樹
生きてるって…どういうことだよ…だって、お前が殺したんじゃ…
千夏
殺したよ、たしかにこの手でね…でも、
どういうわけかあの子の能力は生きている。
…これが何を示すか…答えは一つしかない
どういうわけかあの子の能力は生きている。
…これが何を示すか…答えは一つしかない
樹
…でも…あくまで仮説だろ?
千夏
事実かどうかは、君が結果を知っているんじゃない?
渉
何いってんだ…お前…
千夏
そうでしょ?……ラミ側幹部候補の月島樹君?
樹
…!?いつから…
千夏
最初から?
渉
ちょっとまってくれよ!!樹はラミ側の人間だ?
そんなの…なんの冗談だよ…
そんなの…なんの冗談だよ…
千夏
冗談だと、私も思いたいわよ
樹
意外とバレてなかったんだ…
千夏
君の演技は完璧に近かった。
一つ助言するとしたら、光太くんとの距離かな?
一つ助言するとしたら、光太くんとの距離かな?
渉
距離?…まぁ近いなとは思っていたが…
千夏
なんで君がそこまで光太くんにこだわるのか…
今なら答えがわかるわよ
今なら答えがわかるわよ
樹
…はぁー…正直…騙し通せるとは思ってもいない…
だから納得はいってる
だから納得はいってる
渉
え、まじで敵なのお前…
樹
知らなかったのか…俺は確かにラミ側の人間だ。
…だがそれは、不本意な事。俺の意には反している
…だがそれは、不本意な事。俺の意には反している
千夏
…自ら望んではいないってことかしら?
樹
そうだな…お前ら2人は何を信じている?
渉
信じ…え?
千夏
宗教って事かしら?
…うちは特に何も
…うちは特に何も
渉
俺も
樹
子供は親の言う事を聞くしかない。
これは殆どの家庭がそうだろう?
これは殆どの家庭がそうだろう?
樹
幼い子供には判断作業が少なく、尚且つ頼れる大人が少ない。
…俺は幼少期から選択肢がなかった
…俺は幼少期から選択肢がなかった
千夏
選択肢…ねー…
樹
将来の夢とか習い事とかが制限される分には、まだ良かったかもな。
俺にはやりたい事も無かったし
俺にはやりたい事も無かったし
樹
友人が制限されるのはきついけど
渉
…んで?なんでそれがラミ側と関係あるんだよ。
聞いてた感じ環境が悪かったとしか言いようがないだろ?
聞いてた感じ環境が悪かったとしか言いようがないだろ?
渉
変えようと思えば変えれたはずだ
樹
そうだね、お前はそういうだろう…でも状況が違う。
俺の曽祖父の代の話をしようか
俺の曽祖父の代の話をしようか
樹
今から何年前かは知らないけど…曽祖父はかなりの借金を背負っていた。
それを肩代わりする代わりに、自分達の子孫も味方につく
それを肩代わりする代わりに、自分達の子孫も味方につく
樹
これが曽祖父とラミが結んだ絶対に破れない協定だ
千夏
破れない…本人達はもう居ないのに?
樹
協定自体は破れるけどその分、肩代わりした借金は返済しなきゃならない
渉
金か未来か…
樹
俺は借金してでも協定を破りたい。
…だが両親はそれを許さない。最低でも自由になるまであと20年以上はかかる
…だが両親はそれを許さない。最低でも自由になるまであと20年以上はかかる
千夏
それの為だけに、君は自由を奪われているの?
樹
本当の意味は違うけどな。
……第3期生には全員傷がある。そうだよな?
……第3期生には全員傷がある。そうだよな?
千夏
え…えぇ。その年に産まれた能力者はだけど…
樹
…ほらよ、これが本当の理由だ
[第一ボタンを開け肩を出す]
[第一ボタンを開け肩を出す]
渉
肩に傷…千夏の反対か…
千夏
驚いた…貴方も能力もちなのね
樹
ラミは俺が裏切ったと同時に彗の能力を使う。
俺は能力によって生かされている
俺は能力によって生かされている
千夏
今の私と同じね
樹
能力が無かったら俺は死ぬ。ラミは俺の能力だけがほしい。だから…
いくら反抗的でも手元においておく
いくら反抗的でも手元においておく
渉
あのさ、正直何を言ってるかわからんけど…それが光太とどう関係が…
樹
任務で出会ったのが光太だった。
…ただそれだけだ
…ただそれだけだ
千夏
じゃぁ、君は…任務だから彼と一緒にいるの?
