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LINE955

第1話 - あ

2023年08月01日

#恋愛

結城真矢

ハッカ

ちょっと、ツツジ！いつまで待たせるの！

ツツジ

なに、何のことお姉ちゃん

ハッカ

何じゃないわ、こないだ言ってた店の予約出来たんでしょうね！

ツツジ

それってお姉ちゃんのサークルの新歓コンパに使うっていう…

ハッカ

そうよ！

ハッカ

私サークルのみんなにせっつかれてるんだから！

ハッカ

さっさと教えなさいよ！

ツツジ

私は、なにもしないって言ったじゃない

ハッカ

何言ってるのあんた！

ハッカ

私の言うことは絶対でしょ！？

ツツジ

そんなの知らないよ、、、

ハッカ

いつからそんな生意気言えるようになったの？

ハッカ

またおじいちゃんとおばあちゃんにいいつけてやるわ！

ツツジ

やめて！あの二人には言わないで

ツツジ

お願い

ハッカ

なら言うこと聞くのね？

ツツジ

うん…

ハッカ

そ！ならさっさとしてよね！

ハッカ

言っておくけど

ハッカ

この私の顔に泥塗らないようなお店選びなさいよ！

ツツジ

予約金とかはどうしたら？

ハッカ

あんたで何とかしなさいよ！

ツツジ

そんな、急には用意出来ないよ

ハッカ

ホントお金にうるさいし、ケチな妹だわ！

ハッカ

とにかく、あんたに任せたから

ハッカ

ちゃんとやるのよ！

ツツジ

わかったよ

～翌日～

ツツジ

お母さん、相談があるの

ボタン

何かしら

ツツジ

ちょっと、急な出費が必要で

ツツジ

お金もらいたいの

ボタン

またなの？

ボタン

あなた、大学に入ってから

ボタン

急にお金遣い荒くなったじゃない

ツツジ

ごめんなさい…

ボタン

前はそんなことなかったのに

ボタン

逆にハッカの方はあれだけ派手にしてたのに

ボタン

大学に入ってから全然催促してこないわよ？

ボタン

あなたもお姉ちゃんをちょっとは見習いなさい

ツツジ

はい…

ボタン

今回はしょうがないけど

ボタン

次からは仕送りから減らすわよ？

ツツジ

そんな、それは困るの！

ボタン

何が困るの

ボタン

一体何に使っているの？

ツツジ

それはちょっと、、、、、

ツツジ

色々と入用で、、、、

ボタン

悪い遊びでも覚えたんじゃないでしょうね

ツツジ

違うよ！

ツツジ

絶対そんなことない！

ボタン

本当かしら

ツツジ

信じて、お母さん

ボタン

まあいいわ

ボタン

とりあえず、いつもの口座に入れておくから

ボタン

少しはお金の使い方考えてね

ツツジ

ありがとう、お母さん

～数日後～

ツツジ

お姉ちゃん

ハッカ

なによ、ツツジ

ツツジ

新歓コンパは上手くいったの？

ハッカ

ああ、それね

ハッカ

結局都合合わなくてキャンセルになったから

ツツジ

えっ

ハッカ

何か違約金がどうとか騒いでたけど

ハッカ

あんたの方でなんとかしなさい

ツツジ

無理だよ！

ツツジ

そんな、予約金も相当なお金払ったのに

ツツジ

十何人分もあったんだよ！？

ツツジ

それにキャンセル料なんて払えないよ！

ハッカ

うるさいわね

ハッカ

元々あんたが手配したお店でしょ

ハッカ

ならあんたが責任とんなさいよ

ツツジ

そんな、ひどいよ！

ハッカ

知らないわよ

ハッカ

それよりこれどうかしら？

ツツジ

何、この写真

ハッカ

私の新しいバッグよ

ツツジ

こんな高そうなの買ったの？

ハッカ

私によく似合うでしょ？

ツツジ

そんなお金あるなら予約金もキャンセル料もなんとかしてよ！

ハッカ

はぁ？これは私のためにっておじいちゃんとおばあちゃんがくれたんだから

ハッカ

