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ナイショの恋を、香くんと。

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ナイショの恋を、香くんと。

3 - ナイショの恋を、香くんと。 第3話

♥

32,024

2019年03月05日

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桐生 麻衣

一ノ瀬さん、flavorの事務所と私の所属事務所って同じとこなの?

桐生 麻衣

うちはクローバーってとこなんだけど

一ノ瀬 香

flavorの事務所はスワンってとこ

一ノ瀬 香

一応、音楽事務所だけど、活動してる歌手は少ないから知らないかも

一ノ瀬 香

クローバーもスワンもうちのオヤジが社長だから、なんとでもなるってわけ

一ノ瀬 香

グループ会社らしい

桐生 麻衣

(あぁ…そういうことなのね。何気にお坊ちゃんなのか)

桐生 麻衣

(だから、この寮に…って、それもおかしくない!?)

桐生 麻衣

(女性の一ノ瀬香として入寮したわけだよね?)

桐生 麻衣

(うちの事務所でもなにか仕事してるのかな?)

桐生 麻衣

もしかして、一ノ瀬香としてもなにか仕事してるの?

一ノ瀬 香

う~ん…正式には、今はまだしてない

一ノ瀬 香

でも表向きは、ちょっとしたモデルをしてることになってる

一ノ瀬 香

学校のコースが芸能コースなのに、活動してなかったら変だろ

桐生 麻衣

それもそうだね

桐生 麻衣

でもそれって、かなりリスク高くない!?

一ノ瀬 香

flavorを続けるには、それくらいのリスクは仕方ないと思ってる

桐生 麻衣

そんなにアイドルやりたいんだ?

一ノ瀬 香

別にアイドルをやりたいっていうわけではなくて…初めてなんだ

一ノ瀬 香

親に自分の意見を通したのが

桐生 麻衣

えっ?

一ノ瀬 香

昔から、兄貴と比べられてばっかりで

一ノ瀬 香

俺はなんにも出来ないんだから

一ノ瀬 香

親の決めた道を歩けばいい、みたいに言われててさ

一ノ瀬 香

兄貴もスワンで働いてる。オヤジの下でね

桐生 麻衣

そう…なんだ

桐生 麻衣

(お兄さんがいるんだ。デキる兄と比べられるのはキツいよね)

一ノ瀬 香

兄貴は元々、オヤジの跡を継ぐ予定だったから別にいいんだろうけど

一ノ瀬 香

俺は嫌だったんだ

一ノ瀬 香

それで、仲間内で色んなオーディション受けてさ

一ノ瀬 香

受かったのがスワン主催のアイドルグループオーディションだった

一ノ瀬 香

昔からダンスをやってたから、四人で歌って踊ったんだ

桐生 麻衣

お父様の会社主催って分かってて応募したんだよね?

一ノ瀬 香

うん。とりあえず、どこかで受かるのが俺たちの目標だったから

一ノ瀬 香

でも審査にはオヤジは関与してなかったらしい

一ノ瀬 香

俺たちが自分の事務所に所属になって、びっくりしてたけどな

一ノ瀬 香

まさか、自分の息子がエントリーしていて

一ノ瀬 香

受かるなんて想像してなかったんだろうな

桐生 麻衣

(偶然、お父様の事務所に入ったのか)

桐生 麻衣

(なんか、色々事情ありって感じだなぁ)

一ノ瀬 香

オヤジは多分、自分の思い通りにならない息子が

一ノ瀬 香

自分の事務所で活動しているのが嫌なんだと思う

一ノ瀬 香

だから、無理難題の交換条件を出してきたんだろ

桐生 麻衣

そりゃそうだよね

桐生 麻衣

(事情は大体分かった)

桐生 麻衣

(納得いかない部分も多いけど…一ノ瀬さんと一緒に住むしかないか)

桐生 麻衣

(…納得いかないけど!!)

桐生 麻衣

(もうここに住んでいる以上、私に選択肢はないもんね。残念ながら)

翌朝

桐生 麻衣

これでよし…っと

桐生 麻衣

一ノ瀬さ~ん、起きてる~?

桐生 麻衣

(呼んでも返事ないか…)

桐生 麻衣

(お弁当作ったけど、一ノ瀬さんの分どうしよう…)

桐生 麻衣

(そこまで私がやる必要もないか)

桐生 麻衣

(でもまぁ、朝ご飯くらいは作ってあげようかな)

桐生 麻衣

(ひとり分もふたり分もそんなに変わらないし)

15分後

桐生 麻衣

準備完了!食べてくれるかな?

桐生 麻衣

(まだ起きてこないなぁ。もうそろそろ時間ヤバイよね)

桐生 麻衣

(私がそこまで考える必要ないのかもしれないけど)

桐生 麻衣

(一緒に住んでいる以上、無視するっていうのも気が引けるしなぁ)

桐生 麻衣

はぁ…

桐生 麻衣

(ノックしても反応なしか…開けてみようかな)

ガチャ

桐生 麻衣

桐生 麻衣

…っ!

桐生 麻衣

ちょっと!急にドア開けないでよ!

桐生 麻衣

びっくりするじゃない!!

