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今日は里志が来てくれる。里志に、早く逢いたい
早朝からお風呂に入り、肌と髪の手入れに余念のない愛夜子。メイクを終え、真っ赤なペディキュアを塗っているところだ。
愛夜子は幸せな想いを巡らす。ルーリラで里志と愛し合ったシーンを想い浮かべる。
愛夜子
マニキュアとペディキュアが乾くと、愛らしい部屋着の上にエプロンを着けた。
愛夜子
ノンアルコールビールはきのうから冷蔵庫でスタンバっている。 なんとも楽しそうに、茹で上がったほうれん草を切る愛夜子。
一方、里志もはやく愛夜子に逢いたくてたまらない。
朝の8時、早いかなと思いつつも待ちきれずに車に乗り込み、愛夜子からもらった住所をナビに打ち込んだ。
里志は東京郊外に住まうが、愛夜子は都心の歓楽街から程近い場所のマンションに住む。
1時間半もせぬまに愛夜子のマンションを見つけた。 すぐ近くにパーキングがあった。車を駐車し、足早に愛夜子の自宅へと向かう。
愛夜子を、抱きしめたい! 愛夜子の声・肌・魂、すべてを感じたい、今すぐに
気持ちが高鳴る里志。
ピンポンー。
愛夜子
里志
インターホンのカメラで確認した愛夜子は小走りに玄関へ。 鍵を開けた。愛おしい里志が立っていた。
愛夜子
手を握り招き入れる愛夜子。
里志
愛夜子
二人はリビングのソファーでくつろぐこととした。
愛夜子
嬉しくて仕方がないという表情の愛夜子。
里志
二人、くっつき仲良くホットを飲んでいる。
里志は、引き伸ばすようなことではないと思い、切り出した。
里志
愛夜子
里志
愛夜子
愛夜子ののどにまで出かかる。
『そんなの知らん顔してしまえば良いじゃない! 本当に愛し合っているのはあたしたちなのだから!』
でも、里志の事情があるのだろう、と思う。
里志に任せよう。こんなにあたしは愛されている。なにも心配は無いわ。里志に任せるの
自身に言い聞かせるように、思う。 けれど、なんだか淋しさに襲われる。
愛夜子
里志がコーヒーカップをテーブルに置いた時、抱きつく愛夜子。
里志
互いを食べるかのような深いキス。
愛夜子
愛夜子の仔猫のような声が切なげだ。
愛夜子の部屋はまるでラブホテルのように煌びやかだ。ピンクやフリル、ハート柄に彩られている。
――――二人はホットに愛を確認し合った。
倒れ込むように振り向き、里志に抱きつく愛夜子。
愛夜子
里志
しなやかでいてたくましい腕で愛夜子を抱きしめる里志。
二人は穏やかにシャワーを浴びた。 里志は、バスタオルで丁寧に愛夜子の躰を拭いてやった。
里志
ニッコリ微笑する愛夜子。
愛夜子
里志
愛夜子
ショッキングピンクのシーツにくるまれたベッドへと誘う愛夜子。
里志
愛夜子
目をキラキラさせおしゃべりを始める愛夜子と、静かに話を聴く里志は今、ベッドに横たわっている。
里志の腕枕、気持ちいい。良い匂いがする……
胸をときめかせ、ゆっくり瞳を閉じる愛夜子。
里志
――――その瞬間、愛夜子は、物凄い速さでクルクルと色形を変える万華鏡の中身を自分の中に見た。
愛夜子の顔が曇る。
愛夜子
ひと言言って里志の胸に顔をうずめる。
性虐待……辛い思いをして来たんだよな、愛夜子は。そうやって東京までやって来たんだ
里志は、この壊れやすく、光を反射する薄いガラスのような愛夜子を、なにがなんでも守りたいと誓う。
愛夜子
里志
愛夜子
里志
里志の話に聴き入る愛夜子。
愛夜子
里志
明るく笑う里志につられて愛夜子も微笑む。
愛夜子
里志
愛夜子
里志のために準備した新しいTシャツとゆったりとしたズボンを取り出す愛夜子。
里志
愛夜子
里志
至れり尽くせりの、里志のために甲斐甲斐しい愛夜子だ。
里志にいくらでも尽くしたい。だってこんなに愛しているもの。尽くし足りないわ、あたし
