桜
失礼します。
そう言って、私は図書室に入る。
私は図書部に入っていて、 いつも金曜日に図書室に来て本の整理をしている。
図書部の先輩
本当に桜ちゃんが入ってくれてよかったね。
図書部の先輩2
ね。今年入ってくれる子がいなかったら廃部になるところだったし。
図書部の先輩
2年間してきたのに、3年になったら別のクラブっていうのも嫌だし。
図書部員は3人しかいなかったらしく、 今年に私を含めた3人が入ったことで廃部にはならずに済んだ。
桜
(じゃあ、始めようかな。)
本棚の整理をしようとしたとき、 窓から理科の先生と話している御月が見えた。
桜
(御月ど先生?)
何か話しているみたいだったが、話が終わったのか、 御月は校門へと向かって歩いていった。
理科の先生は少しの間そこに立ったままだったが、 私は見てしまった。
御月がいなくなってから、先生の口角が、微かに上がっていたことを。
桜
(……御月に伝えないと。)
桜
(伝えなかったら……御月は……。)







