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〔メインストーリー〕白昼夢に泳がされて

第8話 - 第八話　御伽噺

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2025年10月27日

#完全オリジナルストーリー

#オリキャラ登場

#不思議な物語

#SFファンタジー

水彩　＠スランプ

人の負の思いはやがて ''呪い''に変わる

それは初めから約束されていたことなんだよ

例えば

深紅の薔薇が華やかに咲いているとしよう

だけれど

そんな風に美しい花もいつかは朽ちるんだ

これも一種の呪いさ

キミは『ボク』にどんな呪いを見せてくれる？

青い光がまぶゆく感じ、目を開けると

星風ｾｲｶ

やあ

星風ｾｲｶ

''久しぶり''の快眠は
どうだった？

仮面らしきもので目元を隠している女性らしき人が立った儘

軽く手を振りながら、口角を歪め子供っぽい笑みを浮かべた

沙羅ｻﾗ

…貴方があの呪いを？

私は眉を顰めながら、目の前の女性らしき人を見詰めた

星風ｾｲｶ

いいや？私じゃないよ

星風ｾｲｶ

正確に言えば…水彩が琴葉ちゃんの能力のサポートをして、君の呪いを''抹消''したと言った方が正しいね

沙羅ｻﾗ

…あの呪いを抹消なんて出来る訳…

星風ｾｲｶ

出来るんだよ

目の前の女性らしき人が低い声で断言した

星風ｾｲｶ

呪いは、負のナニカが集まって出来た人には見えない物だからね

星風ｾｲｶ

その負のナニカを正のナニカで中和すれば呪いは簡単に無くなる

沙羅ｻﾗ

…そんな事が可能なの？

星風ｾｲｶ

君が元々居た本の世界と此処は技術の発展スピードが違うからねぇ~

星風ｾｲｶ

〔不可能〕を
可能に出来るんだよ

沙羅ｻﾗ

…不可能を……可能に？

星風ｾｲｶ

そうだよ

星風ｾｲｶ

……さてと……

目の前の女性らしき人が私の元へ歩みを進め

にっこりとした笑顔で言葉を紡いだ

星風ｾｲｶ

…私もキミの質問に答えてあげたんだから

星風ｾｲｶ

私の質問にも答えて貰おうかな？

星風ｾｲｶ

黒瀬家
長女黒瀬沙羅ちゃん？

沙羅ｻﾗ

…

……

静かに目を覚ますと

海の底のように静かな貴族の部屋の椅子に座っていた

……なんだよ……此処

水彩ｽｲｻｲ

此処は､読書室ですよ

背後から水のように透き通った声が聞こえ

瞬時に振り返った

お前…は

水彩ｽｲｻｲ

この本屋の
"現"店主水彩です

っ！……お前が…！

彼が動こうとすると彼の動きを封じている手枷や足枷などが彼を邪魔する

ちっ……

水彩ｽｲｻｲ

…無駄な抵抗は成る可く控えて頂きたいのですが…

…お嬢様は何処にやった？

水彩ｽｲｻｲ

秘密です