桐生 麻衣

(急に開けられたから、一ノ瀬さんにぶつかっちゃった…!)

一ノ瀬 香

なに?朝から大胆じゃん

桐生 麻衣

なっ…そんなんじゃないわよ!

桐生 麻衣

一ノ瀬さんがなかなか起きてこないから、起こしてあげようかと…

一ノ瀬 香

ふ~ん、やさしいとこもあるんだ

桐生 麻衣

あのね~っ!!

一ノ瀬 香

朝っぱらからうるさいんだけど

桐生 麻衣

(あぁもう、言い返すのも馬鹿らしくなってきた)

桐生 麻衣

(っていうか…一ノ瀬さんバージョンの格好で)

桐生 麻衣

(そういう言葉遣いやめてほしいんだけど)

桐生 麻衣

(昨日、学校で初めて会った時にも思ったけど)

桐生 麻衣

(女子にしては背が高すぎる気がするのは私だけなのかな?)

桐生 麻衣

ねぇ、身長いくつあるの?

一ノ瀬 香

175くらいだけど

桐生 麻衣

女子でそれは高くない?女装もそのうちバレる気がする

一ノ瀬 香

別に今時、これくらいなら普通にいるだろ

桐生 麻衣

(まぁ、確かにモデルさんとかではいるかもしれないけど)

一ノ瀬 香

とにかく、フォローよろしくな!

桐生 麻衣

っ!

桐生 麻衣

…分かってる

桐生 麻衣

(ふいに頭をポンってしないでよ…)

桐生 麻衣

(っていうか、一ノ瀬さんバージョンでそういう行動は…!)

桐生 麻衣

(なんかほんと、色んな意味で前途多難な気がする)

一ノ瀬 香

おぉ~!朝ご飯美味そうじゃん!

一ノ瀬 香

いただきま~す

桐生 麻衣

(いつの間にかもう座って食べてるし)

桐生 麻衣

(なんていうか…能天気だなぁ。本当に大丈夫なのかな)

桐生 麻衣

(まぁ、ご飯だけは私が作ってあげようかな)

桐生 麻衣

(美味しそうに食べてくれてるし)

桐生 麻衣

いただきます!

桐生 麻衣

一ノ瀬さん、申し訳ないけどお弁当は作ってないんだ

一ノ瀬 香

あー…うん、いらない。午前だけで帰る時が多くなると思うし

桐生 麻衣

そうなんだ。アイドル活動でってことだよね?

一ノ瀬 香

うん、それもあるし、一ノ瀬での仕事もこれからはたまにあるみたいだし

桐生 麻衣

一ノ瀬さんでの仕事ってことは、モデル業?

一ノ瀬 香

あぁ、そうだよ

10分後

一ノ瀬 香

…ごちそうさま

一ノ瀬 香

あっ、アンタのそこ…ご飯つぶついてる

桐生 麻衣

えっ…どこ…

一ノ瀬 香

唇の、もう少し右…そこだよ

一ノ瀬 香

取ってやろうか?

桐生 麻衣

取らなくていいっ!

桐生 麻衣

(まったくもう、なに言い出すんだか…)

一ノ瀬 香

ははっ

一ノ瀬 香

あっ、そういえば、チャットのID教えて

桐生 麻衣

なんで?

一ノ瀬 香

なんでって…これから色々連絡するのに必要だからに決まってるだろ

桐生 麻衣

分かった。はい、これ

一ノ瀬 香

サンキュ!俺からはスタンプ送っておくから

桐生 麻衣

うん!

桐生 麻衣

(さぁ、後片付けしちゃおうっと!)

桐生 麻衣

(一ノ瀬さん…洗面所に行っちゃったけど)

桐生 麻衣

(なにしてるんだろう?)

桐生 麻衣

(あっ、戻ってきた…)

一ノ瀬 香

桐生さん、スカートってこの向きで合ってる?

桐生 麻衣

…っ!?

桐生 麻衣

ちょっと!なんて格好してんのよ!

一ノ瀬 香

えっ?見ての通りだけど

桐生 麻衣

…はぁ

桐生 麻衣

ウィッグつけて、上が裸で下はスカートって、もう…

桐生 麻衣

(一歩間違えれば変質者だよ!)

一ノ瀬 香

しょうがないじゃん…

一ノ瀬 香

さっきご飯食べるときにブラウスを少し汚しちまって…

一ノ瀬 香

着替えようと思ったんだよ

桐生 麻衣

だったら、せめてブラウス着てからこっちに来てよ!

桐生 麻衣

スカートは昨日もはいてたでしょ

桐生 麻衣

(そんな格好でウロウロしないでほしいわ)

一ノ瀬 香

いや、でも…

桐生 麻衣

合ってる合ってる!合ってるから早く部屋に戻って!

一ノ瀬 香

ははっ…なに、もしかして照れてんの?

桐生 麻衣

(からかわれてる!?)

桐生 麻衣

照れてないっ!そんな格好でうろつかないで!

一ノ瀬 香

はいはい

桐生 麻衣

(やっと部屋に戻ってくれた…)

桐生 麻衣

(毎日こんな感じなのかな…先が思いやられるなぁ)
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