脱獄と復讐

不躾な態度にムカついた僕は

彼の服の肩あたりを強く握りしめ エレベーターの壁に押し付ける

怒りのまま、唾を飛ばした

男は全然動揺していない

その光景が余計に苛立たせる

ゼエゼエと荒々しい息を吐いていたら 囚人に背中をさすられ抱きしめられた

僕は彼の肩から手を離し エレベーターの上表示を眺める

もう地下一階だ

チンと軽やかな音を鳴らして エレベーターの扉が開く

医務室に入る

棚から薬と包帯、鋏を取り出し 傷の手当を一人でする

棚の中で行うが一人じゃうまくできずゆるゆるになってしまう

彼の隣にはなかったはずのファイルが 三つ積まれていた

その上にはちぎれた 麻のロープが置いてある

そんな会話をした後

彼は手際良く包帯を巻いて 傷の手当てをする

カーテンを閉めて ベッドの上で着替える

そうポツリと呟き 医務室から出る

数分後

中央の広間を囲うように 囚人たちが黄色い歓声を上げていた

囚人たちの間を縫って歩くと

そこでジョナサンが

赤毛の囚人ガルドに ボコボコと殴られていた

そう楽しげに言うと

男はナイフを腰から取り出して 差し出してくる

取り出したコインを握って 木っ端微塵にする

震える手でナイフを握りしめると ジョナサンに向かってナイフを向ける

ナイフを持っていた手を離し その場から逃げようとした

しかしガルドがやってきて 睨みつけてくる

殴りかかってきた瞬間 僕は目を瞑った

ガルドはそのまま食堂から出て行く