あんたの為に使うわけがないでしょ

ツツジ

私、お母さんにまでお金遣い荒いって怒られたんだよ！？

ツツジ

それもこれも

ツツジ

全部お姉ちゃんが無茶なこと言ってくるたびに

ツツジ

お金がかかってしょうがないのに！

ハッカ

あんた

ハッカ

また折檻されたいの？

ツツジ

えっ

ハッカ

おじいちゃんとおばあちゃん、私がこんなひどいこと言われたって知ったら

ハッカ

さぞかし怒るだろうなあ

ツツジ

やめてよ！

ハッカ

あんたが生意気言うからでしょ

ハッカ

これからもよろしくね、ツツジ

ハッカ

返事は？

ツツジ

はい

ハッカ

よろしい

～数週間後～

ボタン

ツツジ、大変！

ツツジ

どうしたのお母さん

ボタン

おじいちゃんとおばあちゃんが倒れちゃったの！

ツツジ

えっ

ツツジ

それで、容体は？

ボタン

今は安定してるらしいわ

ボタン

でも、後遺症が残るらしいって

ツツジ

どうしてそんなことに？

ボタン

二人して旅行先で階段から落ちてしまったみたいで

ボタン

旅先から連絡があったのよ

ツツジ

そうなんだ

ツツジ

お見舞いとか行ったほうがいいのかな

ボタン

今はまだ安静にしないとダメね

ボタン

お見舞いに行くとしても

ボタン

もうちょっと先じゃないかしら

ツツジ

お母さん、お姉ちゃんには言ったの？

ボタン

もちろん、あの子は可愛がられたもの

ボタン

一番に知らせたわ

ツツジ

そしたら何て？

ボタン

え？かなりショックだったみたいだけど、私が二人を守るって

ボタン

けなげよね

ツツジ

そんなことを…

ボタン

それに引き換え、あなたはどうなの？

ツツジ

え？

ボタン

何か反応も悪いし

ボタン

そもそも全然お見舞いにも行きたくなさそうじゃない

ツツジ

そんなことないよ！

ボタン

そうかしら？

ボタン

あなた大学に行くために家を出てから本当に変わったわね

ボタン

昔は真面目で目立たない子だと思ってたのに

ボタン

急にお金遣いも荒くなるし

ボタン

それにお姉ちゃんの物勝手に借りてるんだって？

ツツジ

そんなの嘘だよ！私の物をお姉ちゃんが使ってるのに！

ボタン

あら、そうなの？

ボタン

ハッカはツツジの事が可愛いから仕方なく貸してるって言ってたのに

ツツジ

お母さん、話があるの

ボタン

何かしら？

ツツジ

出来ればお父さんも一緒に

ボタン

何よ、改まって

ツツジ

とっても大事なことなの

ツツジ

それと

ツツジ

このことは絶対お姉ちゃんには教えないで

ボタン

何を言い出すのこの子は

ツツジ

お願い！

ボタン

…わかったわよ

ボタン

今度、家に帰ってきた時でいいかしら

ツツジ

うん、それでお願い

ボタン

じゃあ、また日時は合わせましょ

ツツジ

はい、また連絡します

～数日後～

ハッカ

ツツジ！すぐに来て！

ツツジ

お姉ちゃん

ツツジ

来てって、どこへ？

ハッカ

おじいちゃんの家に決まってるでしょ

ハッカ

それぐらい察しなさいよ

ツツジ

そんなの言われないとわからないよ

ツツジ

それで、どうしておじいちゃんの家に？

ハッカ

私の代わりにあんたが介護してよ

ツツジ

なんで私が！

ハッカ

あんただっておじいちゃん、おばあちゃんにお世話になってるじゃない

ハッカ

少しぐらい孝行しようと思わないの？

ハッカ

薄情な子！

ツツジ

だって、いつも大事にされてたのお姉ちゃんだけじゃない！

ハッカ

なあに、また折檻してほしいの？

ツツジ

折檻しようにも、二人は介護が必要なんでしょ！？

ハッカ

あら、私が言えばお母さんもお父さんも信じるわよ

ツツジ

何言ってるの？

ハッカ

だから、あんたがおじいちゃん達を陥れたって告げ口するって言ってるの

ツツジ