…ふざけてんのか…？

水彩ｽｲｻｲ

巫山戯ているように見えますか？

……見えねぇよ

水彩ｽｲｻｲ

でしょう？

彼と彼女の間で淡々とした雑談が繰り広げられたあと

水彩が何処からか取り出した一冊の本のようなものを机の上に置く

……この本はなんだ？

水彩ｽｲｻｲ

ただの本ではありませんよ

水彩ｽｲｻｲ

これは

水彩ｽｲｻｲ

＿貴方が自身を知る為の本です

…は？

星風ｾｲｶ

それじゃあ…私の質問に答えてもらおうかな？

沙羅ｻﾗ

…何を知りたいの？

沙羅ｻﾗ

メルト・ロウワーについて？

沙羅ｻﾗ

それとも私の事につ＿

星風ｾｲｶ

葵くんについてだよ

沙羅ｻﾗ

…

その場の温度が急激に下がった気がした

沙羅ｻﾗ

葵の何を知りたいのかしら？

星風ｾｲｶ

…葵くんは君の幼馴染だろう？

沙羅ｻﾗ

…私の執事よ

星風ｾｲｶ

…否定しないって事は…やっぱり幼馴染なんだね？

沙羅ｻﾗ

…そうよ

沙羅ｻﾗ

でも…あの子は＿

「「私の過ちのせいで、心に傷を負った」」

沙羅ｻﾗ

え？

沙羅は目を見開いて驚愕の声をこぼした

何故なら自分が放った言葉と全く同じの台詞を星風が放ったから

星風ｾｲｶ

あははっ！

星風ｾｲｶ

いやぁ~
その表情は傑作だね！

星風ｾｲｶ

百億の名画にも勝るかも？

星風ｾｲｶ

あ~ 写真撮っておけばよかったぁ~！

当の本人は、愉しそうに笑っている

沙羅ｻﾗ

…そう

沙羅ｻﾗ

全部お見通しって訳ね

星風ｾｲｶ

当たり前だよ

星風ｾｲｶ

私達をナメられちゃ困る

星風ｾｲｶ

だって…君達も本の世界の住人なんだから

沙羅ｻﾗ

…本の世界の住人っていう言い方辞めてもらえるかしら？

星風ｾｲｶ

おぉっとこれは失敬！

星風ｾｲｶ

でも事実でしょ？

沙羅ｻﾗ

……

言い返す事はできない

かと言って、肯定する事だってできない

沙羅ｻﾗ

…つまり

沙羅ｻﾗ

私の情報は、全て調査済みといったところかしら？

星風ｾｲｶ

ピンポ―ン！大正解！

星風ｾｲｶ

流石は黒瀬家のお嬢様…だね！

星風ｾｲｶ

頭の回転速度はピカイチってとこかな〜！

星風が笑い声を発しながら、言葉を並べていく

沙羅ｻﾗ

そもそもよく考えてみると…私が説明する必要はない筈よ

沙羅ｻﾗ

だって…私達も元は本の世界の住人だったんですもの

沙羅ｻﾗ

おおよそ…その反応から予測して、私が発言に困る所を見たかっただけかしら？

星風ｾｲｶ

大正解！

星風ｾｲｶ

ひゅ―！よく当たるね！

星風が陽気な声で、場の雰囲気を盛り上げようとする

沙羅ｻﾗ

次は此方から説明する番よ

星風ｾｲｶ

なにかな？

だが

その努力は沙羅の次の発言により意味がなくなった

沙羅ｻﾗ

何故、私を生かしたの?

