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あれから…

何ヶ月がたっただろうか。

キョウヤは急に

俺を呼び出して

穏やかな口調で

こう言った。

キョウヤ

ふうさん。あのね、俺。

キョウヤ

病気なの。

キョウヤ

余命はもう、ほとんどなくて。

キョウヤ

ほんとは先月の予定だったけど、ゆうに越してたから、まだ行けるかも〜なんて思ってたけど…

キョウヤ

もう、無理みたいなんだ。

キョウヤ

だから、やっぱふうさんには

キョウヤ

伝えなあかんと思って。

風雅

…病気。

風雅

なんの?

キョウヤ

狭心症。

風雅

きょーしんしょー?

キョウヤ

恭平くんと同じ反応笑笑

キョウヤ

心臓が圧迫される病気。

キョウヤ

医者に言われた。

キョウヤ

今夜がヤマだって。

風雅

…今夜。

キョウヤ

だから俺、逝く前にふうさんに会いたくて。

キョウヤ

俺が逝く寸前までさ…

キョウヤ

俺の隣にいてくれないかな。

風雅

…いいよ。

キョウヤ

ありがとう。

言い残したことがあるくらいがちょうどいい

彼はそう言った。

他愛もない話をした。

昨日あったテレビ

クラスのぶりっ子の話

理想の彼女の話

好きな髪型の話

そして

彼は最後に、こう言った。

キョウヤ

最後まで笑顔じゃなくて、ごめんね。

キョウヤ

大好きだよ。ありがとうふうさん。

キョウヤ

俺の分も生きて。

キョウヤ

無理はしても、無茶はしちゃダメだよ。

キョウヤ

俺が1番この世界で好きなのは…

キョウヤ

ふうさんだからね。

何かを悟ったようにそう言った彼の瞳には

光るものがあり

それは彼の頬を伝っていった。

風雅

俺の方こそ。

風雅

最後にいる人に、俺を選んでくれてありがとう。

あっけなく逝った。

泣いた。

泣きまくった。

でも

清々しい涙だった。

葬儀は次の日行われた。

キョウヤの親はいないから

主催者は俺。

風雅

キョウヤ…

風雅

ありがとな。

風雅

俺に生きる希望を与えてくれて。

風雅

ごめんな。

風雅

気を遣わせて。

大吾

風雅。

大吾

俺たちの中に、必ずキョウヤは生きるから。

大吾

たとえ俺たちが嫌でも

大吾

あいつの執念深さは並外れてんだろ?

風雅

…そうっすね。

風雅

ありがとうございます。

康二

うん。

康二

キョウヤは多分

康二

清々しくて、晴れやかな逝き方だったと思うよ。

康二

隣には

康二

風雅がいたんだから。

立ち直るのには3ヶ月かかった。

でも俺は負けない。

「きっとそっちに行く時には

最高の土産を持って行くから

何年かけてでも俺を

待っててな、キョウヤ。」

そう空に語りかけて

俺は

城ホールに向かった。

心に生きるシンメの

キョウヤと共に。

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