TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

短編集

一覧ページ

「短編集」のメインビジュアル

短編集

12 - 白黒コンビ/いつか絶対

2025年01月13日

シェアするシェアする
報告する

えーん

泣き声

どこか聞き覚えがある

昔、毎日聴いていたような

えーん

…誰だったか

いつも、泣いていて

えーん

思い出した

アイツだ

いつも、今からじゃ想像つかないくらい泣いていて

えーん

俺には、何もできなくて

…おい、待て何処行く

えーん

待ってくれ!!行かないでくれ!!

やめろ!!行くな!!

待ってくれ!!

えーん

玖黸

梓蕗っ!!!!

ガハッ

玖黸

はぁ…はぁ…

玖黸

今の、夢か…?

玖黸

………っ…

そうだ

決めたんだ

あの時から俺はアイツを守る、って……

梓蕗の家は複雑だった

梓蕗の父親は酒癖で悪くいつも母親を殴っていた

殴られて母親はいつも「ごめんなさい」と謝ってばかりだったらしい

謝り続ける母親

殴られても抵抗しない母親

何も言わないからとエスカレートしていく父親

幼かった梓蕗はそれを誰よりも間近で見ていた

時が経つにつれて父親は梓蕗も殴るようになった

日に日に増えていく痣

それを隠そうとする細い腕

聞いても「転んだ」という梓蕗

夏なのに長袖

俺は小学生の頃に初めて梓蕗の家庭を知った

ミーンミーン

玖黸

あ、もう帰らないと!

梓蕗

え、...

梓蕗

ま、まだ遊べる?

玖黸

もう厳しいかも!

梓蕗

あ、あと5分だけでも

玖黸

うーん...厳しい...

梓蕗

そ、そっか...

ミーンミーン

玖黸

......

玖黸

...おまえ、夏なのに長袖きて熱くないの?

梓蕗

え、...

梓蕗

いや、...

玖黸

ふーん...

梓蕗

......

梓蕗

あ、あのね...

玖黸

どうした?

梓蕗

......誰にも言わないで欲しいんだけど

玖黸

うん

梓蕗

...わたし、パパに殴られてる...

玖黸

え!?

玖黸

そ、それって警察とかに...

梓蕗

言わないで!

梓蕗

言ったらパパに何されるか分かんない...

玖黸

...

玖黸

じゃあこの痣とか全部、殴られてできたやつなのか?

梓蕗

...うん

玖黸

......

玖黸

なんかあったらおれに言えよ!

玖黸

おれはお前の味方だからさ!

梓蕗

...うん!!

あの時、俺は知らなかった

梓蕗の殴られてるってのは俺が考えていた以上に悲惨だったのを

玖黸

......

玖黸

今日、梓蕗休みだった...

玖黸

プリント届けに行かなくちゃな

玖黸

しろ___

ガシャァーン!!

玖黸

ビクッ

これだから!!

このクソ野郎どもがッ!!!

や、やめて…!!

パパ!!

 

キャァアァー!!

ごめんなさい!!

ごめんなさい!!

玖黸

…え、…

玖黸

し、しろ…?

近所の人

……坊や、どうしたの?

玖黸

あ…し、しろが…

玖黸

殴られてる…

近所の人

…?どういうこと__

ガシャンッッ

バシッッ

辞めて!!痛いよ!!

近所の人

…け、警察!!!

玖黸

あ、!だめ!

近所の人

何言ってるのよ!?警察呼ばなきゃ!

 

  

 

 

そうして警察が到着し、事情が明らかになった

直ぐには離婚できなかったらしく、梓蕗が中学生になってようやく離婚できたらしい

離婚して父親と離れられても梓蕗は数ヶ月間元気がなかった

梓蕗の心の中ではまだ生きているんだ

中学2年生になれば梓蕗も元気を取り戻してきた

俺も嬉しかった

そうしてまた日常が戻って平和になっていった

クラスメイト

お前ってほんっとに梓蕗ちゃんに過保護だよな

玖黸

は?

クラスメイト

いやいや、見てて分かりやすすぎ…

クラスメイト

…もしかして無自覚だった?

玖黸

は?アイツに過保護なわけねぇだろ

玖黸

アイツの何処に過保護なんだよ

クラスメイト

えぇ〜…

クラスメイト

そういいつつ好きなんじゃないの〜??

玖黸

はっ!?!?

玖黸

うるっせぇ!!!

クラスメイト

いやそれは絶対好きなやつww

玖黸

う、うるせぇ!!

 

 

 

 

仕事仲間

玖黸さんて梓蕗さんに過保護ですよね

玖黸

はぁ!?

仕事仲間

いや、見てて丸分かりですよ

玖黸

んなわけねぇだろ!!

何回も言われた

過保護だと

過保護になるに決まってるじゃないか

だってアイツの…

……アイツは…

……

あれを見た時から守るって決めてんだよ

何があっても

 

 

だってアイツは

梓蕗

……

玖黸

偶に、消えてしまうんじゃないかっていうほど

何も感じず儚い顔をするから

誰かと話していないとき、1人の時はそんな顔をするんだ

目を離した隙に居なくなってるかも、

そんな顔をしているんだよ

その度にあの時の事思い出して

梓蕗

……

梓蕗

__

玖黸

!!

玖黸

行かないでくれ…ッ!!

梓蕗

わっ!?!!?

梓蕗

びっっっっっ……くりした…

梓蕗

どうしたの?

玖黸

あ…

ほらまた

隠すんだ

そうやって

本当は誰よりもぼろぼろで悲しくて辛いはずなのに

笑うんだよ

勿論お前と過ごす時間も好きだ

お前の笑った顔のが好きなんだよ

お前が俺と話してる時はお互い素を隠さずに気楽に話してるってわかるから

嘘ついてる訳じゃないんだろうけど

でも…

梓蕗

……?

玖黸

……

「俺の前では気楽に生きていいんだぞ」

…って

言ってやれたら良いのにな

玖黸

…なんでもね

玖黸

そのまま転んどけば面白かったのになw

梓蕗

はぁー!?

梓蕗

そういうくーを転ばせてやろうか!?

玖黸

やってみろよ

梓蕗

じゃあやってやんよ!!

 

 

 

 

玖黸

ぶはっ…はははは!

梓蕗

…あっはは…!!

いつか絶対

この気持ちを言ってやる

 

  

おまけ

時折こんな顔をしてて欲しい……

222タップお疲れ様でした!(ฅ'ω'ฅ)

loading

この作品はいかがでしたか?

0

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