とん、とん、とん、と拍良く階段を登る一人の影。
音とは裏腹に、其の顔は浮かなかった。
昇降口で一度足を止める彼_中也。
一時間目は美術だ。 良い加減に出ないと内申に影響が出る。
少々危難を負うが、行った方が良いのだろう。
保健室には、何だか入りづらい。
自分の所為だ、とは分かって居るのだが。
となると、朝のホームルームにも出ないと行けない。
怖い。
足に力を入れて居ないとまた膝から転んで仕舞いそうだ。
それでも、
何処かで期待して居た。
『良い子』で居れば、また皆に好かれるのではないかと。
教室の扉は開いて居た。
目立たぬ様。成る可く静かに部屋へと入る。
だが、彼の髪色が其れを阻害する。
小さな話し声が中也の耳に幾つも飛び込んで来る。
内心で舌を打った。
自席に座り、机の中に手を入れる。其の時___
中原 中也
指先にビリっと刺激が走った。
見ると、人差し指を一筋、赤い液体が伝うのが目に入る。
中原 中也
頭を下げて机の中を覗く。掲示物用の画鋲が入って居た。
一部からは笑い声が聞こえる。 自分に向けられて居るのかと思うと、眉間の辺りが熱くなる。
其の時、中也が横から、殺気を感じた。 反射的に腕で脇腹を庇う。
キレの良い膝蹴り。 一般人にしてはかなりの威力だ。
中原 中也
誰だ。
聞いた事がある。
___『良いよな、優等生は』
あの声と同じ。
笑んだ白髪の生徒。
中原 中也
白瀬 撫一郎
中原 中也
背後に女子が二人、一人は亜矢…もう一人は、彼奴だ。
___『授業あんまり出てないのに、頭いいんだなぁ』
中原 中也
間中 亜矢
嗚呼、そうだ、柚杏だ。
柚杏
中原 中也
中也が口調に確信を持つ。
三人は従犯だ。
級内での中也の心証を悪くしようとして居る。
彼等の狙い通り、数は少ないものの、中也へと悪口の矢が向けられる。
中原 中也
聞き流せ。 事実を知ったら、皆きっと。
我慢、我慢、怒るな、泣くな、
泣くな…!
中原 中也
無理だ。 こんなの、耐えられる訳、無い。
白瀬 撫一郎
白瀬が叫ぶ。
中原 中也
椅子を蹴られ、鋭い音が響き渡った。椅子が、倒れる。
中也が背中から床に打つかった。
言下に受け身を取り、何を考えるとも無く、荷物を勢いよく引き寄せる中也。
立ち上がり、目の前を真面に見ない儘教室を飛び出した。
中也が駆け乍ら耳を塞ぐ。
痛い、痛い、痛い。
周りの、声が、自分への、目線が、そして…
否定出来ない、根も歯もない罪を綺麗に被せられて仕舞った、
馬鹿な自分が___
コメント
21件
ふふふふふ……中也のこと虐めた奴ら,後悔させてやる。監禁して全世界中に真実を公表する。それだけでは信憑性が無いため他のクラスメイトを脅して言わせる。すると虐めた奴らが逆に虐められる。精神的に耐えられなくなり自♡♡♡ようとするがそれすらも許さない。公開しても遅いぞ?
…おいクラスメイト手のひら返しかよ!なんかイラつくから血祭りにあげてきますー!\(*°д°)ノダレカ〜手伝ってー
まじで主様大好きです、個人的に中也が泣きそうになってるのまじで好きなんですよ(((主様無理のない程度に毎秒投稿お願いします☆