やめてよ！

ハッカ

じゃあつべこべ言わずにさっさと来なさい

ツツジ

いつまで？

ハッカ

何がよ？

ツツジ

私だって自分の勉強があるの

ツツジ

ゼミの研究だってあるんだから

ツツジ

いつまでもってわけにはいかないよ

ハッカ

はぁ？

ハッカ

それくらい自分で何とかしなさいよ

ツツジ

そんなの無理だよ！

ハッカ

無理も何もないわ！

ハッカ

姉の私の言うことが聞けないっての？

ツツジ

でも、本当に無理なの

ツツジ

お願い、私だって学費だしてもらってるんだから

ツツジ

それに見合った勉強はしたいの

ハッカ

それ、あんたが頑張れば済む話でしょ？

ツツジ

何言ってるの

ハッカ

介護しながらでも勉強できるでしょ

ツツジ

元々お姉ちゃんが引き受けたんでしょ！？

ツツジ

かっこつけて自分が面倒見るって！

ツツジ

それで手柄だけ自分のものにするつもりなんでしょ！？

ハッカ

良くわかってるじゃない

ハッカ

流石は私の妹だわ

ツツジ

もうたくさん！

ツツジ

なんで私がこんな目に合うの！

ハッカ

それはあんたが、私の妹だからよ

ハッカ

妹に何しようが姉の勝手

ハッカ

解る？

ハッカ

あんたはずっと私の奴隷なのよ！

ハッカ

あ、そうそう

ハッカ

このことはおじいちゃんもおばあちゃんも知ってるから

ハッカ

たっぷりこきつかってあげるから

ハッカ

楽しみにしてなさい

ツツジ

ひどいよ

ハッカ

言ってなさい

ハッカ

とにかく、早く来なさい！このグズ！

ツツジ

お姉ちゃんも手伝ってくれるんだよね

ハッカ

はあ？私はあんたと違って忙しいの

ハッカ

だからあんた一人でやるのよ

ツツジ

嫌だよ！

ハッカ

うるさい！

ハッカ

私にはサークルの大事な用事があるんだから

ツツジ

それってこの前自慢してた旅行のことでしょ！？

ツツジ

そんなのよりおじいちゃん達優先してよ！

ハッカ

だからそれはあんたがやればいいじゃない

ハッカ

私は伊豆に行ってくるから、後はなんとかしてよね

ツツジ

ちょっと

ツツジ

お姉ちゃん！

ツツジ

返事してよ！

ツツジ

もう、こうなったらこっちにも考えがあるよ

～数日後～

ハッカ

ちょっとツツジ！！

ハッカ

不在着信

ハッカ

通話出なさいよあんた！

ツツジ

何？わたし勉強で忙しいんだけど

ハッカ

何じゃないわ、あんたなんでおじいちゃんたちのお世話してないの！

ハッカ

おかげで私が怒られたじゃない？

ツツジ

おじいちゃんたち？それ誰のこと

ハッカ

何言ってんの？私たちのおじいちゃんとおばあちゃんに決まってるでしょ！

ハッカ

いきなりとぼけたりして、アンタ今度会ったら酷いからね！

ツツジ

もう私たちが会うことはないから、その心配はいらないよ？

ハッカ

へ？

ツツジ

何にも聞いてないのね

ツツジ

まぁいいけど

ハッカ

ちょっと

ハッカ

何の話？

ツツジ

察しが悪いね、お姉ちゃん

ツツジ

あ、もうお姉ちゃんでもなかったね

ハッカ

何言ってんのアンタ！

ハッカ

悪ふざけも大概にしなさいよ！

ハッカ

悪ふざけじゃないよ？

ハッカ

この間、私実家に帰ったんだよね

ツツジ

それが何よ！

ツツジ

その時にお父さんお母さんに全部話したの

ハッカ

話した？

ハッカ

何を？

ツツジ

今までの事全部

ツツジ

お姉ちゃんが私のお金使いこんでたこととか

ツツジ

お姉ちゃんが私の物を勝手に持ち出してたこととか

ツツジ

お姉ちゃんが私に介護を押し付けて遊び歩いてたこととか

ツツジ

全部ぜーんぶだよ

ハッカ

そ、そんなの信じるわけないでしょ

ツツジ

お姉ちゃんバカなの？

ハッカ

は？

ツツジ

私たちがずっとしてるこのやりとり

ツツジ

