零桜

あれから結構経ちまして…… もうすぐ退院できるかなって所まで来た。

こさめは付き物が落ちたような顔で、 毎日楽しそうに俺のとこに通ってくれている。

あの時の違和感は、もう感じていない。

こさめの様子がおかしい事もない。

なのに

因みに、こさめはまだ記憶喪失のままだ。 でもこさめはもうそれに対して罪悪感は抱いていない。

そんな事を考えていると、扉を叩く音が聞こえる。

見覚えのある超美形と陽キャのオーラ。 え、なんでおるん……？？

みことの後ろから聴こえる元気な声。 なるほど、こさめがつれてきたのか。

…みことが、？

うおぉ、勢い凄いな。

こんなに心配性な人だったっけ …とは言いつつ、前からそこまで仲良くないか…

陰キャの弊害ってやつかぁ……泣き…

みことはみことなりに心配してくれてたんやろな。 少し申し訳ない気もしつつ、話せる気もしないけど。

と、また戸を叩く音が聴こえる。

え、誰か来る予定ない…よなぁ……

来るとしたら不良共ぐらいしか…

わー予想的中ー

相変わらず性格終わってんなこいつ…

え、なに、まだいるの

こさめの知り合い…？ 本当に分かんないから誰か説明頼む

てかここ俺の部屋だよね……？？

なんで俺の知らない話が繰り広げられてんの…？？？

ちらと隣を見ると、すちさん、 を見つめて固まっているみことがいた。

ほぼ同時に驚きの声をあげる。

だから分からんって

誰か説明。説明してくれほんとに

すちさんが分かんない俺はどうすればいいんだ…、

〜しばらくして〜

頭の処理がようやく追い着いたわ…驚き…

距離の詰め方おかしい（バージョン2）

2人が初めて見舞いに来た日かな。

陽の距離の詰め方（デジャヴ）

慌ただしい時は、考え事をしなくて済むから助かる。 俺の感なんて杞憂だって思えてくるから。

こさめの記憶の事を、考えなくて済むから。

今は、何も考えずに周りに合わせていよう。

時が来れば、きっとすぐに分かるだろうから。 …時が来るかなんて知らないけどね。

こさめが楽しそうならそれでいい。