樹
…最初はそのつもりだったよ
樹
…綺麗な景色だな…
誰もいない…静かだ…
誰もいない…静かだ…
樹
最後にふさわしい場所だよ…
樹
(このまま利用されて終わるぐらいなら…いっそ自分で終わらせてやる)
[崖に一歩近づく]
[崖に一歩近づく]
ガサガサッ
樹
誰だ…!?
??
ヒッ…人がいた…
樹
え、だれ?
??
…虫取りに来てたんだけど…道に迷っちゃって…
樹
あっち…帰り道はあっちだ
??
ありがとう〜助かったよ〜
…えーと…君は何でここに??
…えーと…君は何でここに??
樹
別に....何だっていいでしょ?
??
そうかな…そうだよね…でも
樹
でも。なに?
??
僕方向音痴だからさ、帰り道分かってもちゃんと帰れるか分からないんだ…
樹
つまり、案内しろと?
??
そうです…ハイ…
樹
(このまま善意を一回も見せずに終わるのもな…)
樹
いいよ、案内する
??
本当!?ありがとう、助かったよ!!
樹
…この辺では見ない顔だけど…どこの子?
??
え?…あぁ、僕隣のそのまた隣の地区に住んでるんだー
だから会った事ないでしょ?
だから会った事ないでしょ?
樹
確かにな
??
…ねぇねぇ、名前なに?
樹
知ってどうするのさ。もう会うことないのに
??
えぇー…連れないなー…近い未来会わなくても、大人になったら会えるかもじゃん?
…その時に恩返しさせてよ!
…その時に恩返しさせてよ!
樹
恩返し?俺は道を教えただけで……
??
死のうとしてたのに、僕を助けてくれた。
…よくわからないけど、君が困っている人に手を差し伸べたって事でしょ?
…よくわからないけど、君が困っている人に手を差し伸べたって事でしょ?
??
まだ、生きていたいんじゃない?
樹
…知ってたのか?
??
全然!…でもあそこは自殺の名所だからね、あんな所に子供一人で居るわけないし…もしかしてと思っただけだよー
樹
俺の名前は月島樹
??
え…あぁ、僕は楠木光太!よろしくね、樹君!!
樹
光太…?ってことはお前…男だったのか…
光太
え…うん、そうだよ?
樹
髪の毛長いから女の子かと…
光太
あぁー…これただ単に切るの面倒だったから…
樹
なんだその理由…。
楠木が方向音痴なのも、俺をあの場から遠ざける嘘?
楠木が方向音痴なのも、俺をあの場から遠ざける嘘?
光太
半分は本当。だって、帰り道指ささないし…
樹
あ、そういえば指してないわ
光太
伝わると思うなよ?あと、光太でいいよ
[樹の一歩前を歩く]
[樹の一歩前を歩く]
樹
…光太
光太
うん?なーに?
[くるりと振り向く]
[くるりと振り向く]
樹
ほいよ
[光太の髪に花を付ける]
[光太の髪に花を付ける]
光太
ッ!?これって…
樹
パンジーだよ。
…花言葉は…なんだっけ忘れた
…花言葉は…なんだっけ忘れた
光太
えぇ〜…かっこわるー…でもありがとうね、樹
樹
…きれいだよ
光太
でしょ!?僕ね、パンジーが一番好きなんだー!
小さいけど、いっぱい咲いてると綺麗じゃん?
小さいけど、いっぱい咲いてると綺麗じゃん?
樹
そうだな…そのバカをどうにかしないな
光太
んなっ!!急になんだよ、ばーか!!
樹
言われたらやり返すぞ、馬鹿が
光太
バカって言ったほうが馬鹿なんですー
樹
お、今言ったな?
光太
先制攻撃樹だからね
樹
とっとと歩けよ、日が暮れるぞ
光太
あ、待ってよー!
千夏
…つまり君は…光太くんに…
樹
それ以上喋ってみろ、口を縫うぞ
渉
でも任務関係あったか?
樹
俺が光太と仲が良い事を知ったラミが、友達付き合いをするように
と命じてきただけだがな…
と命じてきただけだがな…
樹
ラミは、お前に対抗できる能力を持つ光太を手札として欲しがってたからな。
どうしても俺と光太の友達付き合いを守っておきたかったんだろう
どうしても俺と光太の友達付き合いを守っておきたかったんだろう
千夏
…君はさ…友人を見殺しにしたの?
樹
…ちがう!!あれは…あれは…
渉
友人…?あぁ、彼奴等か…
樹
千夏…お前らSAクラスは依頼をすれば動いてくれるんだよな?
千夏
えぇ、依頼をされれば…ね
樹
なら…俺は依頼する
渉
え…はぁ!?
