あの子はきっと外に出たい。

注意 死体や殺人、虫の表現が出てきます。 苦手な方は飛ばしてください。 内容がグロテスクです。 見たくない方は無理に見ないで、次の話に進んでくださいね！次の話にはしっかり内容も入れておきます> < ♡

ピンポーン

ガチャッ

ｻﾞｸｯ

俺は初めて、人を殺めた。

びちゃっと飛んでくる返り血と、驚いたような顔をして死んだ父さん。 こいつ、ほんとにマフィアなの？…弱。

そして何度も刺して、刺して、刺した。

原型が留まらなくなるまでぐちゃぐちゃに。

腹が立った。こんなクズ親に。

俺はただ母さんに謝りたかっただけなのに

俺が来るのがもう少し早ければ、母さんは死んでなかったのかな。

父さんは感情表現が豊かじゃなくて、常に無口だった。多分、人を殺すのに抵抗がない。

そこが…父さんのその部分だけが、似たのかな。

……まあ、そこはありがたい。

…家の中も、変わってるのかな。 今まで生きてると思ってた母さんはもう居ない。

そう思ったら、目が熱くなって、涙が溢れる。

それで、やっと気付いた。 本当は母さんを"愛してた"んだなって。

ずっと最悪な親だと思ってた。

外から出してくれないくそみたいな親だと。

でも、こんな汚い世界に出さないでくれたのも、きっと母さんの優しさだったのかな。

…そう思いながら俺は、家の中に足を踏み入れた。

ｶﾞﾁｬｯ

部屋に入ると異臭がした。

よく見たら、クローゼットから黒い液体が垂れ、蛆が出てきてる。

呼吸を辞めたくなるようなこの匂い。

早く部屋から出たかった。

でも、ここにはきっと

＿＿母さんがいる…

開けたくもない。見たくもなかった。

でも父さんに殺されて、俺の部屋でずっと1人だった母さんを放っておけなかった。

せめてごめんだけでも、言わせて欲しかった。

…

（クローゼットを開ける）

そこには、醜い母さんと凶器。 そして、手紙があった。

髪も乱れ、泣きじゃくったような顔。 いつもの……いや、俺が見てきた母さんとは、全く違う別人のようだった。

顔はほつれて、ぐちゃぐちゃだった。

もう見たくない。

これ以上見るのは、精神的にキツい。

だから、気になってた手紙を取って、母さんを運んで、部屋からでた。

死体を置いてから、すこし違う部屋を見に行った。

ここは、よく俺がひとりで遊んでた場所

ここで1人でおもちゃであそんだり

本を読んだり

寝っ転がりながら勉強したり

たまにここで寝て母さんに怒られたり。

思い出が沢山詰まった場所。

やっぱり、思い出せば思い出すほど涙が出る。

でも、2人が待っててくれてるんだから、早く戻らなきゃ。

また今度ここに来て、家を片付けよう。

どうせこの家に来る人なんていない。 山奥だし、誰にも知られない様な家だったから。

＿＿＿＿

…ｶﾞﾁｬｯ

⛄️視点

辛そうな顔。

見たこともないような。

おんりーは、憎しみと恨みが混ざったような目をしてた。

この家でなにがあったの？

ねぇ、おんりー、なんでここに2つも死体があるの？

ひとつはきっとおんりーが殺したもの。

もうひとつは、多分古い死体。虫もいるし、液体も垂れてる。

…初めての殺人が、自分の父親なんて…

ほんまに、なにがあったん…？

ｶﾞﾁｬｯ