テラーノベル
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この永らく使われず、掃除もされていないであろう俺専用の敵地の近道を歩く。
酸化した錆の匂い。
霧雨が外の匂いを消し、湿った匂いを残す。
その中に一つだけ。
ふわり。
薔薇の匂いが一本道を漂った。
いさぎ
真っ暗にだが微かに見える。
ずっと真っ直ぐに、
かいざー
ソイツは立っていた。
いさぎ
静寂が続いた後。 一歩。音もなく、男が現れた。
かいざー
その声は、妙なほどに静かだった。
いさぎ
いさぎ
その一言。
かいざー
目の前の男の動きが止まる。
そしてほんの一瞬。その男の呼吸音が乱れ
かいざー
小さく、笑う。
いさぎ
かいざー
かいざー
かいざー
かいざー
ゆっくりと、落ち着いた様子で男は剣を構えた。
まるで何か自分に言い聞かせる様に。
かいざー
かいざー
いさぎ
俺も、男に剣を構える。
いさぎ
かいざー
男が一歩、足を踏み出す。
その瞬間
空気が一変した。
コメント
1件
やっぱり話の構成とか、表現の仕方とか全部とても大大大大大好きです!これからも楽しみにしてます