千夏
…依頼料は高いわよ?
樹
『楠木光太を守る代わりに、月島樹の全ての権利を握る』
…これでどうだ!?
…これでどうだ!?
千夏
…そこまでして、彼を守りたいの?
樹
…あいつは…希望なんだ…そして、それは…彼奴等が望んだ最初で最後の我が我儘なんだ!!
千夏
…了解、この依頼引き受けるわ
渉
おいおい、正気かよ…
千夏
それが、君のできる最後の弔いだからね
樹
…千夏…いいのかよ…
千夏
言ったでしょう?私ももう一度殺さなきゃいけない相手がいる。
…それを手伝う事が条件よ
…それを手伝う事が条件よ
もみじ
友樹はやーく!!
友樹
まてよー…急いでもメロンパンはにげねーぞ
もみじ
いいから!!早く早く!!
友樹
全く…
女子高生
あ、いた…天野友樹さんと、風原もみじさんですよね?
もみじ
…だれ?
女子高生
アハッ!みんないたよー!
友樹
っ…!?もみじ逃げろ!!
もみじ
え…
[ナイフで刺される]
[ナイフで刺される]
友樹
んなっ…!てめぇ!!!
女子高生
きゃー…こわーい
[友樹にナイフを刺す]
[友樹にナイフを刺す]
友樹
危ねえ…!
[避ける]
[避ける]
もみじ
かハッ…
[血を大量に口から吐き蹲る]
[血を大量に口から吐き蹲る]
友樹
もみじ!!
男子高生
おぉー金が落ちてるー
[友樹に野球ボールを投げつける]
[友樹に野球ボールを投げつける]
友樹
んな…!
[腕に当たる]
[腕に当たる]
男子高生
らっくしょー!!
女子高生
早く写真とって!!お金が!
男子高生
そうだったな、はいお二人さんも笑ってー
友樹
貴様ら…!なんの真似だ!!
[腕を抑える]
[腕を抑える]
女子高生
うーん…簡単に言ったらバイト?
もみじ
…バイ…ト…?
[お腹を押さえる]
[お腹を押さえる]
男子高生
そーそ。…って、早く逃げようぜ!
女子高生
んじゃーね、お兄さんたちー
友樹
待て!!…っ…もみじ!!
もみじ
僕は平気…
友樹
待ってろ今救急車呼ぶから!
もみじ
あり…がと…
[その場に倒れる]
[その場に倒れる]
友樹
もみじ…?もみじ!!なぁ、おい!しっかりしろよ!!
友樹
…って感じだったよ
千夏
なるほど…
友樹
僕は幸いにも骨折程度で済んだけどね
光太
もみじさんは…
友樹
…意識不明の重体、まぁ平気なんじゃない?
秋江
そうね…
友樹
夫人
[お辞儀をする]
[お辞儀をする]
叶
あの、友樹さん…犯人ってバイトがどうこうって言ってました?
友樹
そういえば言ってたな…お金が関係してるらしいけど…もしかして
千夏
闇バイト
叶
この間起きた爆破事件も
千夏
今回の殺傷事件も…全て
叶
同じ組織が関係している…?
でも関連性なんて…
でも関連性なんて…
光太
関連性なんて必要ですか?
千夏
…どういうこと?
光太
本来の目的から目を外させるための作戦…だとしたら…
千夏
…本来の目的…元々、私達は欧州で発生してる爆破事件を追っていた
友樹
…だけど、日本でも同じ事件が起きた
光太
そして、今回の殺傷事件
叶
だとするなら…犯人の目的って
秋江
戦力を削ぐため?
光太
じゃぁ…今回の殺傷事件は…
千夏
私達を殺すため…
友樹
殺すまでいかなくても、戦力を削ぐことは可能だ
千夏
全員1週間程度2人以上で動くこと。
…そう伝えておいて
…そう伝えておいて
友樹
分かった
光太
もみじさん、早く目覚めると良いですねー
千夏
そうねー
光太
また、囮にでも使うんですか?
千夏
はは、まっさかー。そんな事しないよー
光太
時田さんのときはしたくせに
千夏
相当恨んでるわね…
叶
そりゃ恨むでしょうよ…
千夏
しょうがないじゃん…
叶
……まぁ、それだけあんたが焦ってた…ってことでしょう?
光太
え?
千夏
そうね
叶
てか、病院で状況確認してたら朝になってるし…
千夏
あ、あと2日で新年か…
光太
早いですねー
千夏
大掃除しないとなー
光太
…出会ってから…半年も経つんですね
千夏
そうだよー早いね
叶
朝ごはん食べる?
