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優菜はとにかく走った。心拍数が上がって息が切れても、体温が上がって汗まみれになっても。優菜は諦めずに病院という1点の箇所を目指して走り続けた。 そして、優菜は病院にたどり着いた。
優菜
病棟に入ってからの第一声はそれだった。走っている間もずっと、優菜の脳内には奏斗の事しか無かったとでも言うほどに。実際そうなのだが。
奏斗のいる病室の前で、優菜は立ち尽くしていた。病棟に入る勇気も出なくて、その場で震えていた。
和斗
振り向くと、そこには和斗が立っていた。和斗は優菜が幼稚園の頃からの幼馴染で、いつも優菜の相談相手になってくれている。ちなみに、和斗は奏斗の双子の兄である。
優菜
和斗
優菜
優菜がそう呟くと、和斗はスマホを取り出し、とある1枚の写真を見せた。
和斗
優菜は思い出してしまった。奏斗が家に来た時、奏斗が自分の過去を話していた時だ。奏斗は酷い顔をしていた。あれは確か、奏斗の小学生の頃の記憶の話だったような気がする。