愛夜子も部屋着を着た。 そして冷蔵庫から取り出したるは、ほうれん草のおひたしと玉子焼き。 いつもよりもきびきびと動きながら愛夜子が言う。
愛夜子
里志
愛夜子
こんなに健気な愛夜子に『望子が妊娠していること』なんて話せない……
里志は、キッチンの椅子に腰かけ束の間考え込んでしまった。
愛夜子
愛夜子は里志の心の機微に敏感だ。
里志
愛夜子は里志のすべてを信じたい。
愛夜子
里志
愛夜子
いつもの癖で、愛夜子は玉子焼きもおひたしも、いっぱい作っていた。軽く5人前はあるだろうか。足りなくなるのが嫌なのだ。
里志は素敵。ずっと見つめていたい
じーっ。
里志
愛夜子
里志
愛夜子
里志
コクリと頷く愛夜子。
*
――――愛夜子は思い出す。 高速バスのバス停で泣きながら笑い、愛夜子を見送る麻矢子。 バスが出発し、ママに持たせてもらったおにぎりと玉子焼きを食べながら、愛夜子は泣いた。
里志
少し淋し気に「ママ」と答える愛夜子。
お父さんの話をしたくないのかな、となんとなく感じ取る里志。
里志
愛夜子
里志
愛夜子
と言って悪戯っぽく笑う愛夜子。
里志
恥ずかしそうに俯く愛夜子。
里志
愛夜子
里志
花が咲くように顔を上げる愛夜子。
愛夜子
――――愛夜子は人と話している時急に、風景が浮かぶのだ。
今はこんなものが見えた。 曇天の海辺で潮風に長い髪を棚引かせ立っていた自分が真っ白なドレスのまま、波打ち際に横たわる。 濡れて行く、脚・髪・ドレス。 恍惚の表情の自分。
里志
と里志。
愛夜子
愛夜子は答えた。
里志
里志はワクワクした表情だ。
愛夜子はキッチンの椅子から立ち上がり、レコードプレーヤーの所へ行き、パッヘルベルのカノンをかけた。ドーナツ盤だ。 甘美な弦楽器の音色。 部屋中に浮かぶ音符が目に見えるようだ。
里志
愛夜子
とても生き生きとする愛夜子。 愛夜子自身、趣味でボーカリストとしてステージに立っていたのだ、昔。
里志
愛夜子
より輝きを増す愛夜子の瞳。
愛夜子
里志
オウム返しに訊きながら里志も、レコードプレーヤーのある部屋へやって来た。 そしてカーペットに座りくつろいでいる愛夜子を包むように抱きしめた。
愛夜子
里志
愛夜子
里志
クラッシックの流れる中、躰を蛇のように絡め愛し合う二人。 それは時を止めたかのように続いた。 途中でレコードは止まり、無音状態になった。
愛夜子
と戯れの途中、愛夜子はのけぞりレコードを止めた。
愛夜子
ピロートークでも二人は愛の海に心地よく溺れる。
里志
愛夜子は横向きになり、うっとりと里志を見つめている。 仰向けになっていた里志はそれに気づき、彼も愛夜子のほうに躰を向き直した。
愛夜子
里志
愛夜子
里志
愛夜子
里志
愛夜子
里志
愛夜子
ギュッ。
里志にしがみ付き、陽だまりのぬくもりを感じる、愛夜子は。 好きで、好きでたまらない、里志が。
愛夜子
里志
愛夜子
里志
にっこり。
ダイニングキッチンにはテレビもあるけれど、里志は観ない。 愛夜子を見ていたい。
愛夜子は一生懸命だ。恐らく手際の良いほうではない。 里志にはそこがいじらしく感じられた。
お肉と玉葱がフライパンの中で合わさった良い匂いがする。食欲を刺激される。ソースを数種類混ぜる愛夜子。
里志
愛夜子
里志
愛夜子
里志
子どものように喜びを隠し切れない愛夜子。
――――出来上がった焼きそばを食べる二人。
里志
愛夜子
里志
愛夜子
里志
少し淋しそうに下を向く愛夜子。
里志
愛夜子
穏やかなランチタイムを終え、お皿を洗う愛夜子。
里志は、なぜだかわからない。 愛夜子の後ろ姿を見ていると(悲しいほど綺麗だ)と想った。
こんな小さな背中で、余りにも重たすぎる荷物をたった一人で抱えて来た愛夜子を健気に感じ、愛を増した。