光太
あ、この近辺に紅茶が美味しい喫茶店があるんですよ
千夏
お、いいねー
光太
お腹すいたー
アーシア
あら?貴方達は…
叶
え、アーシアさん!?
千夏
こっちに来てたんですね…言ってくださればよかったのに
アーシア
あはは…ごめんなさいね、代わりに何かに奢るわよ
叶
え゙っ゙!?
光太
どんな声出してるんですか…
千夏
いえ…流石にそれは…それにこっちにきてるんですし、
こちらがおもてなししないと
こちらがおもてなししないと
アーシア
この国は目上の人間が奢る習慣があるそうね?
光太
…千夏ちゃん、ここは素直に甘えたらどうです?
千夏
そうね…では、お言葉に甘えて
光太
相変わらず美味しい....
アーシア
小耳に挟んだけど…貴方達、命を狙われているそうね
千夏
えぇ
アーシア
大変ねー…もみじさんが動けなくなるとかなり困るから
叶
上はてんやわんやでしたけどねー
[カップを持ち口元へ運ぶ]
[カップを持ち口元へ運ぶ]
叶
…っ…この匂い…
[手を止める]
[手を止める]
光太
あぁ、それ海外から茶葉を仕入れているそうですよ
光太
今回はミルクティーにしましたけど…紅茶美味しいですよ?
[口元へカップを運ぶ]
[口元へカップを運ぶ]
叶
光太君は、ちょっと待とうか…
光太
え、なんで
千夏
…これ…毒が入ってるね
光太
ええ!?
アーシア
全員飲まないで、この場にいて
叶
アーシアさんは何をする気ですか…
アーシア
ちょっと協力するだけよ。…あいつに借りを作っておいたほうが便利だからね
アーシア
紅茶といえば…英国か…
アーシア
Excuse me, can I have a moment?
(すみません、少しいいですか?)
(すみません、少しいいですか?)
店員さん
はい…えーと…
店員さん
What's wrong?
(どうかしましたか?)
(どうかしましたか?)
アーシア
ーーーーー,ーーー?
[英語で店員さんに質問をする]
[英語で店員さんに質問をする]
光太
あのさ、これ他のお客さん飲んでも平気なの?
千夏
それは平気よ
叶
…アーシアさんが気を引いているお陰で、回収しやすいわ
[小さい容器に紅茶を入れていく]
[小さい容器に紅茶を入れていく]
光太
…一体…誰がこんな事を…
千夏
…ねぇ、叶?
叶
なーに?
千夏
USBの件だけど…侵入できる人間ってこの世にどれくらいいると思う?
叶
…あぁ…あれか…どうだろうね
光太
叶ちゃんはできるんですか?
叶
勿論。
…出来るとしたら、私と同等…
…出来るとしたら、私と同等…
千夏
依梨さんとか?
叶
あとは、能力的に千夏も可能よ
千夏
権力的にいえば、総理だって見れる
光太
…つまり…SAクラスの関係者なら見れる…
千夏
…隊員もね
アーシア
thank you
(ありがとうございました)
(ありがとうございました)
アーシア
分かったわよ、色々とね
千夏
さっすがー
アーシア
ひとまずでましょう?
アーシア
あの店で使われているのは、確かに海外の茶葉だった。
…ただ
…ただ
光太
ただ?
アーシア
仕入先が消えているのよ
千夏
…消えたって?
叶
いなくなった。または、端から存在してない?
アーシア
会社は存在していなかった。
店長の人にも聞いたけど、オーナーしか分からないって
店長の人にも聞いたけど、オーナーしか分からないって
千夏
オーナー…
光太
そういえば、アーシアさんは何で英語を?
アーシア
…あぁ、日本語でも良かったのだけれどね
アーシア
紅茶の有名なのは英国でしょ?だからー『味がひどく気に入った。同じのがほしい』
アーシア
っていえば、自然かなって
光太
なるほど!
叶
腐っても元弁護士ってわけね…
アーシア
弁護士は2年も経たずに辞めましたけどねー
千夏
諦め早いよね…アーシアさん
アーシア
話を戻すけど、私は帰国するわ
千夏
これまたいきなりですね
アーシア
元は達也に書類を届けに来ただけよ
アーシア
まぁ、書類とは名ばかりで実際はうちのトップが
煽り文句と恨み辛みを書いた手紙だけどね
煽り文句と恨み辛みを書いた手紙だけどね
叶
総理いろんな所に喧嘩売ってるもんねー
光太
自国の領土に立ち入ったものは、どんな国でも怒鳴り込みに行きますし…
アーシア
逆に言えば、それが普通よ