星風ｾｲｶ

………

沙羅ｻﾗ

あの時…私は死のうとした

沙羅ｻﾗ

なのに貴方達はその行為を止めたの

沙羅ｻﾗ

理由くらい聞く権利はある筈よ

数秒間の沈黙の後

星風が軽く息を吐き、沙羅に画面越しの視線を向けた

星風ｾｲｶ

全くもってその通りだね

星風ｾｲｶ

反論する余地もないよ

星風ｾｲｶ

だけど………自分の命を軽々しくカミサマに売っちゃ駄目だよ

沙羅ｻﾗ

"神様"…？

星風ｾｲｶ

この世界に君臨する堕天使のことだよ。世界一の賢さと強さを持ってるんだ

星風ｾｲｶ

神様に似たナニカと、容姿からそう呼ばれるようになったらしいけど…正直なところ私はただの噂じゃないのかな？って思ってる

沙羅ｻﾗ

…どうしてそう思うの？

沙羅が眉を顰めながら、星風に問いかけると

星風はその質問を初めから予知していたかのように健気な笑みを口元に浮かべながら言葉を続けた

星風ｾｲｶ

だってさ〜

星風ｾｲｶ

本当の神様が居ないから、ボク達みたいな本屋が居るんだよ〜？

声の高さは明るかったが言葉はどこか暗みを帯びていた

沙羅ｻﾗ

神様が居ないから…？

沙羅ｻﾗ

貴方は自分の目で神を見たことがあるの？

星風ｾｲｶ

ある訳ないよ〜

星風ｾｲｶ

でも………昔　神に等しい仕事をしてたからね

星風ｾｲｶ

だからこそ、分かるんだよ

沙羅ｻﾗ

でも…貴方さっき…神様と呼ばれる堕天使が居るって言っていたじゃない

星風ｾｲｶ

本当の神様…とは言っていない筈だよ？

沙羅ｻﾗ

…

星風ｾｲｶ

本物の神様なんてこの世にはいないさ

星風ｾｲｶ

だから…自らが神だと主張する奴らがいる

星風ｾｲｶ

カミサマも、メルト・ロウワーも同じような奴らさ

沙羅ｻﾗ

………何故、そこまで詳しいのかしら？

星風ｾｲｶ

情報通なんだよ〜私

沙羅ｻﾗ

………そうなのね

会話のキャッチボールは

相手が言葉を投げる方向を間違えてしまうと

途絶えてしまうもの

だからこそ

"こういう"相手と話す時は言葉を慎重に選ばないといけない

星風ｾｲｶ

さてと…全てお見通しのボク達でも葵くんについて知っていることは限られているんだ

星風ｾｲｶ

おそらく、葵くんが『メルト・ロウワー』によって作り変えられた影響があるのかもしれないけど…

沙羅ｻﾗ

…そこまで知っているのなら、何故わざわざ私に聞く必要があるのかしら？

星風ｾｲｶ

だって君は作り変えられてないんでしょ？

星風ｾｲｶ

だったら、作り変えられていなくて、一番彼の傍にいた人物に色々な事を聞くのがいい選択肢なんだよ

目の前のオオカミが牙を出して笑った

琴葉ｺﾄﾊ

って！

琴葉ｺﾄﾊ

此処何処やねええええええええええええん！！！

琴葉の怒声が広い図書館のような空間に響き渡った

琴葉ｺﾄﾊ

うち、さっきまで甘味処居ったよな？！

純玲ｽﾐﾚ

居た

琴葉ｺﾄﾊ

で！

琴葉ｺﾄﾊ

なんで、一瞬の隙にこんな場所まで来とん？！

琴葉ｺﾄﾊ

あの女奇術師か何かなん？！

琴葉が耐えかねたかのように眉を顰めると

優歌ﾕｳｶ

こらっ！玲央く〜ん！？
また、勝手に楓ちゃんのお菓子食べたでしょ！？

玲央ﾚｵ

ひぃっ！怒らないでくださいっす！優歌さ〜ん！

楓ｶｴﾃﾞ

ゆ、優歌さん…わ、私は別に気にしてませんし…

優歌ﾕｳｶ

楓ちゃんは我慢しすぎ！

急に出てきた三人の人物に純玲・渚紗・琴葉が頭の上にはてなマークを浮かべる

純玲ｽﾐﾚ

…一気に出てきた…

渚紗ﾅｷﾞｻ

し、しかも…知らない人達…

琴葉ｺﾄﾊ

…なんか急に情報量増えたやんか…

優歌ﾕｳｶ

あ！

優歌と呼ばれる女性が、純玲達に気付き慌てた様子で

手に持っていたお菓子の包み紙を後ろに隠した

優歌ﾕｳｶ

こんにちは！初めまして！

優歌ﾕｳｶ

本屋の居候(フリー)兼、監察係の白華　優歌です！

楓ｶｴﾃﾞ

あ…

優歌に続いて、楓と呼ばれる少女が黒縁眼鏡を掛け直した

