カタカタ
カタカタ
冴内蒼空
カタカタ
カタカタ
蒼空は自室に籠り ミシンを動かしている。
カタカタ
カタ…
冴内蒼空
手元に集中してこなさなければならない 作業の中、脳内を占領するのは 今日の学校での出来事…。
思い出す度、恥ずかしくなる。
ミシンを動かす手を止め 叫び出しながら机に突っ伏した。
狭い部屋に蒼空の声が響いた。
冴内蒼空
蒼空の言葉を受けた相手、 シエルの気持ちは…と考えると 顔を赤らめたり青ざめたり大忙しだ。
冴内蒼空
困惑したようなシエルの表情を思い出し 頭をクシャクシャッと掻いた。
全く作業に集中できない。
今までこんなことはなかった。
自分の身近にいる誰かを想い、 頭の中が埋め尽くされたように そのことしか考えられなくなり、 しかも衣装作りが全く進まないなんて…
冴内蒼空
誰に向けるでもなく呟いた 蒼空の言葉はそのあとに出てきた ため息によって消えていくようだった。
可愛シエル
あの時のシエルの言葉が 頭の中で何度も繰り返される。
~回想~
蒼空はシエルから放たれた言葉を 即座に処理することができなかった。
ぐるぐる思考を駆け巡らせたのち、 恐らくこれだろうと予想がついて 一気に顔が真っ赤になる。
冴内蒼空
冴内蒼空
冴内蒼空
冴内蒼空
可愛シエル
冴内蒼空
意を決すると、 一呼吸おいて口を開く。
冴内蒼空
冴内蒼空
冴内蒼空
冴内蒼空
冴内蒼空
頭を下げ、 それと同時に右手を差し出す姿は まるで告白でもしているようだ。
もちろんそんなことを今まで 一度たりともしてこなかった 蒼空の心臓は破裂寸前 と言ってもよかった。
可愛シエル
可愛シエル
可愛シエル
可愛シエル
可愛シエル
可愛シエル
可愛シエル
可愛シエル
可愛シエル
くるりと蒼空に背を向けたシエルは 顔だけ振り返る。
可愛シエル
そう言い残すと カーディガンのダボッとした袖から 指先をちょこんと覗かせて バイバイと小さく手を振って 帰ってしまった。
冴内蒼空
蒼空はあまりの衝撃に その場に立ち尽くした。
そのままシエルの後ろ姿が見えなくなるまでしばらく動くことが出来なかった。
思い返しただけで目眩がしそうだ。
糸が切れた操り人形のように 後ろに倒れ込むと、深い息を吐く。
いくら吐いても吐き足りないとさえ 感じてしまう。
冴内蒼空
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