、2人も要らねえんだよ

小倉葵

何それ…

不良の生徒

お前らみたいな奴のことだよ、マジうぜえなお前

不良の生徒

そうやって「僕なにも知りませ〜ん」「な、何なんですか~?」って言ってたら見逃すとか思ってんのかよ?笑

小倉葵

……何したっていうのさ、私が

不良の生徒

不良の生徒

小倉葵

僕が…僕が…!…

小倉葵

何を‼︎…

不良の生徒

あ?____

ドガッッッ

不良の生徒

クハッッ"'"

不良の生徒

小倉葵

はぁ……はぁ…っ

小倉葵

ッ‼︎‼︎

不良の生徒

?!

小倉葵

好きで…こんなんじゃないのに……

初めて暴力を振るった

手に残る痺れと熱と鉄錆のような匂い

唸り声…

小倉葵

小倉葵

(いつまで続くの…)

【後編】へ続く____

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コメント

16

ユーザー

〜変更〜 過去編 1人2, 3話ずつ投稿 1番目小倉葵の過去 前・後編  本編(最終話まで)を挟んで (鷹取リvs PLENAMETUS) 2番目井川(過去編) 3番目冨山( " ) 4番目園崎( " ) 5番目海堂( " )の順番に投稿 する予定です

ユーザー

辛い……。辛すぎるよ葵くんん……ッ!   ショタの葵くんを保護して愛でたい。

ユーザー

もう保護してしまいたい……😭 番外編面白いです続き待ってます!

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