楓ｶｴﾃﾞ

初めまして…

楓ｶｴﾃﾞ

本屋の居候(フリー)兼…
記録係の黒咲楓(ｸﾛｻｷｶｴﾃﾞ)です

玲央ﾚｵ

こんにちはっす！

玲央ﾚｵ

自分は、玲央って言いますっす！自分も優歌さん達と同じく、本屋の居候(フリー)兼、治療係っす！

三人の自己紹介を聞き琴葉と渚紗が軽く唸った

琴葉ｺﾄﾊ

優歌・楓・玲央…かいな

琴葉ｺﾄﾊ

個性豊かやな…

渚紗ﾅｷﾞｻ

きゅ、急に自己紹介されても…よく分かりませんよ

琴葉ｺﾄﾊ

っていうか…「監察係」「記録係」「治療係」って…なんや？

玲央ﾚｵ

よくぞ
聞いてくれましたっす！

玲央が得意げな表情をした

だが　説明するのは、記録係である楓だった

楓ｶｴﾃﾞ

か、監察係は…その名の通り…何かを監察します…この時、監察するものに種類は問いません…ですが、目がいい人や洞察力に優れた人でないと…監察係にはなれません

楓ｶｴﾃﾞ

記録係は………その名の通り、何かを記録します　基本的には監察係や治療係から聞いたことを紙などに書き、記録しますが…頭のいい人や、何かを調べたり記録したりするのが得意な人しかなれません…

楓ｶｴﾃﾞ

治療係は………その名の通り…何かを治療します　一般的には、医療免許などを持っている方でしたら治療係を務めても問題はありませんが、血や内臓などのグロテスクな者が苦手な人は絶対になれません…

渚紗ﾅｷﾞｻ

つ、つまり…こういう事でしょうか？

楓ｶｴﾃﾞ

…は、はい…？

渚紗ﾅｷﾞｻ

その分野に長けている人がを係としてそれをやっている…という感じですか？

楓ｶｴﾃﾞ

ま、まぁ…簡単に言えばそうですね

純玲ｽﾐﾚ

渚紗…頭いい

琴葉ｺﾄﾊ

渚紗っちゅう男は学生かいな？

純玲ｽﾐﾚ

うん

純玲ｽﾐﾚ

多分高校生だと思う

琴葉ｺﾄﾊ

ほへぇー…凄いやん

琴葉ｺﾄﾊ

でも………玲央っちゅうやつが医療免許持っとるような面には見えへんけどな

玲央ﾚｵ

辛辣っす！！！

玲央ﾚｵ

これでも一応、医者目指してるんすよ？！

琴葉ｺﾄﾊ

"一応"なんやな…

玲央ﾚｵ

見た目で、判断しないで下さいっすよ〜…

優歌ﾕｳｶ

まぁ…初見だと、そう思われちゃいがちだよね～

優歌ﾕｳｶ

人にとって、第一印象は大事だし！

楓ｶｴﾃﾞ

だ、第一印象………

楓ｶｴﾃﾞ

私………だから、友達居ないんですかね…

優歌ﾕｳｶ

え

玲央ﾚｵ

あ

純玲ｽﾐﾚ

？

渚紗ﾅｷﾞｻ

………

琴葉ｺﾄﾊ

…

優歌ﾕｳｶ

そういうつもりで言った訳じゃないからね？！

優歌ﾕｳｶ

楓ちゃんは、可愛いし　頭も良くていい所だらけだよ？！

玲央ﾚｵ

そうっす！そうっす！楓ちゃんは、第一印象完璧っすよ！

騒がしくなった図書館のような部屋で渚紗は思った

渚紗ﾅｷﾞｻ

(この人…僕に似てるなぁ…)

じ

っ　　　　　

名前　白華　優歌性別　女性格　おおらか　天然　饒舌　明るい　面白い ❨　監察係　❩ 視力などが優れており、それに特化した能力を所持している過去　"不明" 好物　和菓子と焙じ茶補足　二つ下の弟が居るが、行方不明になっている

名前　黒咲　楓性別　女性格　おどおどとしている　頭の回転が速い　礼儀正しい　ドジっ子『　記録係　』能力は所持していないが、武道を得意とする過去　"不明" 好物　蕎麦補足　霊力を持っており、霊が見える特異体質

名前　獅子　玲央　ｼｼ　ﾚｵ性別　男性格　元気　人懐っこい　明るい　正直者 ❲　治療係　❳ 機械を使用した能力を所持している過去　両親が医療に関する仕事をしており、人を助ける仕事をしている両親に憧れ、医師を目指していたが　母が働いていた病院で全ての"機械が爆発する"という信じ難い事件が起こっており、母を高校二年生の頃に亡くしている好物　ミルクレープ補足　仲間を庇い、怪我をする事も偶にある

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