踊り子と人形職人

夜も深まり少しずつ暗くなっている店内でロウソクと君の笑顔だけが輝いている

彼女の前にあった豆のスープをこちらに引き寄せ頬を膨らます

「カッコいい騎士の人に守ってもらうためなんだ」

彼女の夢は叶ったのだろうか

俺は、夢から挫折し

彼女の顔も名前も忘れてしまった

君は今

どこで何をしている？

今日もカバンに人形を詰め出かけ出す

俺は今人形を作る職人をやっている

それが、彼女と約束した精一杯の笑顔の守り方だと思ったから

本当最近よくやってる

みんな人手足りなさすぎだろ

見てみると俺と同い年くらいのオレンジ髪の女が縄で拘束されていた

着ているオレンジのドレスからは決して奴隷だとは思えない気配がある

商人が縄で拘束された女性の顔触れる

そう思い立ち去ろうと思った時

あの元踊り子と目が合った

視線からして助けを求めてる

でも、落札した相手も随分な大男だ

助けたとしてもこっちが殺される

ふと、そんな声がどこかからか聞こえた

そうだな、俺は助けなきゃいけない

大男に腕を引っ張られている元踊り子の元へかける

そして、二人の手を振り払った

大きな手でビンタをされる

かけていたメガネが飛んでゆく

メガネをしてないせいか視線が霞む

俺はゆっくり立ち上がると大男の顔にすかさずビンタをしかえした

相手は意外と弱いらしく衝撃に耐えられず倒れてしまった

気まずい…

この言い方的にまた、攻撃してきそうな予感がする

俺は元踊り子を連れて走り出した