この動かぬ証拠があるじゃない

ツツジ

今まではそれでもおじいちゃんたちに折檻されるの怖かったけど

ツツジ

もうそれも関係なくなった

ツツジ

なら、もう後は私の自由だよね？

ハッカ

そんなことしてタダで済むと思ってんのアンタ！

ツツジ

いやだなぁ

ツツジ

タダですむかなんて、それはお姉ちゃんの方だよ？

ハッカ

え？

ツツジ

お父さんとお母さん、お姉ちゃんの仕送り止めるって

ハッカ

なによそれ！

ツツジ

まあ当然だよね

ツツジ

もう家族でも何でもないんだから

ハッカ

どういう意味よ！

ツツジ

今までのこと、特にお父さんがカンカンに怒っててね

ツツジ

おじいちゃん達と、お姉ちゃんとの縁を切るって

ハッカ

そんなの通るわけない！

ツツジ

通る通らないはお姉ちゃんが決めることじゃないよ

ツツジ

私たち、もう引っ越しもしてるし

ハッカ

なにそれ！私の部屋にあったものは！？

ツツジ

ああ、それは最後の餞別にお姉ちゃんの今借りてる部屋に送ったみたいだよ？

ツツジ

良かったね

ハッカ

ちっとも良くない！

ハッカ

ねえ、冗談よね？

ツツジ

冗談なわけないでしょ

ハッカ

ツツジ？

ツツジ

今までさんざんに私の事いじめてきたクセに

ツツジ

何今更被害者ぶってんの？

ハッカ

それは、だっておじいちゃん達が

ツツジ

私は一度として可愛がられたことなんてなかった！

ツツジ

挙句におねえちゃんの憂さ晴らしのために

ツツジ

おじいちゃん達に折檻までされて、それが怖かったけど

ツツジ

今は怖くもなんともない

ハッカ

私は別にイジワルしてたわけじゃなくて

ツツジ

はぁ？今更とぼけるの？

ツツジ

まあ何でもいいよ、お父さんたちの考えは変わらない

ツツジ

お姉ちゃんの学費も来年分は出さないって

ハッカ

そんなの酷い！

ツツジ

縁を切るんだもん、当たり前よね？

ハッカ

じゃあ私はどうやって大学続けたらいいのよ！

ツツジ

今は奨学金でも何でもあるじゃない

ツツジ

あ、お姉ちゃんの学力じゃ無理かな？

ツツジ

私の知ったこっちゃないけど

ハッカ

お願い！謝るから

ハッカ

今までのこと悪かったわよ！だからお父さんにとりなして！

ツツジ

もう無理よ

ツツジ

それが通用する時間はとっくの昔

ツツジ

もう取り返しがつかないわよ、お姉ちゃん

ツツジ

ご愁傷様

ツツジ

それじゃ、私は勉強するから

ツツジ

これから介護とか生活大変だろうけどがんばってね

ハッカ

待って、お願い！

ハッカ

ツツジ？

ハッカ

返事して！

ハッカ

ツツジ、このやろう！

ハッカ

覚えてろよ！

～後日談～

ツツジ

その後、昔のご近所から聞いた話によると

ツツジ

姉は私たちの元の実家の住所に突撃して騒いだらしいのですが

ツツジ

そこにはもう別のご家庭が住んでいて、警察沙汰になったそうです

ツツジ

それからというもの

ツツジ

羽振りの良い姉についていた人たちは皆手の平を返してしまい

ツツジ

誰も助けくれるものがいなくなった姉は

ツツジ

大学も退学せざるを得なくなり

ツツジ

今では高卒のパートとして働きながら祖父母の面倒を一人で見ているそうです

ツツジ

それでも生活がどうにもならなくなり、夜のお仕事についたそうです

ツツジ

私の方は煩わせるものが無くなった反動か、集中して勉強に取り組めて

ツツジ

大学を首席で卒業することができました

ツツジ

在学中に出来た素敵な彼氏もいて

ツツジ

今の私はとても幸せいっぱいの人生になっています

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結城真矢

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